全国的に米が品薄で手に入りにくい状況が続いています。
私の住む地域のスーパーはどこも品切れ状態。
お米の代わりにパンなどを食べて凌いでいる方もいるようです。
食料自給率の低い日本でも米だけは潤沢にあるというイメージがありますが、なぜ、品薄になったのでしょうか?
主食の米さえ手に入らないようでは今後が不安です。
そこで今回の記事では、米不足について下記ポイントを解説します。
- なぜ、お米が不足しているのか?
- 米不足はいつ解消される?
- 今後の米価の見通し
- 「令和の米騒動」の真の問題点とは?
主食のお米をお腹いっぱい食べたい方は参考にしてください。
なお、当記事の要約を聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
なぜ、お米が不足しているのか?
米不足の主な要因として挙げられている点は下記の通り。
- 昨年の猛暑で品質のよい商品の供給量が減っていた
- インバウンド(訪日外国人)で業務用の引き合いが増えた
- 地震や台風の接近による買いだめが発生した
米は麺など他の食品に比べ割安で需要も堅調だったことに加え、インバウンド(訪日外国人)が過去最多ペースとなり業務用の引き合いが増えました。
農林水産省によると、昨年に比べて米の需要は増えています。
(出典:テレ朝news)
一方、米の在庫は需要増と2023年の猛暑の影響により例年に比べて少ない状況。
農林水産省が発表した2024年6月末時点の主食用米の民間在庫量(速報値)は前年から約2割(41万トン)減の156万トン。
統計を取り始めた1999年以降で過去最少となりました。
(出典:テレ朝news)
しかし、農林水産省は「例年8月は、新米の本格的な出荷シーズンを前に1年の中ではコメの在庫が最も少なくなる時期ではある。しかし、全国的に見れば、必要な量は確保できている」としています。
米の在庫量は1999年以降で過去最少の156万トンですが、決して少ない量ではなく逼迫している状況ではありません。
米不足の原因まとめ
今回の米不足の原因をまとめると、下記のような複合要因で発生したと思われます。
昨年の猛暑で品質のよい商品の供給量が減っていたところにインバウンド(訪日外国人)で業務用の引き合いが増えた。
また、1年の中でコメの在庫が最も少なくなる8月に南海トラフ巨大地震の注意情報が出たり台風の接近によって買いだめが発生。
更に、マスコミの煽り報道により買いだめを助長。
一時的に品薄状態になり米の価格が高騰し、小売りや問屋などの売り渋りもあった。
米不足はいつ解消される?
今後、米不足の状態はいつ解消されるのでしょうか?
坂本哲志農相は記者会見で 「2024年産米は順調に生育しており、一部地域では出荷が始まっている。年間出荷量の4割程度が出回る9月にかけてコメ不足は順次解消していく」としています。
農林水産省の発表した2024年産米の作柄概況よると、青森県が「良」、北海道や秋田、岩手など11道府県が「やや良」となりました。
宮崎、佐賀、長崎の3県は「やや不良」ですが、コメの生産量が多い地域で生育が順調に進んでいます。
(出典:日本経済新聞)
実際、既にスーパーなどに新米が出回っている地域もあり、あと1ヶ月程度すれば、品薄状態は解消されて手に入りやすくなると思われます。
今後の米価の見通し
お米の品薄状態は解消されても米の価格が高い状態は続きそうです。
下図の通り、JAグループが農家から買い取る2024年産の新米価格が主要産地で前年と比べて2~4割の大幅な引き上げとなりました。
生産コストの上昇に加えて足元の極端な需給逼迫を反映した形です。
(出典:日本経済新聞)
需要と供給のバランスにもよりますが、十分に米が出回るまでは価格が高い状況が続くと思われます。
「令和の米騒動」の真の問題点とは?
今回の米騒動は緊迫した状況ではなく、このまま収束する見通しです。
しかし、これで安心していいのでしょうか?
ちょっとした需給バランスが崩れるだけで主食の米でさえ手に入らなくなる。それほど日本の食糧政策は脆弱ということが露呈しました。
今年は増えましたが、米の需要は年々減少しているため、コメの作付けは減少傾向が続いています。
よって、今後も需要が増えたり、猛暑などの気候条件により生産量が減れば、お米が手に入りにくい状況が発生し得るでしょう。
「消費者が高い価格でお米を買って農家を支えましょう」という発想だけでは、ますます状況が悪化する可能性があります。
国(政府)が農家を守る政策をするべき
米価が安くなった際には国(政府)が買い支えたり農家の所得補償をしたりするなどしないと、日本は主食の米さえも手に入らない国に成り下がる可能性があります。
米の需要に合わせて生産を調整するようなことは止めるべきです。
仮に、需給のバランスが崩れて米が余るようなことがあれば、国(政府)が全量を買い上げる。
買い上げた米は海外の貧困国への食糧支援に使ったり、子ども食堂に寄付したりすればいいのです。
こういう話をすると、農家を甘やかすなという方がいます。
国(日本政府)は農家を保護し過ぎていると勘違いしている人が多いですが、実際は全く逆。
EUや米国など、他の先進国は農家を手厚く保護しています。
例えば、スイスやフランス、イギリスなどは農家の所得の9割以上を税金でまかなっています。
また、米国では小麦などの価格が下がった時には、生産コストと販売価格の差額を国が穴埋めしているのです。
翻って、日本の農家所得に占める助成金の割合は先進国で断トツに低い状況。
日本以外の先進国が農家を手厚く保護する理由は食料自給率を上げるため。
食料自給率を上げる政策はどこの国でも最重要課題として当たり前に行われています。
日本の2020年度の食料自給率は約37%(カロリーベース)。
タネや肥料などを考慮した実質的自給率は10%あるかないかとも言われていますが、田んぼ「潰し」に750億円(2023年度補正予算)も使っている状況。
安全保障の観点からも食料自給は重要な課題。
よって、農家だけでなく、酪農家や漁業従事者など一次産業従事者を保護する政策を行うべきです。
しかし、2025年のプライマリーバランス(PB)黒字化が閣議決定されたので、財政健全化のもと更に農業関連予算は削減されるかもしれません。
このままだと、国民を飢えさせてでも国債を減らすという間抜けなことになりかねない状況。
そもそも返済の必要のない国債を増やさない、または減らすために国民の命を危険に晒す意味が分かりません。
財務省の暴走を止めないと我々の命が奪われるレベルに達しています。
それを止められない日本の政治屋には呆れるばかりです。
まとめ
今回の米不足は複合的な要因で発生しました。
今後、収穫が本格化する2024年産の新米が出回るようになれば、9月~10月にかけて品薄状況は解消される見通しです。
しかし、本当に問題にすべきは、ちょっとした需給バランスが崩れるだけで主食の米でさえ手に入らなくなる危うい状況。
日本も他の先進国のように食料需給率を上げるために農家などの一次産業従事者を手厚く保護すべきです。
それが安全保障にもつながります。
そのためにも、財務省の暴走を止めることが重要。
9月の自民党総裁選が終われば、早々に衆院は解散されて総選挙となるでしょう。
来るべき総選挙では、「今だけ、金だけ、自分だけ」の政治屋ではなく財務省の暴走を止められる政治家を選ぶ必要があります。