物価高騰が家計を直撃し、私たち庶民の生活は厳しさを増すばかり。
そんな中、「年収の壁」引き上げ議論に注目が集まっています。
先の衆院選で躍進した国民民主党と自公との協議は不調に終わりました。
しかし、日本維新の会の高校無償化を自公政権が採用することにより、維新が来年度予算案に賛成する可能性があります。
予算案が成立することにより、「年収の壁」はどのように変わるのでしょうか?また、どの程度の減税が期待できるのでしょうか?
本記事では、「年収の壁」引き上げによる影響や具体的な減税額につい解説します。
物価高で家計のやりくりに悩んでいる方々は参考にしてください。
「年収の壁」160万円への引き上げ案とは?
日本維新の会が賛成に回り予算案が通れば、所得税がかかり始める課税最低限である「年収103万円の壁」が160万円に引き上げられる見通しです。
自民・公明両党は2024年末にまとめた政府・与党案を修正。
法案が成立すれば、2025年分から適用されます。
「年収の壁」は下図の通り、年収によってかなり複雑になります。
まず、「103万円の壁」は、基礎控除の95万円(48+10+37)と給与所得控除の65万円(55+10)を合計して160万円へ引き上げ。
一方、年収160万円超えると下記の通り基礎控除のみの引き上げとなります。
- 年収200万円以下の基礎控除:95万円(48+10+37)
- 年収200万円超~475万円以下の基礎控除:88万円(48+10+30)
- 年収475万円超~665万円以下の基礎控除:68万円(48+10+10)
- 年収665万円超~850万円以下の基礎控除:63万円(48+10+5)
- 年収850万円超の基礎控除:58万円(48+10)
上記、赤字部分の上乗せは2年間の時限措置。
(出典:日本経済新聞)
「年収の壁」を一律178万円へ引き上げることを主張している国民民主党は、上記案を「壁だらけ」で障害物競走のようになっていると表現。
実際、年収によっていくつも壁ができ、かなり複雑です。
税の「公平・中立・簡素」の原則を完全に無視し、減税額を最小限に抑えようという姑息な意図が明らか。
どんな手段を使っても減税額を少なくしようとする姿勢には呆れるばかりです。
自公政権は、完全に財務省のコントロール下にあることが改めて明確になりました。
「年収の壁」引き上げによる減税額は?
今回の「年収の壁」引き上げによる減税額は、下図の通り納税者の多くが1人あたり年2万円程度。
(出典:日本経済新聞)
1人4万円でほとんど効果が実感できなかった定額減税よりもショボい減税額。
物価高を補うにはあまりにも少額過ぎ。
更に、2年間の時限措置もあるので、物価高に苦しむ日本国民を救う効果は全くないといっても過言ではないでしょう。
また、大手電力14社の3月使用分のガス・電気代は補助が縮小されるため平均的な使用料で数百円上がる見通し。
既にガソリンの補助は昨年末から今年の初めにかけて縮小されているうえ、暫定税率の廃止は先送り。
収入が上がりにくい中、物価が上昇しているため2024年の家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28.3%と1981年以来、43年ぶりの高水準となりました。
この状況下で、国(政府)の収支を合わせる(プライマリーバランス(PB)黒字化)ために減税額を年2万円程度に抑えるなど正気の沙汰ではありません。
一部の国民の怒りが爆発。1000人規模の財務省解体デモに発展しています。
しかし、大半の大手マスゴミは国民の怒りをガン無視して報道せず。
自公政権はデモなどどこ吹く風で「年収の壁」引き上げの修正案をまとめました。
更に、高校無償化という「年収の壁」引き上げよりも安上がりな政策で日本維新の会が自公政権にすり寄り、来年度予算案に賛成する可能性があります。
このまま法案が通れば、日本人の貧困化は更に加速することになります。
世代間で分断してはいけない
日に日に生活が苦しくなっていく中、国民の怒りは頂点に達しようとしています。
その一端が財務省解体デモだけでなく、政党支持率にも現れました。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が22、23両日に実施した合同世論調査によると、18~29歳の政党支持率では国民民主党が18.9%でトップとなり、自民党の11.8%を上回りました。
また、30代では国民民主が15.9%、れいわ新選組が14.4%となり、自民は11.2%で3番手。
減税を政策として掲げている政党の躍進が目立ちます。
一方で、60代の24.1%が自民党を支持。また、70歳以上では42.6%が自民党を支持している状況。
若年層は税や社会保険料の負担を下げて欲しいと願う一方、高齢者層では若年層の負担を下げることにより年金などの給付を下げられることを懸念していると思われます。
実際、若年層のネットへの書き込みには、現役世代の負担を下げるために高齢者の給付をカットしろという論調を見かけます。
世代間で分断してはいけません。世代間で分断すればザイム真理教の思うツボ。
若者(現役世代)と高齢者のどちらかを切り捨てる必要など全くありません。
若者(現役世代)の負担を減らしつつ、高齢者の給付を引き上げることも可能。
自国通貨建の国債を発行できる日本にはその力があります。
現役世代の給料が上がれば年金額も上がる。
また、高齢者の年金額が上がれば消費が活性化し、国内景気が盛り上がる。
景気が停滞して国民が苦しんでいる時は、国(政府)が赤字を作って国民に黒字を作るべき。
それが当たり前の経済政策。
景気が停滞している状況で国(政府)が黒字を作ろうとすれば、国民側の生活は更に苦しくなります。
どこかの予算を増やすと、どこかを削らなければならないという間抜け議論を早急に止めさせるべき。
国(政府)の予算を家計の収支と同じように考えるなど愚の骨頂。
企業でさえ、必要な時には借入をして設備投資などをしないと成長できません。
例えば、インフラ整備などは国家レベルの投資なので、国(政府)が赤字を作ることを避けては通れません。
プライマリーバランス(PB)の黒字化という愚かな考えのもと突き進んできた結果として、埼玉県八潮市などのインフラ崩壊事故が起こっています。
インフラの崩壊だけではありません。
国(政府)が必要な出費をケチってきた結果として、人口は減少し、主食であるお米さえまともに手に入らない状況になってきています。
通貨発行権のある国(政府)が収支を合わせるために国民に負担を強要する。
そんな愚かな考え方の政治家を減らさない限り、日本人の貧困化は止まりません。
まとめ
所得税がかかり始める課税最低限である「年収103万円の壁」が160万円に引き上げられる見通しです。
自民・公明両党の案が通れば、納税者の多くが1人あたり年2万円程度の減税となり効果が実感できなかった定額減税よりもショボいレベル。
「エンゲル係数」が43年ぶりの高水準となる中、正気の沙汰とは思えません。
しかし、これが自公政権が続けてきた政治であり、「失われた30年」を招いた大きな要因。
国(政府)の予算を家計の収支と同じように考える愚かな政治家を一掃しない限り、日本人の貧困化は止まりません。
次の選挙では、財務省にコントロールされない政党を選ぶ必要があります。