
「消費税は、お店が消費者から一時的に預かっているお金(預り金)」と思っている方も少なくないでしょう。
実際は、消費税は「預り金」ではありません。
先日、日本経済新聞が消費税は「預かり金」という内容の記事を掲載していました。
新聞やテレビなどの大手マスコミが消費税は「預り金」と報道するので、勘違いしている人が多いのは仕方がないこと。
私たち庶民は現在進行形で物価高に苦しみ、参院選では消費税を減税して欲しいという民意を示しました。
しかし、減税の議論は遅々として進まず。
その原因の一つが、新聞やテレビなどのマスゴミが垂れ流す誤報レベルの情報です。
そこで今回の記事では、消費税について下記ポイントを解説します。
- 消費税は「預かり金」ではない
- 消費税は中小零細企業と庶民を苦しめる悪税
- 消費税は廃止一択、財源は国債一択
物価高に苦しんでいる方は参考にしてください。
消費税は「預り金」ではない
「消費税は事業者が、お客さんから預かって納める税金」と思われがちですが、実は法律上も判例上も「預り金」ではありません。
まず、消費税法第5条では、納税義務者は「事業者」と明記されています。
消費税が「預り金」なら、納税義務者は消費者となっているはず。
財務省も「預り金」と断言せず、「預り金的な性格を持つ」と表現しています。
また、『消費税は、【事業者】ではなく【消費者】による負担を予定している税』とも説明。
さらに、消費税は対価の一部であり預り金ではないという判決も確定しています。
「(前略)消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」
(東京地裁平成2年3月26日判決)
つまり、消費税は価格の一部であり、事業者が「預かっている」わけではないのです。
消費税は「売上時に受け取った消費税」から「仕入時に支払った消費税」を差し引いて納税します。
事業者が適正な儲け(粗利)をしっかり乗せて、その上で消費税を上乗せできれば「預り金」ともいえるでしょう。
しかし、事業者の多くが適正な利潤を取り、そこに消費税を上乗せできているわけではないのが現状。
現実の状況を食料品を販売する事業者の事例で解説します。
【理想の状態】
仕入:90円
粗利:10円
販売価格:108円(税込み)
上記事例の理想の状態は90円で仕入れたモノに10円の粗利(適正な利潤)を乗せて販売すること。
そこに消費税を8%上乗せすれば、納税額は108円の108分の8から仕入れ時に支払った消費税を差し引いた額となります。
しかし、実際は競合する他店との関係があるので、販売価格は98円に引き下げざるを得ない状況も発生します。
それでも消費税の納税義務が免除されるわけではありません。
結果として、利益が減っても赤字でも事業者は消費税を納める必要があります。
この過酷な仕組みのため、消費税は滞納が最も多い税金となっています。
国税庁によると2024年度の新たな滞納額は9925億円。
そのうち消費税だけで5298億円(全体の半分以上)を占めています。
消費税は中小零細企業と庶民を苦しめる悪税
消費税の減税が議論されるたびに、「社会保障の重要な財源」という解説を耳にします。
しかし、これは実態を隠すための詭弁。
消費税は、下記の通り中小零細企業と庶民を苦しめる悪税です。
消費税は大企業に有利な税金
もともと消費税は、「直間比率の是正(法人税や所得税などの直接税を減らし、消費税などの間接税を増やす)」という目的で導入されました。
実際、法人税は減税され続け、消費税は3%から10%まで増税されました。
さらに、輸出を主とする大企業は海外での売上に消費税を上乗せできないため、仕入れで払った消費税を「輸出還付金」として受け取れます。
その額は、なんと年間9兆円。
結果、庶民の生活は物価高でどんどん苦しくなっている中、大企業の内部留保は600兆円を超えている状況。
大企業の代弁者である経団連が消費税増税(19%)を主張する理由がここにあります。
消費税は税の重要な役割を果たしていない
消費税は景気が悪い時でも容赦なく徴収され続けます。
そのため「景気の調整弁」という税の重要な役割を果たしません。
本来、景気が悪い時は税収を減らし、国民がお金を使いやすいようにする必要があります。
消費税は景気変動の影響を受けにくい安定財源と言われていますが、景気が悪い時は所得税のように税収が減る仕組みがなければ景気が過度に冷え込んでしまいます。
また、消費税は子どもや低所得者にも課せられる税金。
「経済的能力に応じて負担する」という応能負担の原則にも反しています。
消費税は少子化を助長する
消費税の悪影響は家計だけにとどまりません。
下記記事で解説した通り、雇用を不安定にして少子化を加速させる要因にもなっています。
一般的には少子高齢化により日本経済は停滞したとされていますが、全く逆で経済が停滞したから若い人たちが子どもを産めなくなったのです。
つまり、消費税は最悪な税金で、日本弱体化装置といっても過言ではありません。
消費税は廃止一択・財源は国債一択
私たち庶民は現在進行形で物価高に苦しんでいる状況です。
日本には悠長に給付付き税額控除の導入を議論している余裕などありません。
今必要なことは回りくどい制度構築ではなく、シンプルに消費税の減税または廃止で家計を支え、お金が回るようにして経済を活性化することです。
減税の話になると「財源が~!」と間抜けな議論になりますが、減税することにより税収が減るのであれば、国債を発行して補填すれば済む話。
減税するために増税や歳出を削減すれば行って来いで意味はありません。
テレビや新聞には、これ以上に国債を発行すると「財政破綻する」や「ハイパーインフレになる」というニセ経済エコノミストが多数存在しています。
しかし、自国通貨建ての国債を発行できる日本が「財政破綻」することはありませんし、「ハイパーインフレ」になる可能性もほぼありません。
これは財務省が自ら認めていること。
何よりの証拠がコロナの際に日本は100兆を超える国債を発行しましたが、財政破綻もハイパーインフレも起こっていません。

(出典:財務省)
「消費税は社会保障の重要な財源」などという寝言を言っている暇は日本にはありません。
税収が足りなければ国債を発行すればいいだけの話。
ガソリン暫定税率の廃止や消費税減税などにより国民の可処分所得を上げれば、GDPが増加して税収が上がるでしょう。
税収が上がれば、国債の発行額を減らせる可能性もあります。
国内景気が拡大して企業が設備投資などのために借り入れを起こせば、バブル期のように国債発行ゼロの状況も起こり得ます。
つまり、経済が活性化すれば国(政府)の財政も健全化する!
まさに「経済あっての財政」なのです。
まとめ

「消費税は、お店が消費者から一時的に預かっているお金(預り金)」と思っている方も少なくないでしょう。
実際は、消費税は「預り金」ではありません。
新聞やテレビなどの大手マスコミが消費税は「預り金」と報道するので、勘違いしている人が多いのは仕方がないこと。
マスゴミが誤った情報を流す理由は、消費税の恩恵を受けているから。
消費税増税により法人税が減税されただけでなく、スポンサーである輸出大企業が輸出還付金で潤えば広告収入が増えます。
さらに政治家(特に自民党)は大企業から献金を受け取っている。
よって、大企業に勤務していない一般庶民が一番割を食う構図が出来上がっているわけです。
日本の雇用者の7割が中小企業に勤めていることを考えれば、一部の人達だけが儲かる今のような構図を打破する必要があります。
私たち庶民が豊かになるためには、選挙の度に民意を示していくことが重要です。