緊急事態宣言が全国で解除され、日常生活が戻りつつかりますが、新型コロナウイルスの感染リスクが消えたわけではありません。
秋冬にかけて感染の「第2波」、「第3波」も心配されています。
新型コロナウイルスに感染した場合、長期の入院が必要となるケースもあります。
新型コロナウイルスに感染し、仕事を休むことによる収入の減少を心配される方もいるでしょう。
長期で治療が必要になった場合に備えて保険への加入を考えている方もいるかもしれません。
新型コロナウイルスの感染で休業した場合の収入減少に備えて保険に加入すべきなのでしょうか?
今回は、新型コロナウイルス感染に備えて保険に加入すべきかについて、考えてみたいと思います。
- 新型コロナウイルス感染による収入減に備え、保険に加入する必要はある?
- 業務外(仕事中以外)で新型コロナに感染した場合、傷病手当金が受け取れる
- 仕事中に新型コロナに感染した場合、労働者災害補償保険(政府労災)から休業補償を受け取れる
- フリーランスなどの自営業者は保険への加入が必要
- まとめ
新型コロナウイルス感染による収入減に備え、保険に加入する必要はある?
新型コロナウイルスに感染した場合、症状が落ち着いたとしても、陰性になるまでは仕事を休む必要があります。
陽性の期間が長期になった場合の収入減少が心配で、保険への加入を検討している方もいるでしょう。
しかし、サラリーマンの方に関しては、慌てて保険に加入する必要はありません。
その理由は、公的な休業補償が受け取れるからです。
保険の加入を検討する前に、新型コロナウイルス感染で休んだ場合の公的保障の確認からして頂ければと思います。
公的な保障を確認してそれでも上乗せで保障(補償)が欲しい場合は民間保険への加入を検討するといいでしょう。
業務外(仕事中以外)で新型コロナに感染した場合、傷病手当金が受け取れる
サラリーマンの方が仕事中以外(業務外)で新型コロナウイルスに感染し、仕事を休んだ場合、傷病手当金が受け取れます。
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傷病手当金はサラリーマンの方が加入する組合管掌の健康保険や全国健康保険協会(略称:協会けんぽ)が運営する健康保険の被保険者に支給されます。
傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
(出典:協会けんぽ)
具体的には、休業4日目以降から最長1年6ヶ月間、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が受け取れます。
【例)標準報酬月額300,000円の場合の傷病手当金】
標準報酬日額:10,000円
傷病手当金(1日):10,000円 × 2/3 = 6,667円
休業中に給与の支払いがあっても、給与の額が傷病手当金より少ない場合に、傷病手当金の額と給与額の差額が支給されます。
実際に傷病手当金を請求した経験のあるうとうとさらさんが、下記記事で申請の手続方法などを詳細に解説されています。
傷病手当金の制度内容や申請方法などについては、下記記事をご参照ください。
国民健康保険の加入者には傷病手当金が支給されない?
なお、上記の通り、傷病手当金はサラリーマンの方が加入する組合管掌の健康保険や全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する健康保険の被保険者に支給される制度です。
フリーランスなどの自営業者等が加入する国民健康保険にも傷病手当金の制度はありますが、任意給付であり、一般的には支給されません。
しかし、新型コロナへの感染に関しては国民健康保険に加入する「被用者」にも支給する方針を国が示しました。
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国民健康保険への加入でも傷病手当金が受け取れる方とは?
国民健康保険への加入でも傷病手当金が受け取れる方は、下記の条件を満たした方です。
- 給与の支払いを受けている加入者であること
- 新型コロナウイルス感染症に感染し、又は発熱等の症状があり感染が疑われることにより、療養のため労務に服することができなくなったこと
- 3日間連続して仕事を休み、4日目以降にも休んだ日があり、4日目が令和2年1月1日から9月30日までの間に属すること
- 給与等の支払いを受けられないか、一部減額されて支払われていること
上記の通り、給与の支払いを受けている方(被用者)という条件がありますので、フリーターのように雇われて給与を受け取っている方が支給対象になります。
一方、フリーランスなどの自営業者については、従来通り傷病手当金の支給対象とはなっていません。
国民健康保険加入への傷病手当金の支給額は?
支給額に関しては、下記の通りです。
(直近の継続した3か月間の給与収入の合計額÷就労日数)×2/3×日数
なお、自治体により対応が異なる場合があるようなので、詳細については住んでいる市区町村に確認する必要があります。
「傷病手当金 国民健康保険 〇〇市」などとググると各市町村ごとの対応内容が調べられます。
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仕事中に新型コロナに感染した場合、労働者災害補償保険(政府労災)から休業補償を受け取れる
業務中(仕事中)の病気やケガが原因で休んだ時には、労働者災害補償保険(政府労災)から「休業補償給付」が受け取れます。
例えば、医師や看護師等が新型コロナウイルスに感染した場合、業務外で感染したことが明らかな場合を除いて、政府労災の「休業補償給付」の対象となりました。
コールセンターなどの職場でクラスターが発生した事例がいくつかありましたが、業務中(仕事中)に新型コロナに感染したと認定されれば、政府労災の「休業補償給付」の対象となります。
休業補償給付はいくら受け取れる?
「休業補償給付」は、休業4日目から休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付:60%+休業特別支給金:20%)が支給されます。
例えば、直近3ヶ月間(92日間)の月額給与が20万円の方が新型コロナで休業4日目から30日間休んだ場合は、下記の「休業補償給付」を受け取れます。
給付基礎日額:6,522円
保険給付:6,522円×60%≒3,913円・・・①
特別支給金:6,522円×20%≒1,304円・・・②
合計:5,217円(①+②)
5,217円 × 30日 = 156,510円
(出典:厚生労働省)
月額給与の80%程度を受け取れる計算になります。
なお、政府労災は労働者のための補償制度なので、原則、フリーランスなどの自営業者は補償の対象とはなりません。
ただし、自営業者の方も政府労災に特別加入するという方法はあります。
上記の通り、健康保険や国民健康保険に加入している「被用者」の方に関しては、新型コロナで休んだ場合、公的な休業補償を受け取れます。
健康保険・国民健康保険の「傷病手当金」と政府労災の「休業補償給付」が受け取れる方に関しては、新型コロナに感染することに備えて民間の保険(所得補償保険や就労不能保険など)に加入する必要性は低いといえます。
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フリーランスなどの自営業者は保険への加入が必要
上記の通り、フリーランスなどの自営業者の方に関しては、「被用者」の方に比べて公的な休業補償がありませんので、民間の保険である程度の保障(補償)を準備しておく必要があります。
そもそも、新型コロナ以外にも働けなくなるような病気にかかったり、事故に遭ったりする可能性があるので、自営業者の方に関しては所得補償保険や就労不能保険等への加入を検討する必要があるでしょう。
まとめ
サラリーマンなど「被用者」の方は、新型コロナに感染して休業した場合については「公的な保障+貯蓄」で備え、民間の保険に加入する必要はないと思います。
一方、フリーランスなどの自営業者の方に関しては、新型コロナに関係なく、病気やケガで働けない場合のリスクに備えて、何かしらの保険に加入する方がいいでしょう。
なお、新型コロナウイルスに感染し、入院した場合には医療保険(入院保険)の保障対象となり、入院給付金が受け取れます。
また、新型コロナに感染し、病院に入院せずに自宅やホテル等で療養する場合も入院給付金が受け取れます。 詳細は、下記記事をご参照ください。