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首里城が火災で全焼、出火原因は放火?|放火された場合でも火災保険で補償される?


沖縄のシンボルでもあり、世界遺産にも登録されている那覇市の首里城跡に復元された首里城で火災が発生しました 

那覇市消防局は出火原因の特定を急いでいるようですが、出火時間が深夜だったため、火災の原因は放火ではないかという情報もあります。

 

仮に放火が出火原因だとすると、火事を防ぐことは難しいでしょう。

放火が火事の原因だとしたら、「放火された場合でも火災保険で自宅の建物や家財は補償されるのか?」と不安に感じる方も多いと思います。

 

そこで今回は、放火された場合と類焼した場合の火災保険の補償について解説します。

 

1.首里城が火災で全焼|出火原因は放火?焚き火?タバコ?

首里城は、琉球王国時代のおよそ500年前に建てられました。

昭和8年に国宝に指定されましたが、太平洋戦争中の沖縄戦で焼失しました。 平成4年以降正殿などが復元され、平成12年には城跡が県内にあるほかの城跡とともに「世界遺産」に登録されています。

 

首里城の建屋は国が所有しいて、2019年2月1日以降、管理および運営が国から沖縄県に移管されています。

沖縄県の管理期間は2019年2月1日から2023年1月31日までと指定されていて、同県は指定管理者である一般財団法人沖縄美ら島財団に管理を行わせています。

 

なお、世界遺産への登録は「首里城跡(しゅりじょうあと)」で、復元された建物や城壁は、世界遺産に含まれていません。

 

首里城で火災が発生したのは、2019年10月31日午前2時40分ごろです。那覇市の首里城で「煙が上がっている」と警備会社から119番通報がありした。

正殿などが激しい炎を上げて燃え、首里城の正殿と北殿、南殿がいずれも全焼しました。

首里城公園地図

(出典:首里城公園HP

 

沖縄県の那覇市消防局は、首里城火災の出火元は正殿の可能性が高いとしています。

首里城の火災でこれまでに正殿、北殿、南殿など7棟が焼け、約4200平方メートルが焼失しています。

 

今回の火災では、非常に貴重な文化遺産が焼失してしまいましたが、火災の原因は何だったのでしょうか?

いろいろな憶測が出ていますが、まだ、火災の原因は特定されていません。

 

出火原因は焚き火?

「(首里城の裏の公園で)焚き火をしている中学生くらいの人がいた」 との情報があり、焚き火の不始末が原因である可能性もあります。

 

出火原因は天井裏の電気?

また、天井裏の電気が出火の原因という情報もあります。 

 

出火原因は放火?

なお、火災が発生した時間が深夜だったため、放火が原因ではないかという情報もあります。

 

出火の原因はイベント準備中の失火?

首里城では、「首里城祭」が開かれていて、火災前夜から未明にかけて同イベント準備が行われていました。その際に何らかの原因で失火した可能性も指摘されています。

 

出火原因はタバコの不始末?

「首里城を燃やした犯人は僕です」という動画をUPしたYouTuberも現れました。火災の原因はタバコの不始末ということですが、真偽のほどは定かではありません。

 

11月2日現在、火災の詳しい原因を調べるため、警察と消防が合同で現場検証を行っていますが、大量のがれきが残っているため、検証は最短でも数日かかるようです。

火災の原因が分かるまでには、まだ時間がかかりそうです。

 

 

2.首里城は火災保険に加入していたのか?

内閣府によると、全焼する前の首里城の復元にかかった総事業費は、33年間(1968年度~2018年度)で240億円に上るそうです。

首里城の再建には相当な費用と時間がかかると予想されていますが、火災保険には加入していたのでしょうか?

 

琉球新報によると、首里城は火災保険に加入していたそうです。

県の担当課によると、首里城は火災保険に加入している。ただ、どの程度の保証があるかは現段階では不透明だ。(出典:琉球新報

 

上記の通り、首里城は火災保険には加入しているようですが、記事内容から推測すると、復元費用全額が補償される契約内容にはなっていないのではないでしょうか。

 

首里城は木造で、補償額(保険金額)も大きくなるので、保険料も莫大になってしまいます。火災などによる損害を全額補償するような火災保険に加入するのは保険料の面で難しいと思います。

 

首里城の再建に向けた動き

上記の通り、首里城が加入していた火災保険からの保険金で完全に再建費用を賄うのは難しいでしょう。

しかし、国や沖縄県、那覇市は首里城の再建に向けて動き出しています。

 

安倍晋三首相は11月1日に首相官邸で、「極めて重要な建造物だ。政府として責任をもって全力で債権に取り組んでいくことを約する」と語っています。

 

また、沖縄県や那覇市は、首里城再建のための寄付の受付を開始しています。

沖縄県は、HPやふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」から再建費用の寄付ができます。また、那覇市は、本庁舎や支所に募金箱を置くとともに、ふるさと納税サイトからの寄付も受け付けています。

 

首里城再建費用の寄付をお考えの方は、ふるさとチョイスの『沖縄のシンボル「首里城」再建支援プロジェクト』の下記ページをご参照ください。

www.furusato-tax.jp

 

 

3.放火が原因で火災が発生した場合も火災保険で補償される?

今回の火災の原因は特定されていませんが、放火が原因の可能性があるという情報を聞いて、「自宅が放火された場合には、火災保険で補償されるのか」と心配になった方もいると思います。

放火された場合でも火災保険で補償されるのでしょうか?

 

放火が原因で火災が発生し、自宅建物や家財(家電や家具、衣類など)に損害が発生した場合でも、火災保険で補償されます。

 また、今回の火事では、首里城の裏の公園での焚き火の不始末が原因であるという情報もありますが、焚き火の不始末が原因で自宅建物や家財が燃えた場合にも火災保険で補償対象となります。

 

身内が放火した場合は補償対象外

放火が原因でも火災保険は補償対象となりますが、補償対象外となるケースもあります。それは、家族などの身内が放火した場合です。

火災保険のパンフレットには、火災保険の保険金が支払われない主な場合として、下記のような記述があります。

契約者、被保険者(補償を受ける方)、またはその同居の親族等の故意もしくは重大な過失または法令違反によって生じた損害

保険金詐欺が目的で、契約者本人やその家族が自宅に火を付ける場合もありますが、そのようなケースでは、火災保険の補償はありません。

 

 

4.延焼して自宅が燃えた場合、隣家から賠償してもらえる?

今回の首里城の火事のニュース映像を見ていると、激しく燃え上がる火の粉が民家にも降りかかる様子が映っています。

火事で怖いのは、延焼です。例えば、隣家から出火し、もらい火で自宅が燃えた場合、火元の隣家に自宅の損害は賠償してもらえるのでしょうか?

 

実は、隣家が出火し、もらい火で自宅に延焼した場合、原則、隣家に自宅の損害を賠償してもらうことはできません

 

日本には「失火の責任に関する法律」(失火責任法・失火法)という法律があり、重大な過失がなければ、類焼の損害を賠償する必要はないことになります。

 

失火責任法は明治32年に制定された古い法律で、当時は木造家屋がほとんどでした。よって、一旦火災が発生すると、近隣の家族に類焼することが多く、損害額が大きくなりました。

火元の人に莫大な損害額を賠償させるのは不可能なので、重大な過失(重過失)がない限り類焼の責任を負わせないという趣旨で失火責任法が制定されました。

 

失火責任法(失火法)の重大な過失(重過失)とは?

さて、失火法で気になるのは、重大な過失(重過失)ではないでしょうか?

どのような場合に重大な過失と判断されるのでしょうか?過去の判例は下記のような事例で重過失とされました。

 

【火災の原因が重過失とされたケース】

  • 寝タバコにより火災を発生させた
  • 石油ストーブをつけたまま給油、石油がこぼれて引火し、火災を発生させた
  • 天ぷら油を日にかけたまま、その場を離れ、火災を発生させた

 

最近の事例では、2016年12月12日に糸魚川でラーメン店の店主が鍋を火にかけたまま外出し、火災を発生させ、ラーメン店を含む147棟、計約3万平方メートルを焼損させたケースがありました。

上記のケースでは店主の重過失となり、賠償義務が発生する可能性があります。

 

 

 まとめ

今回は、首里城の火災のニュースから、放火と延焼についての火災保険の補償について解説しました。

 

平成29年中の出火件数3万9,373件のうち、出火原因別にみると、たばこが3,712件と最も多く、次いで放火が3,528件(平成30年版 消防白書)となっています。

 

放火は火災保険で補償されますし、隣家からのもらい火は、原則、賠償してもらえないので、火災保険で補償してもらう必要があります。

日本では、火災保険への加入は必須とお考え頂ければと思います。