新型コロナウイルス感染拡大の影響で、住宅ローンが払えないという相談が増えているようです。
最近では首都圏だけでなく、全国的に「第2波」レベルで感染者が増えています。
現在のような新規感染者数が続けば、特定の地域で緊急事態宣言を再度出す必要があるかもしれません。
そうなると、住宅ローン破綻が急増する可能性があります。
しかし、住宅ローン破綻が増える理由は、新型コロナウイルスの影響だけなのでしょうか?
今回は、ムリな住宅ローンを組んだときの危険性について考えてみたいと思います。
- 住宅ローン破綻が急増!?原因はコロナの影響のみ?
- 長期の住宅ローンの危険性|終身雇用は続くのか?
- 頭金なしのフルローンの危険性|オーバーローンとは?
- ボーナス併用払いは危険?|ボーナスは保証されていない!
- 住宅ローン破綻を防ぐには?|無理な住宅ローンを組まないこと
- まとめ
住宅ローン破綻が急増!?原因はコロナの影響のみ?
今後、コロナ禍の影響が長引けば、住宅ローン破たんが急増する可能性があります。
住宅ローン破たんと聞くと、原因は新型コロナウイルスの感染拡大かというイメージを持ってしまいます。
しかし、住宅ローン破たんの原因は、コロナ禍の影響だけでなく、もともと無理なローンを組んでいる方が多いのも事実だと思います。
例えば、今の時代に「頭金なしで35年ローン、ボーナス払い併用」など、個人的には正気の沙汰とは思えません。
長期の住宅ローンの危険性|終身雇用は続くのか?
今後の日本経済が右肩上がりの成長を期待できるのであれば、長期のローンも問題ないでしょう。
しかし、これからの時代に35年などの長期ローンを組むのは非常に危険です。
35年先のことなど誰にも分かりませんが、これからの日本の経済情勢は、よくて現状維持、下手をすると右肩下がりの時代が来る可能性があります。
そんな時代に35年もの長期でローンを組むことはリスク以外のなにものでもありません。
今後、日本では終身雇用という考え方がなくなる可能性がありますし、そもそも、今勤めている会社がローンの支払いが終わるまで存続していると断定できるでしょうか。
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退職金で住宅ローン返済は危険
また、多くの金融機関では住宅ローンの完済年齢の上限を75歳に設定していて、実際に多くの方がこの年齢を完済年齢に設定しているようです。
そのような方は退職金でローンを返済することも考えていると思いますが、退職金で返済することを前提とした住宅ローンを組むのは危険です。
今後の日本では、退職金が減る又は、退職金制度を廃止する企業も出てくると思われます。
数十年後の退職金をあてにする返済計画はリスクが高いと言わざるを得ません。
また、退職金でローンを返済すると、老後資金も不足します。
「老後2000万円問題」が炎上し、公的年金だけでは老後資金が足りないと話題になったにもかかわらず、老後資金を減らす返済計画は無謀です。
頭金なしのフルローンの危険性|オーバーローンとは?
家を買った方の話を聞くと、頭金ゼロというケースが結構あります。
近年では、頭金だけでなく、住宅の取得にかかる諸費用(仲介手数料や火災保険料、リフォーム費用など)までローンを組むことができ、自己資金ゼロでも住宅を購入することができます。
しかし、自己資金ゼロの住宅ローンは非常に危険です。
特に新築は、住宅価格に宣伝広告費などが上乗せされていることや入居した瞬間から中古になることもあり、価格が一気に2割程度下がると言われています。
つまり、頭金なしのフルーローンの場合、買った瞬間から「ローン残高>家の資産価値」である債務超過の状態になってしまいます。
仮にローン返済ができなくなって、自宅を売却することになったとしても、ローンを完済でません。
このような自宅が売れる金額(自宅の資産価値)よりも住宅ローンの残債の方が大き状態を「オーバーローン」と言います。
自宅を売ってもローンが残るようなことになってしまうと、最悪、自己破産ということになります。
頭金なしのフルローン・35年返済だと、このオーバーローンの状態が解消されるまでに20年~30年かかります。
常に自己破産のリスクを抱えながら生活をしていることになります。
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ボーナス併用払いは危険?|ボーナスは保証されていない!
ボーナス併用払いでバブル崩壊後にローン破たんする人が多発したため、現在、ボーナス払い併用を利用する方は減っているようですが、ボーナスを前提とした住宅ローンの組み方も危険です。
「ボーナス払い併用」とは、ボーナス月は多めに支払うことで、通常月の支払いを軽減できる返済方法です。
ボーナスはあくまでも会社の業績と連動するため、今年もらえたからといって来年も支払われる保証はありません。
コロナ禍の影響で夏のボーナスは大幅カット、冬のボーナスはゼロというケースもあるでしょう。
住宅ローン破綻を防ぐには?|無理な住宅ローンを組まないこと
結局、住宅ローン破綻を防ぐには、「ムリな住宅ローンは組まない」という結論に至ります。
人生では何が起こるか分かりません。
今回のような誰も予想していなかった新型コロナウイルス蔓延というような事態が起こることもあります。
不測の事態に見舞われたときに余裕を持った返済計画を立てていないと、一気に破たんということになってしまいます。
なお、一般的に家計に無理なく余裕をもって返済できる基準としては年間の返済額の年収に占める割合(返済負担率)は最低でも25%以下、できれば20%以下だと言われています。
これからの時代は、経済が下がっていくことを前提に下記のポイントを押さえ、購入する物件を選ぶべきです。
- 毎月のローン返済額に余裕はあるか?
- 35年など、長期のローンを組まないと買えない物件を選ばない
- ボーナスをあてにする返済計画を立てない
- 頭金なしのフルローンは組まない
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まとめ
リスクばかりを気にすると、家を買えなくなってしまいますが、上記のようなリスクがあることを認識したうえで、ムリのない返済計画を立てて頂ければと思います。
これからローンを組んで住宅を購入する予定の方は、上記のようなリスクを念頭に物件選びをして頂ければと思います。
また、長期間、大きな借金をすることになるので、住宅ローンの仕組みもよく理解する必要があります。
なお、現在、住宅ローンを組んでいて既に返済が苦しいという方は、金融機関に相談するようにしてください。
コロナ禍で金融機関は個人向け融資の条件変更に柔軟に対応しています。