
ネット証券などで不正アクセスにより顧客の資産が勝手に売却され、その資金で見知らぬ中国株などが購入されるという証券口座乗っ取り被害が今年の3月以降に急増。
多要素認証の導入で一旦は沈静化していましたが、7月と8月は不正売買額が再び増加。
しかし、金融庁の発表によると9月の詐欺被害は大きく減少しました。
FIDO2(パスキー)が本格的に導入される前に被害が減少しましたが、このまま事態は収束すると考えていいのでしょうか。
そこで今回の記事では、下記ポイントについて解説します。
- 最新の不正売買額の推移
- 証券各社のセキュリティ対策
- 口座乗っ取り被害は収束するのか?
口座乗っ取り被害が減少と聞いて安心している方は参考にしてください。
2025年9月までの口座乗っ取り被害状況
金融庁が発表した証券口座の乗っ取りによる不正売買の被害状況(9月末時点)は下記の通り。
- 9月の不正取引件数:156件(前月比75%減)
- 9月の不正売買金額:95億円(前月比82%減)
- ピーク時(4月)との比較:件数・金額ともに1割以下に減少

(出典:金融庁)
なお、今年1〜9月の累計は、不正取引件数が8970件 で売買金額が6903億円。
また、被害が確認された証券会社は18社です。

(出典:金融庁)
被害ペースが急減したのは、ログイン時の「多要素認証」が定着したこともありますが、ユーザー側の危機意識の高まりもあるでしょう。
ここまで被害が拡大したことにより、メディアの報道や注意喚起が増えました。
被害状況が周知されたことにより、フィッシングメールに釣られる人が減っていると思われます。
証券各社のパスキー導入時期は?
口座乗っ取り被害が拡大して話題となったのが、FIDO2(パスキー)。
FIDO2(読み方:ファイドツー)とは、パスワードを使わずに安全にログインできる「パスワードレス認証」の技術。
不正アクセスやフィッシング詐欺に対する耐性が飛躍的に向上した次世代の認証技術といわれています。
パスキー導入を心待ちにしている方もいるでしょう。
主な証券会社のFIDO2(パスキー)導入状況は下記の通りです。
- 導入済み:大和証券、岩井コスモ証券
- 2025年10月:楽天証券、SBI証券、マネックス証券
- 2025年内:野村証券、みずほ証券
- 2026年3月末まで:SMBC日興証券、三菱U FJモルガン・スタンレー証券、松井証券
- 2027年3月末まで:三菱UFJeスマート証券
対面証券では大和証券などがすでに導入済。
また、ネット証券大手では楽天証券が10月26日からパスキーを導入する予定と発表しています。
口座乗っ取り被害は収束する?
9月は不正取引件数・被害額ともに大きく減少しましたが、油断は禁物。
実際、6月にも一度落ち着いたあと、7〜8月に再び被害が増えた経緯があります。
詐欺手口は次々と進化するため、安心はできません。
私たちができる対策は、証券会社の最新情報を常にチェックすること。
今後、パスキー(FIDO2)が導入された際には積極的に活用するべきでしょう。
ただし、パスキーも万能ではありません。
「これで安心」と思わず、最新のセキュリティ対策を続けることが肝要です。
まとめ

証券口座乗っ取りに関して、9月は不正売買件数・不正売買額とも急減しました。
今後、証券各社がパスキーを導入していく予定です。
私たちができる対策は、証券会社の最新情報を常にチェックすること。
パスキー(FIDO2)が導入された際には積極的に活用するべきでしょう。
ただし、パスキーも万能ではありません。
「これで安心」と思わず、最新のセキュリティ対策を続けることが肝要です。