今年に入ってインフレや円安が進む中で米ドルなどの外貨建ての資産を保有したいと考えている方は少なくないでしょう。
そのような方が真っ先に検討するのが外貨預金ではないでしょうか。
外貨に投資する手段としては外貨預金だけでなく、FX(外国為替証拠金取引)などもあります。
FXと聞くと危険な投機というイメージを持っている方も多いでしょう。
しかし、私は外貨預金を検討している方には、FXの利用をおすすめしています。
そこで今回は、外貨投資をする際に外貨預金よりもFXの利用をおすすめ理由について解説します。
外貨投資を考えている方は参考にしてください。
FX(外国為替証拠金取引)とは?
まずは簡単にFXの特徴について解説します。
FXとはForeign Exchangeの略で、外国為替証拠金取引と呼ばれています。
FXは米ドルと日本円など、通貨と通貨を交換し差金決済により為替差益を狙う取引です。
FXで得られる利益は為替差益とスワップポイント
FXで得られる利益は「為替差益」と「スワップポイント」の2種類があります。
為替差益
FXで得られる収益の1つは「キャピタルゲイン」である「為替差益」。
為替レートが安いときに買い、高いときに売ると差額分の利益が得られます。
例えば、1ドル100円の時にドルを購入して、ドル高円安に振れた1ドル110円の時にドルを売れば、10円(110円-100円)の為替差益を得ることができます。
スワップポイント
FXで得られるもう1つ収益は「インカムゲイン」である「スワップポイント」。
スワップポイントは通貨間の金利差調整額で、金利のようなもの。
低金利の国の通貨を売り、高金利の国の通貨を買うことで得られます。
例えば、金利の低い日本円を売り、高金利の米ドルを買えば、スワップポイントを得ることができます。
レバレッジで収益と損失が大きくなる
FXは取引額の一部に相当する証拠金を預けるだけで「外国為替」の取引を行えます。
これは少額で大きな金額の取引ができることを意味していて、「レバレッジ効果」と呼ばれています。
例えば、1ドル=100円のときに1,000ドルを買おうとすると、本来は10万円が必要。
しかし、FX取引では25分の1の金額から取引が可能。
よって、1000ドルを買うのに4,000円から取引ができるというメリットがあります。
保有資金よりも大きな取引ができるので、為替差益やスワップポイントが発生した時の収益はその分大きくなります。
だだし、レバレッジは諸刃の剣。
証拠金の25倍まで取引が可能なので、利益が証拠金の25倍になるメリットがある一方で、損失も25倍になるデメリットがあります。
外貨預金よりもFXがおすすめの理由とは?
上記のFXの特徴を押さえた上で、外貨預金よりもFXをおすすめする理由を解説します。
レバレッジを1倍にしてスワップポイントを得る
FXは危険で大きな損失を被る可能性があると認識している方も少なくないでしょう。
危険だと思われている原因がレバレッジです。
FXは先述の通り証拠金の25倍までレバレッジを掛けられるので、持っている資産の25倍の取引が可能。
レバレッジを最大限活用して為替差益を狙うと、大きな収益が見込める一方で大きな損失を被る可能性もあります。
しかし、レバレッジを1倍、つまり、レバレッジを掛けない取引もできます(レバレッジを調整できない会社もあります)。
例えば、1ドル100円の際に証拠金を10万円入れて1000ドルを買うような取引。
レバレッジを掛けないないので、短期間で大きな利益を得る事はできませんが、逆に大きな損失を被る可能性も下がります。
大きな為替差益を狙わずにレバレッジを1倍で高金利通貨を買えば、外貨預金で金利を得るようにスワップポイントを得る事ができます。
スワップポイントは休日を除き毎日受け取れ、申告分離課税なので、外貨預金の利息のように源泉徴収されません。
また、個人口座の場合はスワップポイントを受け取った時点で課税対象となります。
よって、スワップポイントを受け取らずに再投資に回せるFX会社を選べば、課税されることなく運用に回せるので課税の繰り延べが可能。
外貨預金に比べて、利息が次の利息を生む“複利効果”が高くなります。
外貨預金は為替手数料が高い
外貨預金をする際には為替手数料がかかります。
大手の都市銀行では、円からドルへの両替で片道1円。更にドルから円への往復では2円取られる場合があります。
仮にドルの金利が低ければ、受け取れる利息が支払う手数料を下回るケースも発生し得ます。
一方、FXの売買手数料は基本無料。
ただし、実質的なコストとしてスプレッドがあります。
スプレッドとは、通貨ペアごとにあらかじめ設定されている「為替レートの売値と買値の差」のこと。
スプレッドはFX会社毎に異なりますが、円をドルに変える場合では0.2銭程度。
外貨預金の為替手数料と比べると、非常に安いことが分かります。
金融機関が破綻した場合のリスク
外貨預金は預入先の金融機関が破綻した場合、預金保険の対象外。
よって、破綻した金融機関の財産状況によっては、預金額の一部をカットされて全額が戻ってこない可能性があります。
一方、FXの場合は資産がFX会社から切り離されて信託保全されているため、FX会社が破綻した場合でも資産の全額が保証されます。
FXで外貨投資をする際の注意点
FXで外貨預金のようにスワップポイントを狙う取引はメリットだけでなく、下記のような注意点もあります。
スワップポイントは支払うこともある
スワップポイントは受け取るだけでなく、取られるケースもあることには注意が必要。
高金利の国の通貨を売って、低金利の国の通貨を買った場合には、日々スワップポイントの支払いが発生します。
また、金利差が逆転するとスワップポイントの受取りと支払いの関係が逆転します。
例えば、金利の低い日本円を売って金利の高い米ドルを買い、スワップポイントを受け取っていたとします。
経済情勢が変わり、日本の金利が上がり、米国の金利が下がった場合、受け取っていたスワップポイントを逆に支払う事になるケースも発生し得ます。
レバレッジは掛け過ぎない
レバレッジが高ければ為替差益もスワップポイントも多くなりますが、レバレッジの掛け過ぎには注意が必要。
当初はレバレッジを掛けずにスワップポイントを狙っていても、レバレッジを掛ければ収益が大きくなるという誘惑に負けてしまう方もいるでしょう。
人間は慣れてくると少しずつ警戒心が薄れていくもの。
警戒心が薄れたところで為替の大きな変動があれば、大きく資産を減らしてしまう可能性があります。
高金利通貨はリスクが高い
トルコリラのような高金利通貨は得られるスワップポイントも多くなります。
しかし、トルコリラのような新興国の高金利通貨を買うことはおすすめできません。
私の事例のように受け取る金利は高くても通貨の価値が大きく下がってしまうと、受け取る利息を遥かに上回る為替差損を被る可能性があるので注意が必要です。
まとめ
外貨投資というと外貨預金を連想する方が多いでしょう。
しかし、外貨預金を検討するのであれば、FXでレバレッジを下げて長期でスワップポイントを狙う活用法もおすすめ。
FXのメリット・デメリットを確認して活用して頂ければと思います。