iDeCo(イデコ)の口座は、すすめられた金融機関で開設する方も少なくないでしょう。
しかし、iDeCo(イデコ)口座を開設する際の金融機関選択は非常に重要です。
その理由は、金融機関によって手数料や投資信託の品ぞろえが異なるから。
手数料や投資信託の品ぞろえの違いは運用成果に影響し、将来受け取れる金額に差が出る可能性があります。
実は、iDeCo(イデコ)口座を条件の良い金融機関に変更することも可能。
今回の記事では、iDeCo(イデコ)口座の金融機関変更に関して、下記ポイントを解説します。
- iDeCo(イデコ)口座を開設する金融機関の選び方
- iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する際の手続方法
- iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する場合のデメリット
iDeCo(イデコ)口座の金融機関変更を検討している方は、参考にしてください。
iDeCo(イデコ)口座を開設する際の金融機関の選び方
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を始めるには、運営管理機関である銀行、証券会社、保険会社を選んで申し込むことになります。
下記記事でも解説した通り、金融機関を選ぶポイントは「口座管理費用(手数料)の安さ」と「投資信託の品ぞろえ」。
実は、加入申込時に選ぶ運営管理機関で、将来の受取額に想像以上に大きな差が発生する可能性があります。
【口座管理費用(手数料)】安い金融機関と高い金融機関では3倍以上の差
iDeCo(イデコ)は、掛け金の拠出時や運用時に口座管理手数料を毎月差し引かれます。
1回あたりの手数料額が小さくても長い加入期間で考えると大きな額。
掛け金拠出時の口座管理手数料には、下記3つの内訳があります。
- 国民年金基金連合会に支払う事務取扱手数料
- 資産管理サービス信託銀行に支払う事務委託先手数料
- 金融機関に支払う運営管理手数料
上記3つの内訳のうち、事務取扱手数料(毎月105円)と事務委託先手数料(毎月66円)の合計毎月171円は、どの金融機関を選んでも必ず差し引かれることになります。
3つの内訳のうち、運営管理手数料だけは金融機関によって異なります。
SBI証券や楽天証券などは金融機関の運営管理手数料が無料つまりゼロですが、金融機関によっては毎月の運営管理手数料が418円の場合も。
運用期間が長いと、手数料の違いもバカになりません。
1ヶ月では418円の差も、1年では5,016円、10年では50,160円、30年では150,480円もの差になってしまします。
iDeCo(イデコ)は長期間、加入することになるので、小さな手数料差も見逃せません。
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信託報酬の差は運用成果に大きく影響
実は、iDeCo(イデコ)を投資信託で運用する場合は、口座管理費用よりも信託報酬の差が運用成績に大きく影響。
投資信託のコストは主に販売時手数料と信託報酬ですが、iDeCo(イデコ)では販売時手数料は基本、無料です。
投資信託の保有期間中、毎日差し引かれる信託報酬は商品によってまちまち。
運用商品の品ぞろえが悪い金融機関を選ぶと、信託報酬の高い投資信託しか選べない可能性があります。
投資信託を長期間保有した場合、信託報酬がどのくらいの額になるのかについての試算例は、下表のようになります。
信託報酬(年) | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|
0.23% | 4万 | 17万 | 43万 |
1.026% | 16万 | 70万 | 174万 |
1.944% | 29万 | 123万 | 298万 |
※毎月2.3万円を拠出し、外国株投信で年4%で運用した場合の簡易計算
信託報酬が約1.7%違うだけで、30年間では手数料額が250万円以上もの差に。
つまり、信託報酬の高い投資信託を選ぶと、受け取れる額が250万円も目減りしてしまいます。
ちなみに、毎月2.3万円を年4%で運用した場合のシミュレーション結果は下表の通り。
10年 | 20年 | 30年 | |
---|---|---|---|
投資元本 | 2,760,000円 | 5,520,000円 | 8,280,000円 |
積立額 | 3,386,746円 | 8,435,816円 | 15,963,136円 |
積立額は複利の力で30年後には約1,600万円にもなりますので、数%の信託報酬の違いも大きな差となります。
iDeCo(イデコ)の金融機関は変更可能?
現在、口座管理手数料が高く、運用商品の品ぞろえが悪い金融機関でiDeCo(イデコ)口座を開設している方も諦める必要はありません。
iDeCo(イデコ)の金融機関は変更可能です!
iDeCo(イデコ)の金融機関変更手続きは、下記の通り難しくありません。
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金融機関の変更手続の方法は?
iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する際は、新しくiDeCo(イデコ)口座を作りたい金融機関のWEBサイトないしコールセンターで「加入者等運営管理機関変更届」という書類を取り寄せます。
掛金の配分指定と移換金の配分指定などの必要事項を記入、必要書類を添付して取り寄せた金融機関に提出します。
金融機関変更時のデメリットは?
iDeCo(イデコ)の金融機関を変更する際には、下記のようなデメリットもあるので、注意が必要です。
手数料が必要
金融機関を変更するには、数千円程度の移換時手数料がかかる場合があります。
資産を売却して現金化する必要あり
金融機関変更の際には、運用している投資信託などの運用資産を一度現金化する必要がある点もデメリットの1つ。
現金化のタイミングによっては、元本割れの可能性があります。
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時間がかかる
国民年金基金連合会の審査等のため、金融機関変更の手続完了まで2ヵ月~3ヵ月程度かかります。
手続書類に不備があれば、更に時間がかかりますし、不備で書類が返ってきたりすれば、途中で挫折してしまう可能性もあります。
まとめ
既にiDeCo(イデコ)をやっているという方でも金融機関の変更は可能なので、現在の金融機関の手数料などの条件が良くないと思うのであれば、変更を検討するといいでしょう。
口座管理手数料や信託報酬の違いなどは、長期間で考えれば、大きな差となります。
特に若い方は運用する期間が長くなるので、変更を考えるのであれば、早めに手を打った方がいいでしょう。
ただし、金融機関の変更には、デメリットもあります。
よって、iDeCo(イデコ)を始める前にどこの金融機関を選ぶかをしっかりと吟味することも重要です。
なお、iDeCo口座を開設するおすすめの金融機関については、下記記事をご参照ください。