「老後2000万円問題」やFIREブームなどをきっかけに投資を始めようと考える方が増えました。
投資を始めようと検討した際に考えることは、可能な限り損をしたくないということではないでしょうか。
どのような投資をすると損をしやすいのかを事前に知っていれば、損失を避けられる可能性があります。
実際、投資で損失を出している人にはどのような特徴があるのでしょうか
今回は、以下の本から投資でお金を失う可能性が高い人の下記特徴3つを解説したいと思います。
- 市場でうまいタイミングを捉えられると信じている
- 優れた個別株式の銘柄を見分けられると信じている
- 勝てるファンドマネジャーを選べると信じている
投資で損をしたくないという方は参考にしてください。
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ、 小野 一郎訳)
市場でうまいタイミングを捉えられると信じている
株価が高いときに売って、安くなったところで買うのは、とても魅力的に思えますが、ほぼ不可能。
市場がどんどん上昇しているときには買い、状況が厳しくなるときにはパニック売りをしてしまう。
多くの方が高い時に買い、安くなってから売ることになるのが現実。
人間は変動する市場でうまくやることに心理的に適していないと本書では解説されています。
人間の心理状態は弱くて「市場のタイミング」を捉えようとしても、悪いタイミングで参入し、出ていくことになる。
SNSなどを見ていると相場が好調な時ほど投資を始める方が多くなり、暴落が起こるとその勢いが弱くなる印象があります。
人間とはそのような生き物なのでしょう。
暴落時に相場に残り続ける胆力のある人だけが大きな利益を得る事ができます。
優れた個別株式の銘柄を見分けられると信じている
儲かる株式を選び出すことは、ビジネスで投資を行っているほとんどのプロでもできません。
短期的には、株価が急上昇する銘柄を選ぶことができても、それを毎年コンスタントに繰り返すことはほぼ不可能。
よって個別株投資は資産を増やす基盤にはできないと本書では指摘されています。
インデックス(市場平均)を少しでも上回る成績を毎年続けることは、とてつもなく難しいこと。
長い期間にわたって市場平均を上回れる人はほんの一握り。
よって、人並み外れた結果を残すウォーレン・バフェット、マイケル・プライス、ピーター・リンチなどの名前が多くの人に知られるようになります。
勝てるファンドマネジャーを選べると信じている
投資を始めようと金融機関などに相談に行くと、アクティブファンドをすすめられることが多いのが現実です。
インデックスファンドと異なり、プロのファンドマネジャーがアクティブに運用するファンドは規模が大きく、利益率の大きいビジネス。
運営会社にとって利益率が高いということは、投資家にとっては高い手数料が必要ということ。
長期間で見ると、インデックスを上回る実績を上げたファンドマネジャーはごくわずか。
2013年にバンガードが調査した結果によると、1998年に株式でアクティブ運用を行っていた1540のファンドすべてを調査したところ、15年後に生き残っていたのはこのうち55%。
その中でインデックスを上回った実績を残せたファンドはわずか18%。
82%のファンドはインデックスに負けたのに、顧客からは高い手数料を取っていたことになります。
現在、成功しているファンドの中で実績を残す18%になれるかは、誰にも予測できません。
更に、1976年から2006年までの30年間のアクティブ運用を行うファンド2076本の中でインデックスを上回る実績を示したのはわずか0.6%。
統計学的にはゼロと有意差が認められないという調査結果も本書で紹介されています。
ファンドの説明書の中に書かれている「過去の実績は将来の実績を保証するものではありません」という言葉は無視されているが、実は最も正しい言葉だと著者は指摘。
短期的には高成績を出せたとしても長期になればなるほど、インデックスを上回る実績を残すことは難しいということが分かります。
個人投資家にとってインデックス投資が最適解
上記3つの特徴と逆のことをやれば損を出しにくいということになり、インデックス投資(世界中に分散投資したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること)が最適解という結論に達します。
インデックス投資をすすめる本なので、結論ありきの内容であるのは間違いありません。
しかし、多くの個人投資家にとってインデックス投資が最適解であることは間違いないでしょう。
アクティブファンドが長期になればなるほどインデックスに勝てないということが個別株投資の難しさを表しています。
つまり、プロでも最適なタイミングで売買することはできず、有望な銘柄を見付けるのは難しいということ。
情報や資金を潤沢に持っているプロでさえインデックスに勝てないのに、情報量や資金量で劣る一般人がインデックスに勝てるはずがないと考える方が無難でしょう。
メンタルや時間の面でもインデックス投資がおすすめ
個別株投資をすると、銘柄を選ぶ時だけではなく、保有時も継続的に業績などをチェックする必要があります。
当初の目論見が外れれば、損切りも必要となります。
個別株投資には時間と労力が必要ですが、その頑張りが報われるという保証はありません。
労力をかけたのに報われないと、メンタル面も削られてしまいます。
個別株投資も経験してきて思うことは、個別株投資は時間だけでなく、精神的な負担も大きいということ。
最も避けるべきことは、投資の失敗が本業の仕事にも影響すること。
人生を豊かにするための資産運用が、人的資本(稼ぐ力)を弱めてしまうことになります。
投資が趣味という方は別として、多くの方はインデックス投資をメインとすべきです。
余裕が出てきたら、コアをインデックス投資で安定的に運用し、サテライトとして個別株投資などを行う「コア・サテライト戦略」を活用するといいでしょう。
「コア・サテライト戦略」とは、ポートフォリオをコア(中核部分)とサテライト(その他部分)に分け、コアを安定的に運用しながらサテライトで積極的にリターンを狙うというもの。
強者と同じ土俵で戦って勝てる確率は非常に低い。
個人投資家には弱者の戦略があります。
まとめ
投資でお金を失う可能性が高い人の特徴は下記の3つ。
- 市場でうまいタイミングを捉えられると信じている
- 優れた個別株式の銘柄を見分けられると信じている
- 勝てるファンドマネジャーを選べると信じている
個人投資家はプロと同じ土俵で戦っても勝ち目はありません。
弱者には弱者の戦略があります。
一般的に人的資本(稼ぐ力)を上げる方が、投資の運用利回りを上げるよりも効率的です。
投資が趣味や仕事でない方は、労力がかからないインデック投資で時間を節約し、人的資本(稼ぐ力)を磨くことに注力すべきでしょう。
『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ、 小野 一郎訳)