現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金など「お金」の知恵について語ります

投資詐欺から身を守る方法|3つのポイントと事例を解説


資産運用において最も大切なことは、大きな収益を上げることと考えている方も少なくないでしょう。

 

しかし、私は大きな損失を出さないことの方が重要だと考えています。

 

その理由は、大きな損失を出してしまうと金銭的にも精神的にも投資を継続することが難しくなるから。

 

大きな損失を出さない上で、最も気を付けるべきポイントが投資詐欺に遭わないこと。

 

投資詐欺に遭って大切な老後資金を全て失ったという悲しい話もよく耳にします。

 

では、投資詐欺に遭わないためにはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか?

 

今回は、以下の本を参考に投資詐欺に遭わないための3つのポイントと実際の投資詐欺の手口(事例)について解説します。

『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!  大河内 薫 (著), 若林 杏樹 (著)』

 

自分の大切な資産を投資詐欺から守りたいという方は参考にしてください。

 

 

投資収益の相場を知る

投資というと、数十万円の元手が数年間の間に1億円を超えて億り人になったという話を聞くことがありますが、それは投資ではなくて投機

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私が多くの方におすすめしているインデックス投資は、最低でも15年程度の長期で資産を増やしていくという手法で、誰でも簡単に真似できる再現性の高い投資法です。

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そのインデックス投資で狙えるのが年利5~7%程度

 

年利5%で運用して資産を増やしていますという方はニュースになりませんので、投資で着実に成果を出している人は目立ちにくいでしょう。

 

個人資産が10兆円を超えている「投資の神様」ウォーレン・バフェットでも平均利回りは20%程度。

 

投資詐欺で出てくる月利数%なんて絶対にあり得ません

 

資産運用で狙える利回りの相場を知ることで、投資詐欺を見抜くことが可能です。

 

 

あなただけに特別は存在しない

「あなただけに特別なお話です」という営業を受けたことがある方も多いでしょう。

 

しかし、「あなただけに特別は存在しない」と本書では指摘されています。

 

「あなただけ営業」を受けた場合は、あなただけはウソで「あなただけ営業」をしなければ売れない商品だと考えるべき。

 

本当にいいものなら営業しなくても勝手に売れていく

 

例えば、最も売れている投資信託の1つである『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の純資産総額は、2018年7月3日(設定日)から約4年半で純資産総額が約1.8兆円

 

この投資信託を積極的に営業している証券会社は皆無。口コミだけで売れている状態。

 

本当にいい投資商品とはこういうもの。

 

逆に必死に営業を掛けてくる投資商品は危険だと思うくらいでちょうどいいでしょう。

 

 

投資詐欺の9割以上がポンジスキーム

投資詐欺に遭わないために重要なポイントの1つが投資詐欺の手法を知ること

 

実は、投資詐欺で使われる手法の9割がポンジスキームだと言われています。

 

そのポンジスキームとは、チャールズ・ポンジというイタリア人が考え出した投資詐欺の手法。

 

ポンジスキームの具体的な手法は下記の通り。

  1. 高額な利回りで出資者を集める
  2. 本当にその利回りの配当がもらえる
  3. でも中身は集めたお金を返している
  4. 2の噂で出資者が爆増
  5. お金が集まりきったら逃げる

 

本書では、ポンジスキーム誕生から100年経っても投資詐欺業界の王様と紹介しています。

 

月利3%(年利36%)というあり得ない利回りでも実際に配当金をもらうと「これは詐欺じゃないかも!」と思ってしまう。

 

また、投資詐欺は親しい友人や知人などから紹介されるという点も騙されやすいポイントでしょう。

 

実際に配当を受け取っている友人や知人から紹介されると信じてしまう。

 

ネット広告で月利3%とあれば、怪しいと思う方でも、仲の良い友人から「私も月利3%の配当を受け取っている」と聞いたら信じてしまう人も多いはず。

 

親しい友人や知人の口コミは信じやすいという人間の心理を上手く利用しています。

 

 

投資詐欺の事例から騙されないためのポイントを解説

実際の事例を知ることは非常に学びが多いものです。

 

そこで、実際の投資詐欺の下記事例から、詐欺と見抜くためのポイントを解説したいと思います。

 

実態のない投資事業への出資を持ちかけ現金をだまし取ったとして、警視庁は8日、投資コンサルタント会社「FRich Quest(フリッチクエスト)」(東京)社長、森野広太容疑者(38)=東京都千代田区=ら8人を詐欺容疑で逮捕した。同庁は8人の認否を明らかにしていない。

 

 逮捕容疑は、2021年10月から12月にかけ「月利4%の配当」「少なくとも出資金の7割が返金される」などとうたい実態のない海外の資産運用会社による架空の分散投資事業への出資を神奈川県在住の20代女性など男女計4人に勧誘し、21年10月から22年1月にかけ投資事業への出資金として計約5680万円をだましとった疑い。

 

 捜査関係者によると、フリッチ社は16年から22年にかけ関東圏を中心に約3300人から計約200億円の出資金を集めていたとみられる。多くは20~30代の若者で、資金が足りない場合は銀行や消費者金融から借金するようあっせんしていたという。
(出典:日経新聞)

 

上記の事件は、高額な配当で出資者を募り、最初のころは順調に配当を出す。

 

しかし、実際は出資者の出資金を配当として回す自転車操業状態で、最終的には配当が滞る。

 

典型的なポンジスキームです。

 

驚愕の月利4%配当

「月利4%の配当」というのが、今回の詐欺を見抜くための最も大きなポイント。

 

月利4%ということは年利48%

 

複利で年利48%であれば、2年で元本が2倍を超えるレベルです。

 

投資の神様と言われるウォーレン・バフェットを遥かに凌駕。

 

投資収益の相場を知っていれば、一発で詐欺と見抜けるレベルです。

 

出資金の7割が返金される根拠とは?

投資詐欺でよくあるパターンが、高利回りにもかかわらずノーリスク又はローリスクなこと。

 

出資金の7割が元本保証としている根拠は下図の通り、ポートフォリオの7割に国債や保険を組み入れていることのようです。

(出典:産経新聞)

 

しかし、ポートフォリオに国債や保険などを7割も組み入れて月利4%(年利48%)ものリターンを出せるわけがありません

 

公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオが参考になります。

 

下図の通り、ポートフォリオの全てをリスク資産(外国株式・外国債券・国内株式・国内債券)で運用するGPIFでも収益は年利3%程度

 

無リスク資産を7割も組み入れたポートフォリオで月利4%(年利48%)などあり得ないことが理解できます。

 

GPIF年金積立金のポートフォリオ

(出典:GPIF)

 

今回の詐欺の被害者の多くは、20代~30代の若い方だったようです。

 

若くて人生経験が少ない点も詐欺に騙された原因の1つかもしれません。

 

高校生の金融教育で投資詐欺について詳しく教えるだけでも騙される人の数が減るでしょう。

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まとめ

下記2つのポイントを押さえているだけでもほとんどの投資詐欺を防ぐことができるでしょう。

  • 投資で狙える収益の相場を知る
  • 投資詐欺の9割はポンジスキーム

 

また、低リスク又はノーリスクでハイリターンの投資案件は詐欺と思って間違いない

 

低リスクで月利4%(年利48%)の投資案件があるなら他人を誘う理由があるでしょうか。

 

借金をして投資した方が楽に稼げます。

 

誰でも失敗はするもの。

 

しかし、大きな失敗をしてしまうと再起不能になってしまう可能性があります。

 

私も投資で数々の失敗を繰り返してきましたが、慎重な性格もあり大きな失敗をすることなく資産運用を続けることができました。

 

私は、投資で成功する秘訣は大きな失敗をせずに投資を継続することだと考えています。

 

投資で大きな失敗を避けるために投資詐欺の手法を多くの方に知って頂ければと思います。

 

『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!  大河内 薫 (著), 若林 杏樹 (著)』