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【新NISA】非課税投資枠が大幅拡充|恒久化・非課税期間無期限へ


先日、2023年度の税制改正に向け、少額投資非課税制度NISA)の投資上限の引き上げや制度の恒久化など制度改正についての報道がありました。

 

資産所得倍増プラン」を掲げる岸田政権はNISA制度の拡充を目玉施策と位置づけています。

 

NISA制度の改正について正式に決定されたわけではありませんが、改正内容を気にされている方も多いでしょう。

 

そこで今回の記事では、ニュース報道があったNISA制度改正の下記ポイントについて解説します。

  • NISA制度の改正案の概要
  • 新NISA制度の活用案

 

 

NISA(少額投資非課税制度)とは?

まずは簡単にNISA(少額投資非課税制度)について解説します。

 

NISA(少額投資非課税制度)とは、少額からの投資を促進するための非課税制度。

 

通常、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金には20.315%の税金がかかります。

 

しかし、NISA制度を活用すれば、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金が非課税となります。

 

現状、NISAには下記3つの制度があります。

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA

各制度の詳細については、下記記事をご参照ください。

www.fpinv7.com

www.fpinv7.com

 

 

NISA改正内容のポイントは?

今回報道された税制改正の内容のポイントは下記の通りです。

 

なお、2024年から新しいNISA制度に移行する予定です。

 

制度の恒久化

2014年から始まった「一般NISA」で投資できるのは23年までと決まっています。

 

また、2018年開始の「つみたてNISA」の投資可能期間は2042年までで、非課税の保有期間は最長で2061年まで。

 

2024年からは期限のない恒久的な制度になる見込みです。


非課税期間の無期限化

これまで一般NISAの非課税期間は5年、つみたてNISAの非課税期間は20年でしたが、新制度では非課税の投資期間は無期限となる見込みです。


非課税投資枠の拡大

現在、一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円の非課税枠がありますが、その非課税枠が下記の通り増額される見込みです。

  • 一般NISA:120万円 ⇒ 240万円
  • つみたてNISA:40万円 ⇒ 120万円

 

日本証券業協会は7月に英国の非課税投資制度「ISA」並みの上限額を提言として出しましたが、それを超える一般NISAの非課税枠は2倍の240万円、つみたてNISAの非課税枠は3倍の120万円に拡大します。

 

両制度合わせた年間の投資枠は360万円。

 

なお、一般NISAを「成長投資枠(仮称)」とする予定です。

 

「成長投資枠(仮称)」は退職金などまとまった資金を投資に回すことを想定しているようです。


生涯投資枠の設定

富裕層に恩恵が偏らないように生涯投資枠は1800万円となる見込みです。


一般(成長投資枠)は生涯投資枠1800万円のうち1200万円まで。

 

成長投資枠は使わずに、つみたてのみで1800万円の非課税枠を使うことも可能なようです。


「つみたて」と「一般」が併用可能に

現在は、一般NISAかつみたてNISAのどちらかの制度を選ぶ必要があり、併用はできません。

 

新制度では一般NISAを「成長投資枠(仮称)」とし、つみたてNISAと両制度の併用が可能となる見込みです。


現行NISA制度と新NISA制度の投資枠は別枠

2024年から始まる新しいNISAは現行制度とは分離する方針。

 

現行NISAで投資をしている場合も、新しいNISA制度の非課税枠を満額使えるようになる見込みです。

 

非課税投資枠は再利用可能

現状はNISA枠で購入した資産を売却すると非課税枠の再利用はできませんが、新制度では途中売却して非課税枠が空けば、再利用が可能となります。

 

 

新NISA制度の使い方

さて、上記改正案が正式に決定すると仮定した場合の活用方法について考えてみました。

 

毎年360万円の投資が可能な場合

年間360万円の投資資金があるのであれば、複利効果を考慮して5年で非課税枠(1800万円)を使い切り、その後は長期保有するのが最善策です。

 

成長投資枠についても個別株にこだわる必要はなく、インデックスファンド(投資信託)を購入するのがおすすめ。

 

現在の一般NISAでもインデックスファンドの積立投資が可能なので、つみたて枠で毎月10万円の積立投資をしつつ、成長投資枠でも20万円ずつインデックスファンドを積み立てるのもアリでしょう。

 

又は、米国株などの暴落時に成長投資枠でファンドを追加購入する方法もあります。

 

年間の非課税枠を使い切れない場合

毎月10万円も投資に回せる資金がないというツイートが散見されましたが、そのような場合は余裕のある範囲で投資信託を積み立てるといいでしょう。

 

NISA制度は恒久化・非課税期間も無期限化される訳ですから焦る必要はありません。

 

重要な事は淡々と、しかし、確実に投資を継続すること。

 

年間の非課税枠上限をムリに使い切る必要はなく、自分のペースで資産を増やす事が重要です。

 

余裕ができれば、投資額を増やすといいでしょう。

 

 

まとめ

今回、報道されたNISA拡充案は予想以上の内容なので、上記の内容のまま正式決定されることを祈るばかりです。

 

しかし、私はNISA制度の拡充だけでは日本人は豊かにはならないと考えています。

 

下記記事でも書きましたが、今の日本に必要なのは「資産所得倍増プラン」ではなく「所得倍増プランです。

www.fpinv7.com

 

NISA制度の拡充という目眩しに騙される事なく、所得が倍増する社会の実現を要望していく必要があります。

www.fpinv7.com