先日、火災保険の保険期間が最長10年から最長5年に短縮されると報道されました。
契約できる保険期間が10年から5年に短くなることで、どんな影響があるのかピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
保険期間10年の火災保険が廃止されることにより、多くの方の保険料負担が増える可能性があります。
そこで今回は、火災保険の保険期間10年の契約が廃止された場合の契約者への影響と、その影響を避けるための対策について解説したいと思います。
火災保険の保険期間10年が廃止される理由とは?
なぜ、火災保険の保険期間10年は廃止されるのでしょうか?
火災保険の保険期間10年が廃止される主な理由は、下記の2つ。
- 長期間の災害発生リスクを予測することが難しくなった
- 火災保険料の値上げを早く反映させるため
それぞれ解説したいと思います。
長期間の災害発生リスクを予測することが難しい
火災保険料は契約期間中に、災害が発生する確率や保険金の支払額を予想して決定しています。
しかし、近年では地球温暖化などの影響により自然災害の将来予測に不確実な要素が増え、長期間の災害リスクを予測することが難しくなっています。
長期間の災害リスクを見誤ると、大きな保険金の支払いで保険会社の経営が傾いてしまう可能性もあるでしょう。
火災保険料の値上げを早く反映させるため
近年、自然災害が相次ぎ保険金の支払いが増えているために、火災保険料は2015年10月に2~4%、2019年10月に6~7%、2021年1月に平均6~8%程度、引き上げを繰り返してきました。
しかし、保険期間10年などの長期で契約している火災保険に関しては、契約を更新するまでは値上げした保険料は反映されません。
例えば、2年前に契約した保険期間10年の火災保険であれば、保険会社が今年、保険料の値上げを実施しても、値上げした保険料率が適用されるのは契約が更新される8年後になってしまいます。
保険期間を最長5年にすれば、最長でも5年後には値上げ後の保険料率が反映されることに。
保険会社としては、最長の保険期間を短くすることにより、値上げした保険料をより早く反映させることが可能となります。
いつから保険期間10年は火災保険契約は廃止される?
火災保険の保険期間10年が廃止されるのは、2022年度下期からと報道されています。
なお、保険会社によっては廃止の時期が異なる可能性があります。
また、保険期間だけでなく保険料も引き上げられる見通しとのこと。
契約者にとってはダブルパンチとなります。
火災保険の保険期間10年が廃止されることによる影響とは?
火災保険の保険期間10年が廃止されることによる契約者に対する影響は下記の通りです。
長期契約の保険料支払総額が高くなる
火災保険は長期契約にすることにより、保険料が安くなります。
保険期間が長くなるほど、保険料は割安となり、現状は保険期間10年の火災保険料が一番安くなります。
下記試算条件で、大手損保会社の火災保険料を1年、5年、10年で比較すると、下記の通り。
【試算条件】
所在地:東京都
物件種別:専用住宅
構造:T構造(鉄骨造)
保険金額:2,000万円
保険の対象:建物
補償内容
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹災、雪災
・盗難・水濡れ等
保険期間:1年間
保険料:23,850円
保険期間:5年間(長期一括払い)
保険料:107,200円
保険期間:10年間(長期一括払い)
保険料:212,890円
上記の通り、保険期間を5年間にすると、1年あたりの保険料は21,440円(107,200円÷5年)となり、保険期間1年の保険料と比較すると、2,000円以上安くなります。
また、保険期間を10年にすると、1年あたりの保険料は21,289円(212,890円÷10年)となり、保険期間1年の保険料と比較すると、2,500円以上安くなることに。
今後、保険期間が最長5年となれば、10年間で支払う保険料は214,400円(107,200円×2)となり、支払総額は現在よりも1,510円高くなってしまいます。
保険料改定の影響が早く反映される
上記の通り、保険期間の最長年数が短くなれば、火災保険料の改定の影響が早く反映されることになります。
値上げを回避しようと長期契約をしても、値上げを避けられる期間が10年から5年に短縮されてしまいます。
火災保険の保険期間10年が廃止される影響を回避する方法は?
2022年度に予定されている火災保険の改定の影響を避けるための方法は下記の通りです。
長期契約により値上がりの影響を先送りする
上記の通り、値上がり前に保険期間を長期にすることにより、値上げの影響を保険期間分だけ先送りすることが可能。
火災保険料が値上げされる2022年度下期前に火災保険を保険期間10年で契約すれば、値上がり前の料率で10年間加入できます。
火災保険料改定前に保険期間10年で加入すれば、値上げの影響を受けるのは保険期間が終了する10年後の2032年以降。
火災保険料の値上げの影響を10年後に先送りできます。
特に、現在契約している火災保険が改定前に満期となるケースでは、可能な限り10年で契約し、保険料値上げについても影響を回避すべき。
現在契約している火災保険が、2022年度下期の改定直後に満期となるケースでは、改定前に途中解約して、保険期間10年の火災保険に加入し直すことを検討してもいいでしょう。
補償内容を見直し、保険料を節約する
今後、自然災害が増えることが予想されていますので、火災保険料の値上げ傾向が続く可能性が高いと思われます。
補償内容いついてもムダがないかを確認して見直すことで、保険料の節約を検討する方がいいでしょう。
以前の火災保険は、補償内容が定型の商品が主流で、補償内容を選ぶことはできませんでした。
しかし、最近では、補償内容を選ぶことができる火災保険も販売されています。不要と思う補償を外すことによって、保険料を節約するこも可能。
なお、補償内容は絞れば絞るほど、保険料が割安になるのですが、補償内容の選択は慎重に行うようにしてください。
特に、水災の補償は、ハザードマップなどを確認し、外すかどうかの選択は慎重に行うことをおすすめします。
今まで水害がなかった地域でも今後も発生しないという保証はどこにもありません。
火災保険の「一括見積もり」で複数社の保険料を比較
火災保険も自動車保険と同じように、保険会社によって保険料が異なります。
複数社の火災保険料を比較することにより、今より安い火災保険に乗り換えられる可能性があります。
補償内容を見直すとともに、複数社の保険会社を比較してみてはいかがでしょうか?
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まとめ
火災保険の保険期間10年が廃止される理由は、下記の2つ。
- 長期間の災害発生リスクを予測することが難しくなった
- 火災保険料の値上げを早く反映させるため
火災保険の長期契約が最長10年から最長5年に短縮されることにより、契約者の方には下記のような影響が出ます。
- 長期契約の保険料支払総額が高くなる
- 保険料改定の影響が早く反映される
上記の影響を避けるためには、火災保険改定前に保険期間10年の契約をすることで、改定の影響を10年後に先送りすることが可能。
また、今後も自然災害の増加が影響されているため、補償内容の見直しや複数社の比較により、火災保険料の節約を考えることが必要です。