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【高校生向け金融教育】クレジットカードの利用は借金!?


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2022年4月からの高校学習指導要領改訂で金融経済教育の内容が拡充され、高校家庭科で金融経済に関する授業が始まります。

 

金融教育というと、資産運用が注目されがちですが、資産運用を学んでも運用に回すタネ銭がないことには始まりません。

 

タネ銭を作るには「お金」の管理が重要となり、「使う」ことや「借りる」ことについて学ぶことも必要となります。

 

お金を上手に使うという意味では、クレジットカードに関する知識が重要です。

 

キャッシュレス化が推進されている中で、クレジットカードの活用方法について知ることは必須でしょう。

 

クレジットカードの利用方法を間違えると、借金体質になってしまう可能性もあります。

 

今回は金融庁の金融教育資料を参考に、子供に伝えておくべきクレジットカードの知識について解説したいと思います。

 

子供に教える機会に親もクレカの利用方法について再確認してください。

高校向け 金融経済教育指導教材の公表について:金融庁

 

 

クレジットカードを使うことはお金を借りること

金融庁の資料には、後払い(クレジットカード)の仕組みとして下記のような記述があります。

クレジットとは、ショッピングなどの代金を後払いにすること、カード会社に立て替えてもらうことです。

つまり「借金」になります。

(出典:金融庁)

 

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(出典:三菱UFJニコス)

 

上図の通り、クレジットカードを使うとカード会社が利用者の利用代金を立て替えている形になります。

 

クレカ利用者から見れば、カード会社から利用代金を借りていることに。

 

クレカ利用者は現金の持ち合わせがなくても買い物ができて便利ですが、お金を借りたら金利が発生するのが常識です。

 

1回払い(一括払い)や2回払いまでは手数料(金利)は発生しませんが、3回以上の分割払いを選択すると、手数料(金利)を負担する必要があります。

 

 

 

クレジットカードの使い方|クレジットとキャッシング

クレジットカードの使い方は、クレジットキャッシングに大別されます。

 

クレジットとは、物やサービスを購入するためにカードでお金を借りること。

 

支払方法には1回払い(一括払い)以外にも分割払い(2回払い、6回払い、12回払いなど)やリボ払いなどがあります。

 

キャッシングとは、クレジットカードを使ってお金を借りること。

 

金利は下記のように利息制限法があるので、上限金利が定められています。

  • 年20%:10万円未満のときの上限金利
  • 年18%:10万円以上~100万円未満のとき上限金利
  • 年15%:100万円以上のときの上限金利

 

 

クレジットカードの手数料(金利)

クレジットカードを利用する際に注意したいのが手数料金利)。

 

買い物などで利用する際、1~2回払いであれば手数料(金利)はかかりませんが、分割回数が増えれば、下記のように手数料(金利)が必要となります。

  • 分割回数1~2回:なし
  • 分割回数6~15回:11~15%
  • 分割回数18~36回:12~15%
  • リボ払い:12~15%
  • キャッシング:15~18%

 

最も利用を避けるべきなのはリボ払い

上記の通り、クレカを3回以上の分割払いで使えば、金利が発生。

 

基本的には、金利が発生しないような使い方をすべきですが、最も利用を避けるべきなのがリボ払い

 

リボ払いリボルビング払い)は、毎月決められた額を支払っていく方法なので、便利で利用しているという方もいるかもしれません。

 

あるカード会社では「ウリボー」というかわいいキャラクターを使ってリボ払いをすすめています。

 

キャラクターを見て、かわいいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、リボ払いは高金利の借金

 

リボ払いの利用で自己破産する方もいる怖い仕組み。

 

リボ払いの恐ろしさを分割払いとの比較シミュレーションで確認して欲しいと思います。

 

分割払い(12回)

  • 利用額:20万円
  • 返済手段:12回払い
  • 手数料:14.5%
  • 毎月返済額:18,000円
  • 合計返済額:216,050円

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リボ払い

  • 利用額:20万円
  • 返済手段:リボ払い
  • 手数料:15%
  • 毎月返済額:5,000円
  • 合計返済額:278,954円

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(出典:金融庁シミュレーション教材)

リボ払いと分割払い(12回)を比較すると、同じ利用額(20万円)でも支払う利息が5倍にもなります。

 

リボ払いは毎月の返済額が5,000円と少額ですが、返済当初は半分程度が手数料(利息)です。

 

最終的には返済回数は56回、約5年に渡って返済し続けることに。

 

リボ払いは毎月少額ずつの返済なので、気分的に楽なイメージがありますが、返済期間が長くなり、金利負担が大きくなります。

 

軽い気持ちでリボ払いを繰り返し利用して、最終的に自己破産してしまう方がいるのもうなずけます。

 

 

クレジットカードは使うべきではない?

2022年4月からの成年年齢引下げにより、高校生でも18歳からクレジットカードを作ることができます。

 

クレジットカードは使わない方がいいのでしょうか?

 

大人でもクレカを使わずに現金だけという方もいますが、それは極端な考え方です。

 

これからの時代にクレジットカードなどのキャッシュレスサービスを使わずに生きていくのは難しいでしょう。

 

クレカを使えばポイントを貯めることができ、節約にもなります。

 

大切なことは、クレジットカードの仕組みを理解して上手に利用すること。

 

クレジットカードを使うことは借金であり、分割払いを利用すると高い手数料(金利)を負担することになることを認識すべき。

 

クレジットカードに関しては、基本的には1回払い、多くても2回払いで利用するべきでしょう。

 

利用額が2回払いで支払えない額であれば、それは自分の身の丈に合っていない消費だと考え、止めるくらいの考え方を持つべきです。

 

 

まとめ

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クレジットカードの利用は現金を持ち歩く必要がなく便利です。

 

しかし、使い方によっては金利(手数料)が発生しますので注意が必要。

 

クレジットカードの利用は借金をすること、という認識を持つべき。

 

特に「リボ払い」は借金という認識なく使ってしまう可能性があり、これからクレカを使い始める場合には注意すべき点です。

 

クレジットカードの仕組みを理解して、上手に利用することが資産形成にもつながります。

 

クレジットカードの利用が借金だという認識がない方もいると思います。

 

これからクレジットカードを使うことになる子供達には「借金」の怖さを伝えておくことが重要でしょう。

 

原則、個人でしてもいい借金はありません。特に、消費や浪費のための借金は絶対に避けるべきです。

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