長らくデフレに苦しんできた日本のインフレが止まりません。
食料品や電気料金の値上げなどが毎日のように新聞やテレビで報道されています。
物価上昇が続く中、これまで以上に出費を減らすつもりの方も少なくないでしょう。
節約も重要ですが、やり方によっては「貧乏マインド」を育て、より貧しくなってしまう可能性もあります。
そこで今回の記事では、以下の本を参考にやってはいけない節約について解説したいと思います。
インフレ時には、とにかく節約だと考えている方は参考にしてください。
『大学教授が科学的に考えた人生後半のマネー戦略 老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います(榊原正幸)』
節約とは?
「節約とは?」と聞かれると何と答えるでしょうか?
ネットで調べると「無駄をはぶいて、切り詰めること」とされています。
節約と聞くと、ムダを省くだけでなく、必要な部分も切り詰めるというイメージを持ってしまう方が少なくないでしょう。
一方、著者は「不必要なものには一切お金をかけない」と定義。
ムダは省いても必要な出費については切り詰めるべきではないというのが著者の主張です。
貧乏を引き寄せる節約とは?
節約が趣味でない限り、電気代や食費の節約は意識しない方がいいと著者は指摘。
ムダを削るのは大切ですが、必要なものまで削ってしまうのは避けるべき。
私も経験がありますが、出費を削ることだけを意識すると、食費を削って健康を害したり、電気代の節約のためにエアコンを我慢して体調を崩したりするケースもあるでしょう。
何より大切にすべきは健康。健康を取り戻すのは簡単ではありません。
健康を害してしまえば、却って医療費がかかってしまいますし、健康でなければ稼ぐことも難しくなります。
また、不本意な節約を続けると「貧乏マインド」を育ててしまうと著者は指摘。
自分は貧乏なんだという自己暗示で貧乏を引き寄せてしまい、節約した結果が貧乏を引き寄せるという矛盾を生んでしまうことになります。
生活の質を下げずに節約する|固定費の削減
節約はダイエットに似ていてムリをすると続きません。
ポイントは生活のクオリティーを下げずに節約すること。
ラテマネーを削減しても節約効果は低いでしょう。
ラテマネーとは、アメリカで人気の資産アドバイザーである「デビィット・バック」が定義した無意識の内に使ってしまう少額のお金のこと。
生活の質を下げるような節約は長続きしません。
効果の低い変動費の節約はストレスを溜めることになり、リバウンドで逆に浪費につながる可能性があります。
節約効果が高いのは固定費の削減。
例えば、通信費は節約効果が高い固定費の1つ。
ドコモなどのキャリアから格安SIMに変更するだけで通信費を大きく削減することが可能。
以前、私はキャリアで夫婦2人で月額約1.6万円の通信費を支払っていましたが格安SIMに変えました。
格安SIMに変更してからは夫婦2人の携帯代は月額約4千円です。
生活の質を下げずに月額1.2万円、年間14.4万円もの節約に成功しました。
固定費の節約でも生活費が足りない場合は、稼ぐというマインドに変換した方がいいでしょう。
もっと稼ぐ|お金持ちマインドを育てる
悪い節約にエネルギーを使うくらいであれば、もっと稼ぐ事に使うべきと著者は指摘。
物価が上がる中、給料が上がらないので節約にも限界があります。
給料は上がらない状況ですが、副業はやりやすい時代になりました。
やり方によっては本業の稼ぎを超える可能性も。
稼ぐエネルギーは豊かさを引き寄せる「お金持ちマインド」を育てます。
デフレからインフレの時代に転換する可能性
安いものを世界中から輸入して消費するというグローバル化した経済状態が終わる可能性があります。
ロシアとウクライナの戦争、米中の対立などを考慮すると、今後は今までのようなグローバル化経済を期待することは難しいでしょう。
それぞれの国にはそれぞれの国益があり、自国の国益を損ねてまで他国を利することはあり得ません。
エネルギーや食料などを輸入に頼る日本もデフレからインフレの時代に転換する可能性があります。
景気が低迷する中でインフレが進むスタグフレーションという最悪の状態に突入するかもしれません。
そもそも、一国の経済政策としては弱インフレを目指すのが当たり前で、日銀の金融緩和も2%の物価上昇を目指しています。
インフレ時代は必死に節約するだけだと、節約したお金の実質的価値が目減りしてしまう。
インフレに対応するためには節約するだけでなく、より稼ぐという発想を持って余剰資金を資産運用に回すという発想も必要になります。
まとめ
ムダを省くことは大切なことですが、必要な出費まで切り詰めると「貧乏マインド」が育ってしまい、却って貧乏を引き寄せてしまう可能性があります。
「不必要なものには一切お金をかけない」一方で、必要な出費は減らすべきではないでしょう。
そのためには節約だけでなく、「稼ぐ」ということに焦点を当てる必要もあります。
また、日本がデフレに苦しむ状況下では、節約してお金を貯めることが正解でした。
デフレはモノの値段が下がるので、相対的にお金の価値が上がります。
しかし、これからは日本でもインフレ社会が到来する可能性があり、今までのやり方ではお金の実質的価値は目減りしてしまう。
インフレ時はお金を運用し、働かせるという発想も必要になります。
『大学教授が科学的に考えた人生後半のマネー戦略 老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います(榊原正幸)』