ネット証券などで不正アクセスにより顧客の資産が勝手に売却され、その資金で見知らぬ中国株などが購入されるという問題で、金融庁の公表している被害状況が更新されました。
5月までに確認された不正な取り引きによる売買が5000億円を超えたとのこと。
不正アクセス被害は収束していないのでしょうか?
自分の資産も狙われるのではないかと不安な方も少なくないでしょう。
今回の記事では、金融庁のまとめた証券口座乗っ取りによる詐欺被害状況について解説します。
証券会社で運用している資産が心配な方は参考にしてください。
証券口座乗っ取りによる不正売買被害の累計額が5000億円超!
金融庁が6月5日に公表した最新の被害状況によると、顧客の被害が確認された証券会社は16社。
2025年1月から5月までの5か月間に確認された不正な取り引きの件数は5958件にのぼっています。
不正な取り引きによって売買された金額は累計で約5240億円となりました。
莫大な額の不正取引が続いていて、このまま被害は増えていくのでしょうか?
証券口座乗っ取り被害の件数は増えている?
金融庁によると証券会社の口座が乗っ取られ株式などが不正売買された金額は5月末までで約5240億円。
4月末時点から約2000億円増えました。
証券各社は口座にログインする際の個人認証を厳格にする対策に乗り出しているものの、被害の拡大が止まらない状況。
しかし、不正売買件数・額ともに高水準ではありますが、4月と比べると5月は下図の通り減っています。
(出典:金融庁)
不正アクセス件数、不正売買件数、不正売買額の4月と5月の比較は下記の通り。
- 不正アクセス件数
4月:5,279件 ⇒ 5月:3,556件 - 不正売買件数
4月:2,910件 ⇒ 5月:2,289件 - 不正売買額
4月:2,886億円 ⇒ 5月:2,094億円
5月末頃からSBI証券など大手ネット証券会社では多要素認証を必須化しているので、6月は更に不正売買件数・額ともに減る可能性があります。
証券各社の証券口座乗っ取り対策は?補償は?
証券各社は口座にログインする際の個人認証を厳格にする対策に乗り出しています。
例えば、大手ネット証券では下記の通り多要素認証を必須化しています。
- マネックス証券:5月30日から多要素認証を必須化
- 楽天証券:6月1日から多要素認証を必須化
- SBI証券:5月31日から多要素認証を必須化
また。5月29日時点で76社が多要素認証を必須にすると表明しました。
不正売買被害に関する補償については、不正売買が確認されている16社のうち10社が被害の状況に応じて顧客に補償をする方針を明らかにしています。
日本証券業協会の森田会長は補償方針を明らかにしていない6社についても「理解を得るよう求めている」と述べ、すでに補償に応じている会社と同様の対応を呼びかけていく考えを示しました。
なお、私たち個人投資家は証券口座乗っ取りに対して下記のような対策を行っておくことが肝要です。
- パスワードの変更
- パスワードを使いまわさない
- 多要素認証
- 証券口座にはアプリ又はブックマークからアクセス
- マルウェア(info stealer)感染に気を付ける
- フリーWi-Fiを使わない
対策の詳細については、下記記事をご参照ください。
まとめ
金融庁によると証券会社の口座が乗っ取られ株式などが不正売買された金額は5月末までで約5240億円。
証券各社は口座にログインする際の個人認証を厳格にする対策に乗り出しているものの、被害の拡大が止まらない状況。
しかし、不正売買件数・額とも高水準ではありますが、4月と比べると5月は減っています。
また、5月末頃からSBI証券など大手ネット証券会社では多要素認証を必須化しているので、6月以降は更に不正売買件数・額ともに減る可能性があります。
なお、私たち個人投資家は証券口座乗っ取りに対して下記のような対策を行っておくことが肝要です。
- パスワードの変更
- パスワードを使いまわさない
- 多要素認証
- 証券口座にはアプリ又はブックマークからアクセス
- マルウェア(info stealer)感染に気を付ける
- フリーWi-Fiを使わない