現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金など「お金」の知恵について語ります

【要注意】買ってはいけない金融商品とは?|銀行にお任せではお金が減る?【書評】


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公的年金など老後資金に不安がある中で資産運用に興味がある方も多いでしょう。

 

しかし、何から始めたらいいのか分からないという方が多いのが現実ではないでしょうか。

 

金融知識ゼロで金融機関に相談すると、とんでもない金融商品をつかまされ、資産を増やすどころか減らすことになる可能性もあります。

 

何か始めたい、でも何から始めればいいか分からないという方におすすめなのが下記の本。

 

『元メガバンク・外資系プライベートバンカーが教える お金を増やすなら この1本から始めなさい』

 

本の前半では金融機関にカモにされないための知識として買ってはいけない金融商品の解説。

 

そして、後半にお金を増やすための「この1本」の投資信託を紹介という構成です。

 

今回の記事では、資産運用初心者の方のために下記ポイントを解説します。

  • 買ってはいけない金融商品とは?
  • なぜ、銀行や証券会社にお任せだとお金が減るのか?
  • 資産を増やすために、おすすめの投資信託とは?

 

 

買ってはいけない金融商品とは?

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金融リテラシー(金融に関する知識)がないと販売者の「カモ」にされてしまう。

 

もっと残念なケースとしては「カモ」にされていることにすら気付けない人が多いと著者は指摘しています。

 

「カモ」にされないためには、販売者側の手口を知ることが重要。

 

本書の中では、広告にだまされて買ってはいけいない金融商品を10商品紹介してくれています。

 

今回は、その中の3つを紹介します。

 

・ファンドラップ

ファンドラップとは、まとまった額の資産を金融機関(証券会社や銀行)に預けて投資一任契約を結び、資産管理・運用をプロに任せるサービス。

 

一見、資産運用が分からない方にとっては、プロに運用を任せられるありがたいサービスに思えます。

 

しかし、ファンドラップの手数料は分かりにくく、ある証券会社のファンドラップの手数料には「預かり資産に対して最大1.54%(年率)」と書かれているそうです。

 

しかし、取られる手数料はそれだけではありません。

 

投資する投資信託の信託報酬が0.6%~1.49%もかかります。

 

つまり、この証券会社のファンドラップを利用した場合、かかる手数料は最大で3.03%(1.54%+1.49%)。

 

3%を超える運用成果を出せなければ、手数料負けして元本割れの可能性もあります。

 

一見すると、ファンドラップの手数料は1.54%だけ。

 

しかし、隠れコストとして投資信託の信託報酬が必要となり、更に解約時に手数料が必要な場合も。

 

よって、ファンドラップは3段階の手数料がかかることがあるサービスだと解説されています。

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・特別金利キャンペーンの定期預金

大手メガバンクの定期預金金利が0.002%の時代に金利が5%の定期預金があると聞けば、飛び付いてしまう方も多いでしょう。

 

しかし、高い特別金利の定期預金には下記のようなからくりがあります。 

  • 高金利が3ヶ月しかない
  • 投資信託を定期預金と同額以上買わなくてはならない

 

ポイントは、定期預金とセットになった投資信託の購入。

 

なぜ、銀行が5%もの高い金利を払えるかというと、下記記事でも解説した通り、支払う定期預金の金利よりも受け取る投資信託の手数料の方が高いから。

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本で紹介されている特別金利キャンペーンの定期預金の事例は下記の通り。

 

●500万円の定期預金に対して銀行が支払う金利
約5万円 

●500万円の投資信託に対して銀行が受け取る手数料
約28万円

 

銀行が支払う金利 < 銀行が受け取る手数料』が成り立ち、銀行の儲けの方が約23万円も大きくなります。

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・ノーロードの投資信託

ノーロードの投資信託とは、販売手数料が無料の投資信託のこと。

 

販売手数料ゼロは購入者からしてみると歓迎すべきことですが、その他の手数料について確認する必要があります。

 

本で紹介されている事例のノーロードの投資信託は、信託報酬がなんと最大2.585%。

 

販売手数料は購入時のみしかかかりませんが、信託報酬は信託財産から毎日差し引かれます。

 

仮に事例の投資信託を10年保有すれば、約25%の手数料がかかることに。

 

当然のことながら差し引かれる手数料を上回る運用成果が出なければ、手数料負けして元本割れの可能性もあります。

 

また、信託報酬は下記記事で解説した通り、運用成果に大きく影響するので注意が必要です。  

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上記以外にも「毎月分配型の投資信託」など、資産を増やすどころか資産を減らしてしまう可能性のある金融商品が紹介されていますので、気になる方は本書を読んでみてください。

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銀行や証券会社のいいなりではお金が減る!?

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銀行や証券会社に「あなたの資産を預かって運用します」と言われたら、何となく信じてしまう方も多いのではないでしょうか。

 

かんぽ生命の問題でも「カモ」にされた方の事例が明るみに出ましたが、郵便局を信じてひどい目に遭った方は、公表されている数字以上に存在すると思います。

 

本書の中では、銀行のおすすめ通りに投資信託を次々に乗り換えて、10年間運用したケースで結果はマイナス3%だったという金融庁のデータが紹介されています。

 

運用成果がマイナスになってしまう理由は、銀行が受け取る手数料が高すぎるから。

 

下記記事でも解説しましたが、銀行や証券会社は手数料ハンターだと思った方がいいかもしれません。 

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本で紹介されている金融庁が問題視した投資信託の「乗り換え営業」で顧客が支払うコストは10年間で26.37%

 

コストの内訳は下記の通りです。

 

3.18%:購入時の手数料
6.36%:乗り換え2回分の手数料
16.83%:保有中の信託報酬

 

証券会社や銀行は、顧客に投資信託の短期売買を繰り返させ、顧客の利益よりも証券会社や銀行の利益を優先していたことになります。

 

現在は、金融庁から上記の「乗り換え営業」はやめるようにお達しが出ました。

 

しかし、証券会社や銀行は「乗り換え営業」自粛後もファンドラップやノーロードの投資信託などの手法で手数料を稼いでいると著者は指摘してます。

 

銀行の窓口などの販売者は、運用の実際に接した経験を持っている人はほとんどいない

 

残念ながら販売者は、販売のプロではあるが、運用のプロではないと著者は書いています。

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おすすめの「この1本」となる投資信託とは?

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銀行や証券会社に資産運用を任せられないとすれば、本の題名となっている、おすすめの「この1本」となる投資信託が気になるところでしょう。

 

つみたてNISA」では、次の3つのファンド(投資信託)から選んで積立投資をしなさいとアドバイスしています。

 

 

著者は、商品を選ぶ際のポイントは下記2つとしています。

  • 低コストのインデックス型から選ぶ
  • 長期運用に適した商品を選ぶ(レバレッジ・先物・為替ヘッジを避ける)

 

上記の投資信託3本は、低コストのインデックスファンドで長期運用に適した商品だといえます。

 

なお、インデックス型ファンドとは日経平均株価のような株価指数などのインデックス(指標)と同じ値動きをするような運用を目指す投資信託のこと。

 

インデックス型は目標とする指数に連動するように機械的に銘柄を組み入れるので、ファンドマネージャーが銘柄を選択するアクティブ型に比べて各種の手数料が安くなるというメリットがあります。 

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また、ホームカントリー・バイアスがあり、日本企業の株式などに比べて外国の投資対象はリスクが高いと思われがちですが、世界の株式時価総額のうち日本の株式が占める割合は7%~8%

 

今後、日本国内の成長に比べて世界経済の方が成長力が大きいことは明らかです。

 

よって、著者がすすめる投資信託3本は、先進国の世界株式に投資するファンド。

 

私も資産運用の基本は「ニッセイ外国株式インデックスファンド」を活用した積立投資です。 

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資産運用初心者の方には、iDeCo(イデコ)つみたてNISAを活用し、上記3本から1つを選んでの「ほったらかし投資」がおすすめです。

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本書の中には、一般NISAバージョンのおすすめ商品もありますが、海外ETFを活用するということで投資初心者向けとはいえないでしょう。

 

気になる方は、本書でチェックしてください。

 

 

まとめ

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いい大学に入り、いい企業に就職し、終身雇用で引退。

 

年金を受け取り、退職金や貯蓄を切り崩して余生を過ごす、という「昭和型モデル」は既にオワコン状態。

 

昭和型モデルでは老後に慎ましい生活しかできないどころか、下流老人や老後破産の可能性もあります。 

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昭和型モデルがオワコン化する状況の中、金融リテラシー(金融に関する知識)がないと、老後資金に対する不安をあおられ「カモ」にされる可能性があります。

 

今後の日本では、情報弱者は経済的弱者になってしまう確率が高いといえるでしょう。

 

今回紹介したような本を読み、販売者側の儲けの手口を知るとともに、長期の資産運用に適した商品を選んで頂ければと思います。