「収入が増えないのに物価ばかりが上がっていく」状態で、年々生活が苦しくなっていると感じている方も少なくないでしょう。
将来不安から新NISAをきっかけに投資を始めた方も多いはず。
不安解消に向けた個人ごとの努力は非常に重要。それは間違いありません。
しかし、個人の努力だけでは解決できない問題もあります。
国民一人ひとりが資産運用をどんなに頑張っても日本経済が没落していけば、生活は楽になりません。
腐っている土台の上に建物を建てようとしているイメージ。
日本に住んでいる以上、多くの日本国民が日本の経済状況の影響を強く受けます。
我々の生活の土台である日本経済は停滞を続け、「失われた30年」と言われています。
更に「失われた40年」に向けて確実に進んでいる状況。
日本経済が停滞した要因は色々とありますが、その中で最も大きいのが財務省の暴走。
財務省の御用新聞である日本経済新聞の以下の記事を引用して財務省の考え方の誤りと、日本経済が長期停滞から抜け出す方法について解説します。
日本経済の力強い復活を願っている方は参考にしてください。
- 財務省は日本国民を貧困化させてでも財政規律を守る
- 国債の買い手がいない!?|日本銀行(日銀)が買えばいいだけ
- 日銀が保有している国債の利払費は国に戻ってくる
- 国債残高を減らせば大不況になる
- 日本経済が長期停滞から抜け出す方法
- まとめ
財務省は日本国民を貧困化させてでも財政規律を守る
日経新聞の記事の冒頭を読むと財務省がどのように世論を誘導しようかということがよく分かります。
「金利のある世界」は政治に規律を求める。国債の利払い費の増加を気にせず財政運営できる時代は終わった。金利が急騰すれば、国民生活や企業活動への影響が大きい。次期首相は野放図な財政出動の誘惑を振り切り、収支改善に向けた経済運営にカジを切れるかが問われている。
(出典:日本経済新聞)
日経新聞の記事の内容を簡単にまとめると下記のような懸念があるので、国債の発行額を減らすべきという趣旨。
- 日銀が国債の買い入れ額を減らしたために買い手が減り金利急騰のリスクがある
- 長期金利が上がることにより国債の利払い負担が大きくなる
国債の発行額を減らすには、歳出削減や増税が必要になるという理屈。
財務省とすれば、歳出削減や増税で日本経済が疲弊しても財政規律さえ守ることができればいいという考え方。
次項以降で記事内容を引用し、財務省の考え方の間違いについて解説したいと思います。
国債の買い手がいない!?|日本銀行(日銀)が買えばいいだけ
日経新聞の記事では、日本銀行(日銀)が国債の買い入れ額を減らすことにより、国債の買い手が減って金利が急騰する危険性があるとしています。
日銀は7月の金融政策決定会合で、国債の買い入れ額を月6兆円程度から2026年1~3月には同3兆円程度にすると発表した。
(中略)
いったい、これだけの国債を誰が買うのか。日銀が手放す分を誰かに買ってもらわないと、国債価格が暴落し、金利が跳ね上がるリスクがある。
金利が急騰すれば、国債の利払い費が膨らむ。それだけではない。長期金利は住宅ローンや企業の借入金利の指標にもなっているため、家計や企業活動に波及する。債券市場の混乱で円や株価も暴落しかねない。
(出典:日本経済新聞)
記事では日銀が国債を購入しなくなったら金利が急騰するリスクがあるとしていますが、わざわざ日銀が日本の金利を急騰させる必要があるのでしょうか?
仮に金利が急騰する場面があれば、また日銀が国債の購入額を増やせばいいだけの話。
日本銀行は「最後の貸し手」という機能が法律で定められていて、どんな事態になっても最後は日銀が国債を買って政府にお金を貸すことになっています。
日銀は国債の無制限買い入れを実施して長期金利を抑え込んでいましたが、以前できていたことが今後はできなくなるという理由はありません。
日銀が保有している国債の利払費は国に戻ってくる
日経の記事では、長期金利が上がった場合、国債の利払い負担が増えることを問題視しています。
政府は大規模緩和の恩恵を受けてきた。13年度に8.1兆円だった利払い費は、国の債務残高が増え続けるのを横目におおむね横ばいで推移した。23年度は7.4兆円とむしろ減っている。
24年度は利払い費の計算に使う想定金利が1.9%へと17年ぶりに引き上げられた。25年度の概算要求でも2.1%に上げた。国債は償還期限を迎えたものから足元の金利を反映する国債に置き換わっていくため、利払い負担は徐々に増していく。
(出典:日本経済新聞)
まず、想定金利の2.1%は高すぎ。
国債の利払い費の問題を大きくするために想定金利を高めにしているようにも受け取れます。
しかし、想定通り利払い費が増えたとしてもその半分は国に戻ってくるのです。
現在、国債の半分以上を日銀が保有。
つまり、国債の利払費の半分は日銀に支払うことになります。
日銀に支払われた国債の利払い費はどうなるのでしょうか?
実は、日銀に支払われた国債の利子は、経費を除いて国に戻ってくるのです。
日銀HPのQ&Aには下記のように書かれています。
日本銀行が得た最終的な利益、すなわち、所要の経費や税金を支払った後の当期剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として、国庫に納付されます(日本銀行法第53条)。これを国庫納付金といいます。
(出典:日本銀行)
利払い費が大きくなることは殊更に大きな問題として取り上げていますが、その半分が日銀を通じて国庫に戻ってくることは記事では触れられていません。
国債残高を減らせば大不況になる
日経の記事ではプライマリーバランス(PB)の均衡では事足りず、暗に国債の残高も減らすべきとしています。
PBが仮に均衡したとしても、社会保障や防衛といった経費を税収で賄えているだけで、そこに国債の利払い費は含まれない。つまり利払い費に充てるために借金がまだ必要で、債務残高は減らない。
利払い費も含む財政収支が黒字化して初めて借金は減少し始める。
(出典:日本銀行)
プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは、行政が行うサービスにかかる経費を税収等で賄えているかどうかを示す指標。
財務省のHPには下記のように解説されています。
プライマリーバランス(PB)とは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、税収等で賄えているかどうかを示す指標です。現在、日本のPBは赤字であり、政策的経費を借金で賄っている状況です。
(出典:財務省)
プライマリーバランスの黒字化を目指すということは簡単に説明すると、国債に頼らずに国の経費を賄うこと。
プライマリーバランスの黒字化でさえ達成できていない状況下で、財務省の考え方で国債の残高を減らすためにはどのような政策が必要なのでしょうか?
国債を減らすためには国(政府)の歳出を削減し、増税して国民からお金を吸い上げる必要があります。
バブル期のように企業や個人がお金を借りまくってインフレになっているのであれば、景気の加熱を冷ます意味で国債の返済を考えてもいいでしょう。
しかし、経済が停滞する現状の日本で国債を減らそうとすれば、日本経済は壊滅的な打撃をうけます。
現状の日本で、これ以上の歳出削減と増税を行えば、大不況になることは想像に難くありません。
日本経済が長期停滞から抜け出す方法
今の日本に最も必要なことは国民生活の底上げです。プライマリーバランス(PB)の黒字化ではありません。
国民生活を底上げするために政府の大胆な財政出動を呼び水として、個人や企業が積極的にお金を使う状況を作り出す必要があります。
具体的に行うべき政策は下記の通り。
- 消費税廃止または減税
- 社会保険料減免
- 物価高対策の現金給付(所得制限なしで複数回)
- ガソリン税減税 など
財源の心配をする方もいるでしょうが、全く問題ありません。
日本には自国通貨建ての国債という安定財源があります!
上記のような政策により消費が増えれば、経済は活性化します。
経済が活性化して国内の需要が増えれば、企業は設備投資を増やすでしょう。
個人も企業もお金を使うようになれば、更に経済は活性化します。
上記のような好循環が発生すれば、企業は儲かるので従業員の給与も上がるでしょう。
多数の企業が儲かれば、多くの方の賃金が上がることになり、日本人全体の所得を底上げすることにつながります。
更に経済の好循環が続けば、法人税や所得税の税収が増え、結果的にPB(プライマリーバランス)黒字化も達成できる可能性があります。
今こそ、国民が豊かになるために国(政府)の通貨発行権を使うべきです!
まとめ
現状の閉塞感を打破するには、国民が賢くなる必要があります。
日本のかじ取りを政治屋と官僚に任せてきた結果が「失われた30年」を招きました。
少しでも多くの国民が政治に興味を持ち、ダメ出しをしつつ、必要な政策を要求していく。
志の高い政治家を国会に送り出すことで政治屋を一掃しないと、「失われた40年」に突き進むことになります。
現状の日本に必要なのは積極財政です。財務省の主張する緊縮財政ではありません。
テレビや新聞に出てくるのは御用学者や御用コメンテーターばかりで、「これ以上国債を発行すれば大変なことになる」という発言をよく見聞きします。
テレビや新聞の情報に惑わされてはいけません。
国民がザイム真理教の洗脳から抜け出さない限り、日本の未来は暗いでしょう。