私の周りでもS&P500などの指数に連動する投資信託を積立投資している方が増えていて、日本人の金融リテラシーも上がってきているように感じます。
しかし、今年はFRBの利上げをきっかけに年初から米国株式市場は全体的に下落傾向。
そんな中、円が24年振りに1ドル144円を突破して年初から25%も安くなりました。
ここまで円安が進むと「円高になるまでインデックス投資は控えるべきではないか?」などと思う人もいるかもしれません。
しかし、結論から申し上げるとインデックス投資は継続すべき。
今回は、為替相場のインデックス投資への影響と、円安局面でもインデックス投資を継続すべき理由について解説します。
インデックス投資への為替相場の影響
インデックス投資をする際に、米国株や世界株式型の投資信託は日本円で購入しているので為替の影響を意識している方は少ないかもしれません。
しかし、投資信託を通して海外の株式を購入しているので、日本円で購入している投資信託も下記の通り為替の影響を強く受けます。
円高になると為替差損が発生
投資信託購入時の米国株の時価が100ドルで為替が1ドル140円だった場合、日本円の時価は14,000円となります。
しかし、円高で1ドル100円となれば、米国株の時価が100ドルで変わらない場合でも評価額は10,000円となり、4,000円の評価損が発生。
為替の動きも運用成果に大きな影響を与えることが分かります。
現状は海外株の下げを円安でカバー
一方、投資信託購入時の米国株の時価が100ドルで為替が1ドル100円だった場合、日本円の時価は10,000円。
米国株の時価が90ドルに下がっても円安で1ドル150円となれば、評価額は13,500円となり3,500円の評価益が発生します。
米国株の下げを円安がカバーしている実際の事例は下図の通り。
(出典:googleファイナンス)
上図の通り、S&P500は2022年の年初から9月の初めまでで約15%下落しています。
(出典:マネックス証券)
しかし、上図の通り、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は年初からは5%上昇しています。
米国株の下げを円安でカバーしている状態です。
今後の為替相場の動きを正確に予想する事はできない
それでは、ここから円安局面でもインデックス投資を継続する理由を解説します。
円安局面でもインデックス投資を継続する理由の1つ目は、今後の為替相場の動きは誰にも分からないから。
専門家と称する人達がテレビや新聞などで為替の予想をしていますが、予想が外れることの方が多いのが現状。
ここ最近のドル円相場を考えると、現状は円安という判断ができますが、これからも一本調子で円安が進み続ければ、今が一番円高だったということになります。
この先も一本調子で円安が進み続けることはないと思いますが、その可能性はゼロではありません。
長期的には円安の可能性
現状は円安と言われていますが、いつの為替に対して円安と考えているのでしょうか。
最近10年ほどの為替相場から考えれば、現状は円安と考えられますが、未来に対しては現状でも円高かもしれません。
日本と米国の国力の差を考えれば、今後のドル円相場は緩やかに円安方向に進むことが予想されます。
米国はこれからも人口が増えて経済成長することでしょう。
一方の日本は少子高齢化が進み、大きな経済成長は期待できません。
日本で現状のような政治状況が続けば、短期的に円高に振れることはあっても、長期的に考えれば円安が進む可能性が高いと思います。
これから10年~20年後には1ドル200円超という時代がやってくるかもしれません。
そうなれば、現状の為替相場は円高だったと判断できることになります。
米国を中心とした世界の株式は今後も成長する
円安局面でもインデックス投資を継続する理由の2つ目は、米国を中心とする世界の株式市場は今後も成長を続けていくだろうから。
多少の円高局面が来ても世界の株式市場の成長を取りこぼさなければ、為替差損はカバーできるでしょう。
積立途中に円高になれば、安く買えるチャンスと捉えることもできます。
また、一般人が中途半端に相場を読んで売買すれば、大きな上昇を取り逃す可能性が高いでしょう。
実際、チャールズ・エリスは『敗者のゲーム』の中で、「投資家は稲妻が輝く瞬間に市場にいなければならない」と書いています。
『敗者のゲーム』の中には、有名な下記のようなデータが掲載されています。
1980年〜2016年にSP500に投資した場合の運用利回りは年利11.4%。
しかし、下記のように上昇相場を少し取り逃がすだけで、運用利回りはどんどん下がっていくことが分かります。
- ベスト10日を取り逃すと年利9.2%
- ベスト20日を取り逃すと年利7.7%
- ベスト30日を取り逃すと年利6.2%
インデックス投資で最も重要なことは運用を長期継続することであって、自分の判断で売買を繰り返すと大きな上昇を取り逃す可能性が高まるだけでしょう。
まとめ
現状のような円安局面でもインデックスファンドの積立投資は淡々と継続すべき。
アメリカを中心とした世界経済は長期で見れば力強く右肩上がりで成長するという前提が崩れない限り、積立投資を止めるべきではありません。
そもそも、投資のタイミングを図るのが難しいからインデックス投資をしているのに、為替の動きに合わせて投資をするのであれば、タイミングを図ろうとしていることになります。
株式も為替も相場は読めないものと考えるべき。
インデックス投資で最も重要な事はルールを守って長期継続すること。
ルールを守って長期で継続できれば、複利の力を活用して資産を増やせる可能性は高まります。