大方の予想を覆し、石破茂氏が自民党の新総裁に選出され、第102代内閣総理大臣に選出されました。
新内閣を「納得と共感内閣」と自ら命名し、ルールを守る政治を実現することで国民に信頼される内閣を目指すとのことです。
衆院議員選挙の結果次第ではありますが、石破新首相の手腕如何によって日本の将来が大きく変わり、日本国民の生活に大きな影響を与えます。
多くの方が一番気になるところは「我々一般庶民の生活が良くなるのか?」ということではないでしょうか。
結論から申し上げると、石破さんが総理になることで日本経済が良くなることはないでしょう。
石破さんの行うであろう経済政策を確認して日本経済が復活しない理由について解説します。
これからの生活水準が気になる方は参考にしてください。
なお、当記事の要点をサクッと聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
石破新首相の経済政策
石破さんが首相になったことでどのような経済政策が行われるのでしょうか?
まず、石破さんが明確にしたことは、岸田前内閣の方針を継承するです。
岸田前首相は「増税クソメガネ」と揶揄された人物。
実際、岸田政権では下記のような増税論議が目白押しでした。
- インボイス導入
- 森林環境税
- 再エネ賦課金の引き上げ
- 子育て支援金
- 法人税・所得税増税
- たばこ税増税
- 走行距離税
- 配偶者控除縮小・廃止
- 扶養控除縮小
- 退職金控除縮小
- 給与所得控除縮小 など
既に導入されているインボイスや森林環境税の他、退職金控除などの控除の縮小・廃止なども議論されました。
更に、2025年度のプライマリーバランス(PB)黒字化目標を閣議決定。
岸田前政権は財務省にコントロールされ、歳出削減と増税の緊縮政策が行われてきました。
その結果、戦後最長である26ヶ月連続で実質賃金マイナスという不名誉な記録を樹立。
石破さんは、戦後最長で国民を貧しくした前政権の方針を継承するとのこと。
もともと石破さんは緊縮脳の持ち主なので、財務省主導のもと緊縮財政が行われる可能性大です。
次項以降で、日本経済に影響する石破氏の政策をチェックしていきたいと思います。
金融所得課税の強化
石破さんは総裁選時には金融所得課税の強化を唱えていました。
しかし、首相就任後は「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や新NISA(少額投資非課税制度)の税を強化することは毛頭考えていない」などと釈明。
岸田前首相が進めた資産運用立国の政策も続け貯蓄から投資の流れを推進するとしています。
総裁選の翌営業日の9月30日に円高・株安の「石破ショック」もあったので、しばらくは金融所得課税の話は封印するでしょう。
個人的には、格差是正の意味で金融所得は総合課税にするなどの措置は必要だと思います。
しかし、現在のような経済情勢下で議論することではありません。
金融所得課税の強化などは、日本経済が復活してから検討すれば十分。
現状、経済の足を引っ張るような議論はすべきではありません。
2020年代に最低賃金を1500円に引き上げ
岸田前首相は2030年代半ばまでに最低賃金を1500円に引き上げることを目標にしていました。
石破首相は前首相の目標を上回る2020年代に最低賃金1500円を目指すとしています。
この目標は日本国民にとってプラスと感じる方が多いと思いますが、本当にそうでしょうか。
最低賃金の引き上げは、円安などの要因で大きな利益を叩き出している大企業にとっては余裕でしょう。
しかし、人件費や燃料費の高騰などを商品価格に転嫁することが難しい中小企業にとっては苦しい目標。
国(政府)が賃金を上げろと要求しても、企業側にその原資がなければ「ない袖は振れぬ」状態になります。
国(政府)の仕事は賃上げを声高に叫ぶことではなく、景気を浮上させるなどの形で企業側が賃上げできる環境を作ること。
景気を浮上させることなく賃上げを強要すれば、中小零細企業などは賃金引上げができずに人を雇うことが難しくなります。
最悪、人手不足倒産の激増を招くだけということもあり得るでしょう。
企業の倒産が増えれば景気の悪化という形で多くの国民にマイナスの影響が出ることになります。
また、年収の壁も問題。
税金や社会保険の加入などで「103万」「106万」「130万」などの壁があります。
最低賃金を上げても年収の壁を引き上げなければ、働く時間を抑える人が多くなることが予想されます。
結果、労働者一人当たりの労働時間が減り、人手不足に陥ることになります。
日本銀行(日銀)の利上げ
石破首相は、総裁選で日本銀行(日銀)の利上げを容認する発言をしていました。
しかし、9月2日に行われた日銀の植田和男総裁との会談後に「個人的には追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言。
今回の発言は、総裁選後の円高・株安の「石破ショック」を受けて対処療法的に発言しただけの可能性もあります。
総裁選時に石破氏と決選投票に臨んだ高市早苗氏は「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言しましたが、全くその通り。
現状、米国や欧州などが利下げを議論している中で日本だけが逆方向の利上げを議論。
欧米などの経済情勢によっては極端な円高に振れる危険性があります。
確かに日銀が金融緩和を長く続けている現在の状況は異常。
しかし、金融緩和を続けざるを得なくしている根本原因を除去することなく、利上げを行うのは愚の骨頂。
日銀が金融緩和を続けてきた理由は、長期間デフレから抜け出せないほど日本が低成長だから。
この根本原因である「日本の低成長」という問題を除去せずに利上げしても、また金融緩和が必要な状態に戻るだけです。
総選挙後に緊縮・増税路線に転向の可能税も
10月27日に投開票が行われる衆院選の結果、石破さんが政権を担うことになれば、国民の信任を得たということで緊縮・増税路線に転向する可能性があります。
石破首相は「経済あっての財政との考えに立つ」と明言しましたが、これまで財政規律を重んじる発言もしてきました。
総選挙後に日銀が再利上げすることになれば、財務省は利払い費が膨らみこれ以上国債を発行できないという展開に持ち込むでしょう。
そうなれば、消費税の増税なども議論に上がってくる可能性があります。
石破氏は総裁選での討論で消費税率の引き上げについて「現時点では考えていない」とする一方、「党税調で議論」と将来実施に含みを持たせていました。
立憲民主党の党首になった野田佳彦氏も消費増税派なので、与野党で協議して消費税を15%に引き上げるのではないかという話もあります。
仮に消費税を現状の10%から更に5%も引き上げるようなことがあれば、今度こそ日本経済は奈落の底に落ちるでしょう。
1997年に消費税を5%に引き上げてから日本経済は約30年に渡り停滞しました。
「失われた30年」を経験してもまだ消費税の引き上げを議論するなど正気の沙汰とは思えません。
いい加減現実を直視してこれまでの経済政策の誤りを修正すべきです。
まとめ
なぜか世論調査では人気が高い石破さん。
しかし、総裁選の前後で発言がブレブレで全く信用できないというのが個人的な感想。
今回の総裁選で、改めて自民党の腐敗ぶりが鮮明になりました。
日本は存亡の危機に面しているのに、多くの自民党議員たちは党利党略のために動いているとしか思えません。
現在の自民党が政権を担う限り、国民の方を向いた政治は行われず、政治屋と一部の特権階級だけを豊かにする政治が行われるでしょう。
10月27日に投開票が行われる総選挙の結果が私たち一般庶民の生活に大きな影響を与えます。
国民が真剣に政治を監視しない限り、これまで通りの腐った政治が続きます。
政治屋による腐った政治が続く限り、私たち一般庶民の貧困化は止まらないでしょう。