無料という言葉には魅力があります。
「無料相談」や「見積無料」などと聞くと、お得な感じを受ける方も少なくないでしょう。
しかし、「無料」には注意が必要。
保険や資産運用の無料相談が保険ショップや銀行で行われていますが、本当にお得なのでしょうか。
今回は、保険や資産運用の無料相談の利用はお得なのかについて解説します。
生命保険や資産運用の無料相談はお得なのか?
ただより高いものはないと考えて間違いないでしょう。
無料相談を実施している保険ショップや銀行は金融商品(生命保険や投資信託など)を販売することにより手数料を得ています。
ボランティアでない限り、どこかで利益を出さなければ企業は倒産していまします。
例えば、保険料の負担を下げたくて保険の窓口などの保険ショップの無料相談を受けたとします。
仮に不要な保険を解約するだけでいいケースでも、何かしらの保険の勧誘を受けることがあるでしょう。
古い契約を解約して、新しい契約に乗り換えることで保険料が下がればいいですが、何かしらの理由を付けて保険料の高い商品をすすめられる可能性もあります。
人間には返報性の法則(何かをしてもらったら、お返ししたくなる心理)があるので、無料で相談に乗ってもらったから何かしらの保険に加入しないと申し訳ないという気持ちになる方も少なくありません。
保険ショップはモールの中などに高い家賃を払って店を構えていますし、無料相談を担当する社員などの人件費もかかっています。
保険ショップは保険会社から手数料を受け取ることで家賃や人件費を賄っているので、相談に来た人に何かしらの保険に加入してもらわないと倒産してしまいます。
では、銀行で行われている資産運用の無料相談はどうでしょう。
これも保険ショップと同じことで、銀行は一等地に店舗があり給与の高い社員が対応するわけですから、なるべく銀行の儲かる運用商品をすすめてくる可能性が高いことは想像に難くありません。
販売手数料が無料、信託報酬も0.1%程度のインデックスファンド(投資信託)を銀行ですすめられる可能性は低いでしょう。
販売手数料3%、信託報酬2%程度のテーマ型のアクティブファンドなど手数料が高い商品をすすめられる可能性が高い。
結局、無料とは名ばかりで気付かないところで高い手数料を払わされていたということになる方が多いでしょう。
無料に踊らされないための対策とは?
保険ショップや銀行などで行われている無料相談はどこで利益を出していのかを考える意識を持つことが重要。
営利企業である限り、どこかで利益を出さなければ倒産してしまいます。
保険ショップや銀行はどこで利益を出しているのかを考える。
保険ショップは相談に来た人から相談料を取らないので、相談に来た人に保険に加入してもらい、保険会社から手数料を受け取ることで売り上げを稼ぎます。
仮に、保険料の負担を減らしたいと保険ショップに相談に行った方が相談の結果、保険料が月1万円の生命保険を解約することにしたとします。
相談をしたのに無料では申し訳ないと、必要性を強く感じない月3000円の生命保険に加入したとします。
月3000円だからと考えがちですが、1年で3.6万円、10年加入すれば36万円。
不要な保険に加入すれば、トータルではかなりの出費になります。
一方、ファイナンシャル・プランナーなどの有料相談は1時間5,000円~1万円程度で利用できます。
無料相談を利用せず、適切な相談料を払って相談した方が最終的には得だったというケースも少なくないでしょう。
知識は無料という先入観を捨てる
日本人は目に見えない知識は無料という思い込みがあるように感じます。
しかし、その知識を得るのにどの程度のお金がかかるかを考える必要があります。
他人にアドバイスできるような有益な保険や資産運用の知識を得ようと思えば、お金と時間がかかるのは間違いありません。
貴重なお金をと時間を使わないと得られない知識を無料で得ようとすれば、無料相談の事例のように返って高いツケを払わされる可能性があります。
日本人も有益な知識には相応の対価を支払うという意識を持つことが重要でしょう。
結局、有益な知識にお金を支払う方が後々の出費を抑えられる可能性があります。
「お金の専門家」の探し方
では、有益な知識を提供してくれる「お金の専門家」はどこにいるのでしょうか?
本物の「お金の専門家」を探す方法の1つに日本FP協会のサイト利用があります。
FP協会のサイトからCFP資格を持っているFP(ファイナンシャルプランナー)を検索することができます。
CFP資格はFP業界の中で最も難しい資格で、それなりに難易度が高い資格。
難易度の高い資格を保有しているからといって有益な情報を提供してくれるとは限りません。
しかし、難易度の高い資格を取得しようと勉強するという点で意識は高い。
また、金融商品(保険や投資信託など)を販売しないFPも存在します。
最近では、ブログやYouTubeなどで情報発信しているFPも多いので、発信内容を確認して自分の考え方に近い方を探すといいでしょう。
なお、生命保険の保障内容を見直して新しい保険をすすめてもらいたいという場合は、モールなどにある保険ショップで無料相談を利用してもいいと思います。
しかし、ムダな保険を解約して保険料の削減をしたいという考えを持っているのであれば、相談料を払って保険などの金融商品を販売していないFPに相談することをおすすめします。
まとめ
保険や資産運用の無料相談は一見、お得に思えますが、手数料の高い保険や投資信託などの金融商品をすすめられる可能性があります。
知識は無料という概念が日本人にはありますが、それは捨てるべきでしょう。
有益な情報には相応の対価を支払うという考えを持つことが重要。
「お金の専門家」に相応の対価を支払って相談した方が、保険ショップや銀行の無料相談を利用するよりも最終的には安く済む可能性が高いでしょう。