金融リテラシーは重要。多くの方が感じていることでしょう。
では、金融リテラシーが低いと、どのような問題があるのでしょうか?
ある程度の金融リテラシーがないと、手数料ハンターである金融機関のカモにされるなどして大切な金融資産を溶かしてしまう可能性があります。
今回は、実例を交えて金融リテラシーの重要性を解説します。
- 毎月分配型の投資信託はおすすめできない?|金融リテラシーが低いと見破れない?
- 実例から考える毎月分配型投資信託のデメリット
- 一括投資の危険性
- 内容のよく分からない商品に投資することが最も危険!
- まとめ
毎月分配型の投資信託はおすすめできない?|金融リテラシーが低いと見破れない?
最近、大手証券会社で毎月分配型の投資信託を2,000万円分も一括購入したという方にお会いしました。
毎月「分配金」が受け取れるということが購入の決め手になったようです。
一時期人気を博した毎月分配型投資信託ですが、金融庁が「顧客のためになる金融商品なのか」と問題視するようになり、銀行や証券会社が販売を自粛するようになりました。
ここ最近では販売量を減らしているというニュースを目にするようになっています。
しかし、未だに毎月分配型の投資信託には根強い人気があり、純資産額を増やしている商品もある様子。
毎月分配型の投資信託の問題点は目論見書を見れば一目瞭然なのですが、金融リテラシーが低いと毎月受け取れる分配金に目を奪われてしまいます。
次項で毎月分配金のデメリットを解説したいと思います。
実例から考える毎月分配型投資信託のデメリット
今回、2000万円分購入された毎月分配型投資信託を事例にデメリットを解説したいと思います。
手数料が高い
今回の投資信託は米国の成長企業に投資する商品なのですが、下記の通り手数料が驚くほど高い。
- 購入時手数料:3.3%
- 信託報酬:1.7%
なんと購入初年度は、購入時手数料と信託報酬で合計5%もの手数料がかかります。
2000万円分を購入したのであれば、手数料はなんと100万円。
S&P500に連動したインデックス型の投資信託である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をネット証券で購入すれば、ノーロード(購入時手数料無料)で信託報酬は0.09372%と0.1%を切っている状態。
アクティブファンドとインデックスファンドという違いはありますが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と比較すると手数料が恐ろしく高いことが一目瞭然。
毎月分配型の投資信託は毎月決算を行うため、決算のコストや分配金支払いのコストがかかり手数料が高くなりがちです。
金融リテラシーが低いと、気付かない間に高額な手数料を取られてしまいます。
複利効果が低い|タコ足配当の可能性
投資信託の分配金には、下記の通り「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。
普通分配金
個別元本を上回る部分からの分配金。投資信託の元本の運用により生じた収益から支払われます。
元本払戻金(特別分配金)
個別元本を下回る部分からの分配金。
元本払戻金(特別分配金)は「投資した元本の一部払戻し」に当たるため、個別元本は減少します。
(出典:日本証券業協会)
分配金は運用益からしか出ていないと勘違いしている方も多いのですが、毎月分配型の投資信託は高い分配金利回りを維持するために投資元本が払い出されているケースも少なくありません。
そもそも、頻繁に分配金を払い出すことにより利益を確定する形になる毎月分配型投資信託は、複利の効果が下がるので運用効率が悪くなってしまう。
更に、特別分配金で元本が払い出されてしまうと、元本が減ってしまうので運用効率が更に下がってしまうことに。
金融リテラシーが低いと、タコ足配当の可能性があることを知らずに毎月分配金が受け取れると喜んでいたら、実は、受け取っていた分配金の一部は自分が投資した元本だったという笑えないオチが発生します。
一括投資の危険性
毎月分配金型の投資信託とは関係ありませんが、投資経験の浅い方が2000万円という額を一括投資している点にも問題を感じます。
株式は短期的には50%程度の下げが発生する可能性もあります。
投資初心者の方が2000万円もの額を一括投資して、その下落に耐えられるのか・・・。
積立投資をしたからといってリスクを下げられるわけではありませんが、株価の上下動に慣れるまでは大きな額での資金投入は避けた方が無難。
また、市場が好調な時の一括投資は、大きな損失を被るお決まりのパターン。
非常に危うさを感じてしまいます。
米国市場の調整があれば、高い手数料が更に足枷になってしまいます。
内容のよく分からない商品に投資することが最も危険!
私が今回の事例で最も危険だと感じるポイントが、よく分からない投資商品に手を出してしまっている点。
商品の仕組みがブラックボックス状態だと、想定外の損失を被る危険性があります。
老後は人的資本(稼ぐ力)がゼロとなるので、誰もが一人の投資家となります。
金融リテラシーが低いにもかかわらず、退職金で一括投資をして大きな損失を被ったという話は頻繁に耳にします。
人的資本がゼロとなる老後に向けて、ある程度は金融リテラシーを上げておく必要があるでしょう。
まとめ
人的資本がゼロとなってしまう老後に向けて老後資金に不安があると、少しでも運用してお金を増やしたいと思う方も多いでしょう。
金融リテラシーが低いと、お金を増やせないだけでなく、不安につけ込まれて大切な資産を溶かしてしまう危険性があります。
老後資金準備のために毎月分配型の投資信託の仕組みを知って投資しているのであれば問題ありません。
しかし、内容のよく分からない金融商品に手を出して知らないうちに大切な資産を失っているということは避けるべき。
大切な資産を守るという意味でも金融リテラシーを向上させる努力が必要です。