資産形成の最大の敵は借金。
企業や個人事業主が事業を拡大するための借入はアリですが、個人の消費や浪費のための借金は避けるべき。
借金をしたまま資産運用をするのは効率的ではありません。
今回は、以下の本を参考に資産形成の最大の敵である借金について、下記ポイントを解説したいと思います。
- 借金を避けるべき2つの理由
- リボ払いは高金利の借金
- 個人の借金は繰り上げ返済すべき
借金の怖さを再認識した方は参考にしてください。
『図解 山崎元の お金に強くなる!』
借金を避けるべき2つの理由
著者の山崎さんは、個人が借金を避けるべき理由として、下記2点を挙げています。
- 利息が非常に高い
- 複利で増えていく
利息が非常に高い
借金を避けるべき1つ目の理由は、利息が非常に高いこと。
法律で定められた借金の利息の上限は下記の通り。
- 年20%:10万円未満のときの上限金利
- 年18%:10万円以上~100万円未満のとき上限金利
- 年15%:100万円以上のときの上限金利
株式投資で期待できるリターンが5~6%であることと比較すると、かなり高い。
借金をした人が全員お金を返すわけではないので、貸し倒れによる損失を考えると、どうしても借金の金利は高くなってしまいます。
複利で増えていく
借金を避けるべき理由の2つ目は、借入金は複利で増えていくから。
元本から発生した利息も元本に組み入れ、その元利合計に利息が発生するのが複利です。
つまり、利息が利息を生むのが複利。
複利は資産運用では強い味方になりますが、借金の場合は敵に回すこになってしまいます。
借金の逆複利効果は非常に恐ろしく、「利息が高い+複利効果」で恐ろしい速さで借入額は増えていきます。
例えば、10万円を年18%で借りて返済しないままだと4年で倍の20万円まで膨れ上がります。
更に8年後には約38万円に。
複利を敵に回すのは得策ではありません。
リボ払いは高金利の借金
最近は借金を借金であると感じさせずに利用させるケースもあります。その事例の1つがクレジットカードのリボ払い。
リボ払い(リボルビング払い)は、毎月決められた額を支払っていく方法なので、便利で利用しているという方もいるかもしれません。
リボ払いを借金と思わず利用している方もいるでしょう。
クレジットカードを作る時にリボ払いを設定するように勧められたことはないでしょうか。
私が以前作ったクレカは支払方法が自動的にリボ払いに設定されていて、カード到着後にわざわざリボ払いの設定を解除する必要がありました。
更に、リボ払いをすると獲得できるポイントが増えたり、キャッシュバックがあったりします。
カード会社は、あの手この手でリボ払いを利用させようとしています。
しかし、リボ払いは高金利の借金と山崎さんは指摘。
リボ払いは借金をしているように感じさせないようにしてあるところが怖いところ。
例えば、リボ払いでは「金利が手数料率」「利息が手数料」に置き換えられていて、借金という感じを抱かせない。
しかし、その実態は金利が実質年15%程度の高金利の借金。
金融リテラシーが低いと、借金と気づかずに借金をしてしまうことに。
実際のリボ払いのシミュレーション例は下記の通り。
(出典:オリコ)
10万円のものを買ってリボ払いを利用すると、毎月の返済額は3000円。毎月3000円の負担であれば気分的に楽と感じる方も多いでしょう。
しかし、全額返済するまでに44ヶ月もかかり、手数料(利息)は約3万円。
利用額に対して約30%もの利息を取られることになります。
リボ払いを気軽に利用するのは絶対に避けるべき。
民法の改正により2022年4月からは、満18歳になれば親権者の同意なしでクレジットカードが作れるようになりました。
これから18歳になるお子さんがいる場合には、リボ払いは高金利の借金であり、絶対に利用すべきでないことを伝えるといいでしょう。
個人の借金は避けるべき
原則として、個人が「していい借金」はないと山崎さんは指摘。
個人での借金は住宅ローンも含めて極力避けるべきです。
住宅ローンは借金ではないと考える方もいますが、その考え方は危険。
例えば、一部の物件を除いて資産価値が落ちていく可能性が高い日本の不動産に頭金なし35年のフルローンなどは、超ハイリスクです。
また、自動車ローンも金利が高いので避けるべき。
自動車ローンでないと買えない車であれば、それは贅沢と考えるべきでしょう。
借金返済に勝る運用はない
最近は低金利であることもあり、借金の金利よりも資産運用の期待リターンの方が高いケースでは、まとまった資金があっても繰り上げ返済せずに投資に回せという論調があります。
しかし、借金返済に勝る運用はないと山崎さんは解説。
一般的には、借金をしたまま資産運用をするよりも借金を返済をした後で運用する方が効率的としています。
株式投資の期待リターンは5%程度ですが、それなりのリスクを負ったうえでの期待値。
一方、借金の返済はリスクゼロで借入金の金利分の利回りを得ることができます。
なお、変動金利で住宅ローンを借りているケースでは、住宅ローン控除で返ってくる税金の方が支払う利息よりも多い場合もあります。
そのような場合は、住宅ローン控除が残っている間は繰り上げ返済をせず、ローン控除の期間が終わってから繰り上げ返済するのがいいでしょう。
今後、日銀が金利を上げていく可能性もありますので、まとまった額の資金があっても運用に回さず、繰り上げ返済できる原資として確保しておいた方が安心です。
まとめ
個人が消費や浪費のための借金は避けるべき理由は下記の通り。
- 利息が非常に高い
- 複利で増えていく
原則、住宅ローンを含めて個人が借金をしていいケースはありません。
また、現在は低金利の影響で借金の金利も低いですが、「借金返済に勝る運用はない」と考えるべきでしょう。
リスクとリターンの関係を考慮すると、借金をしたまま資産運用をするよりも借金を返済をした後で運用する方が効率的です。