新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠がありますが、イマイチ違いが理解できていない方が多いようです。
特に「成長投資枠」に関して勘違いしている方は少なくないでしょう。
投資枠の特徴を勘違いしていると、NISAのメリットを活かしきれない可能性があります。
そこで今回の記事では、「成長投資枠」に関する下記の勘違いに関して解説します。
- 個別株やアクティブファンドしか買えない
- 積立投資ができない
- 非課税枠がすぐに復活する
最後に「成長投資枠」のおすすめの使い方も解説しますので、参考にしてください。
なお、当記事の要約を聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
- つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは?
- 成長投資枠の勘違い①個別株やアクティブファンドしか買えない
- 成長投資枠の勘違い②積立投資ができない
- 成長投資枠の勘違い③非課税枠がすぐに復活する
- 成長投資枠のおすすめ活用法は?
- まとめ
つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは?
まずは簡単につみたて投資枠と成長投資枠の違いを「年間投資枠」「非課税保有限度額」「投資対象商品」の観点で解説します。
年間投資枠
年間投資枠は、つみたて投資枠で120万円まで。投資方法は積み立て購入のみです。
一方、成長投資枠では240万円まで投資が可能で、投資方法に制限はありません。
両枠を併用すると、年間で最大360万円まで投資することが可能です。
非課税保有限度額
非課税保有限度額は一人1800万円。
うち、成長投資枠で活用できるのは1,200万円です。
一方、つみたて投資枠で活用できるのは非課税保有限度額と同じ1,800万円となっています。
投資対象商品
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適していると金融庁が認める一定の投資信託が対象となっています。
一方、成長投資枠では投資信託はもちろん、上場株式にも投資が可能で、つみたて投資枠よりも投資対象商品が広くなっています。
次項以降で成長投資枠に関する勘違いについて解説します。
成長投資枠の勘違い①個別株やアクティブファンドしか買えない
成長投資枠では個別株やアクティブファンドのみしか買えないと勘違いしている方がいます。
実は、つみたて投資枠で購入できる投資信託も購入可能。
また、成長投資枠ではリスクを取って個別株やアクティブファンドに投資すべきだと思っている方がいます。
成長投資枠だからといってアクティブファンドや個別株に投資すべきというわけではありません。
アクティブファンドとは、プロのファンドマネージャーが選んだ銘柄に投資する投資信託。
アクティブファンドへの投資を全否定するつもりはありませんが、投資初心者にはおすすめできません。
アクティブファンドはファンドマネージャーの運用によって成果が左右されるため、銘柄選定が簡単ではありません。
更に、ファンドマネージャーが銘柄選定を行うため、手数料が高いのが一般的。
手数料が高い一方で、高い運用成果が保証されているわけではない。
約8割のアクティブファンドがインデックスファンドの運用成果に勝てないというデータもあります。
投資初心者の方は成長投資枠でもつみたて投資枠で購入できるインデックスファンドに投資することをおすすめします。
多くの方にとって個別株などの売買を繰り返すよりもインデックスファンドを長期保有する方がリターンが高くなるでしょう。
資産運用に慣れてきて、個別株やアクティブファンドに興味が出るようであれば、そこから投資することを検討しても遅くはありません。
成長投資枠の勘違い②積立投資ができない
成長投資枠では一括投資しかできず、積立投資ができないという勘違いも多いもの。
一括投資だけでなく投資信託の積立投資も可能です。
成長投資枠だからといってムリに一括で投資する必要はありません。
成長投資枠は年間240万円まで投資が可能なので、毎月20万円ずつ積み立てたり、そこまでの資金がなければ、毎月10万円などの月20万円未満の積立も可能です。
先述の通り、つみたて投資枠で購入できる投資信託を積立購入することもできます。
実際、私は成長投資枠でもインデックスファンドの積立投資を行っています。
株式投資は短期的には50%程度の急落もあり得るので、投資初心者の方は成長投資枠でも積立投資を選択した方が無難。
一括投資は価格が大きく下落した際のリカバリーが難しく、特に初心者にとっては精神的に耐えがたい苦痛になる可能性があります。
成長投資枠の勘違い③非課税枠がすぐに復活する
新NISAでは、旧NISAではできなかった非課税枠の再利用が可能となりました。
非課税枠の再利用が可能になったことで、成長投資枠で個別株の短期売買を検討している人もいるでしょう。
しかし、非課税枠が復活するのは翌年以降。
成長投資枠の年間240万円の枠を使い切ったら、その年は資産を売却しても枠は復活しないので注意が必要。
成長投資枠の年間投資枠は240万円なので、新NISAは個別株の頻繁な売買には向いていません。
また、新NISAで損失を出したとしても課税口座の利益と損益通算することができないというデメリットもあります。
そもそも、新NISA制度は短期売買で大きな利益が出せるような設計になっていないことを理解する必要があります。
成長投資枠のおすすめ活用法は?
投資初心者におすすめの成長投資枠活用法は、インデックスファンドの積立投資。つまりインデックス投資。
新NISAを活用する多くの方の目的は、老後資金準備などの長期資産形成のはず。
であれば、インデックス投資でコツコツ資産を積み上げるのがおすすめです。
なお、成長投資枠で何を購入すべきか分からないという方は「つみたて投資枠」の対象ファンドから選ぶのがいいでしょう。
具体的には、下記のようなファンドがおすすめです。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
投資初心者の方は無理につみたて投資枠と成長投資枠で購入する商品を分ける必要はありません。
まとめ
新NISAの成長投資枠に関するよくある勘違い3選は以下の通り。
- 個別株やアクティブファンドしか買えない
- 積立投資ができない
- 非課税枠がすぐに復活する
成長投資枠だからといって個別株やアクティブファンドの一括投資をする必要はありません。
成長投資枠でもインデックス投資でコツコツ資産を積み上げるのがおすすめです。
なお、投資初心者の方は無理につみたて投資枠と成長投資枠で購入する商品を分ける必要はありません。