
「日本の予算が過去最大の122兆円になった」というニュースを見て、「借金まみれなのに大丈夫?」と不安になった方も多いはず。
日本は財政破綻への道を突き進んでいるのでしょうか。
予算の数字を紐解くと、実際は「日本の財政は健全化に向かっている」という意外な事実が見えてきます。
今回の記事では、下記3つのポイントを解説します。
- 予算122兆円は使いすぎ?
- 28年ぶりのPB黒字化はいいこと?
- 日本の財政は健全化している!?
日本の財政破綻を心配している方は参考にしてください。
1.予算122兆円は使い過ぎ?
マスコミが今年度の予算を「過去最大!」と煽るので、予算が増えることを悪いことと思っている人は少なくないでしょう?
確かに、個人の家計なら「支出が増え続ける=危険」と言えます。
しかし、国と家計を同じように考えるのは誤り。
例えば、企業は成長のために設備投資や研究開発などにお金を使います。
しかも場合によっては、借金をしてでも投資します。
国も同じ。
豊かな国を目指すなら、投資(支出)が必要不可欠。
つまり、「予算が増える=悪」ではない。
むしろ、成長している証拠とも言えるのです。
2.予算を大きく見せる2つの「カラクリ」
さらに、日本の予算は実態よりも大きく見えるカラクリがあります。
その代表が「国債費」。

(出典:財務省)
カラクリ①:国債の借り換えを計上している
世界的には、古い借金を返すための新しい借金(借り換え)は予算に入れません。
なぜなら国債は返済するものではなく、永遠に借り換えるのが前提だから。
しかし、日本には「国債を60年で返す」という謎のルールが存在するため予算に計上。
今回の予算でも、債務償還費の18.2兆円は実際には計上する必要のない「水増しの数字」です。
カラクリ②:利払いを「多く見せている」
世界的に利払い費はネット(支払う利息 − 受け取る利息)で計算。
しかし日本は、グロス(支払う利息)のみを計上。
日本は外貨準備として米国債を保有するなどして、受け取る利息も膨大です。
よって、実際の利払い費(ネット)はもっと軽いということ。
なぜ、このような奇妙なカラクリが存在するのでしょうか?
それは、緊縮脳の財務省が予算を削るために「日本の財政はこんなに大変なんです!」と、あえて数字を大きく見せるためです。
3.28年ぶりの「PB黒字化」は良いこと?
2026年度の予算案では、PB(プライマリーバランス=基礎的財政収支)が約1.3兆円の黒字となっています。
これは1998年度以来28年ぶり。
PB(基礎的財政収支)とは?
「その年の政策に使うお金を借金に頼らず、その年の税収などでまかなえているか」を示す指標のこと。
日本の財政が「黒字化したなら安心だね!」と思うかもしれませんが、個人の家計と国では黒字の意味合いが異なります。
国(政府)が黒字になるには、支出を抑えて国民から税金をたくさん取る必要があります。
つまり、国(政府)が黒字なら、民間側(私たち)は赤字になっているということ。
仮に日本経済が絶好調でインフレが過熱している状況であれば、政府がPBを黒字化して経済を冷ますのは有効な政策。
しかし、今の日本経済はどうでしょうか?
私たち一般庶民は長引く物価高に苦しみ、なかなか収入が増えない中で節約に走っています。
日本のGDP(国内総生産)の半分以上は、個人消費が占めています。
このような状況下で、PBを黒字化して国民を赤字にするなど正気の沙汰ではありません。
4. 「日本の財政」は健全化している!?
「借金が増え続けて大変だ」という報道はよく耳にすますが、実は日本の財政は改善に向かっています。
財政の健全度を測る指標として財務省や政治家は「債務残高対GDP比」を使用しています。
下図の通り「債務残高の対GDP比」はここ数年で確実に下降。

(出典:日本経済新聞)
なぜ日本の財政は健全化しているのか?
理由はシンプルで、GDPが成長しているから。
長らく500兆円台だった日本のGDPはここ数年で600兆円超まで増加。
借金の額(分子)が増えても、それ以上にGDP(分母=経済の規模)が成長すれば、借金の割合は小さくなるのです。
日本のGDPが成長した大きな要因の1つが、コロナ対策で100兆円規模の国債を発行して財政出動を行ったから。
GDPが成長したことにより、2026年度の税収は83.7兆円で7年連続過去最高。
ここからも「経済あっての財政」ということがよくわかります。
まとめ

日本の2026年度予算は過去最大の122兆円となりましたが、決して「過大」なものではありません。
むしろ、予算を実際より大きく見せる「カラクリ」も存在しているのが実情です。
さらに、日本の財政は着実に健全化の方向に向かっています。
これまで日本は緊縮策により国債残高を減らすアプローチを取ってきましたが、「債務残高対GDP比」は改善されるどころかどんどん悪化。
ところが、ここ数年はGDPが成長したことで、この比率が改善し始めました。
つまり、緊縮策による財政健全化へのアプローチは全く逆効果だったということ。
今の日本が行うべき政策は、PB黒字化のような「緊縮政策」ではありません。
「失われた30年」が私たちに教えてくれた教訓は「国債残高を減らそうとして予算をケチると、GDPが成長せず、かえって借金の比率(対GDP比)が悪化する」という事実。
だからこそ、今必要なのは思い切った「歳出増」、つまり政府が積極的にお金を使うこと。
国(政府)が一時的に赤字になっても、その分国民が豊かになり経済が活発に回るようになればGDPは成長します。
その結果、「債務残高対GDP比」は自然と改善し、財政は健全化していくのです。
豊かな日本を取り戻すために、私たちは「経済あっての財政」という視点を持つことが重要です。