資産を運用する上で一番気になるのは、リターンに対してどの程度のリスクがあるのかではないでしょうか?
日本人は元本割れのリスクを極端に嫌うので、どのようなリスクがあり、どの程度のリターンが期待できるのかは、最も気になる点だと思います。
リスクとリターンの関係を知ることは資産運用をする際だけでなく、投資詐欺に遭うことを防ぐ意味でも重要です。
今回は、リスクとリターンの関係について解説します。
新NISAで資産運用を始めたいが、リスクとリターンについてよく分かっていないという方は参考にしてください。
1.リスクとは?
一般的にリスクとは「危険」と訳されることが多いと思いますが、投資においてリスクとは「危険」ということではなく、価格変動の振れ幅(不確実性)を指します。
株式や投資信託の価格は日々変動していますが、その変動幅が大きいことをリスクが大きいといいます。
価格変動幅が小さければ、リスクは小さいことになります。
(出典:日本証券業協会)
2.リスクとリターンの関係
リターンとは運用によって得られる収益のことですが、リスクとリターンの関係については高いリスクを取れば、リターンも大きくなる可能性が高くなります。
しかし、逆に大きな損失(マイナスのリターン)を被る可能性も高くなります。
つまり、「ハイリスク・ハイリターン」ということ。
例えば、株式などの価格変動幅の大きい(リスクの高い)商品に投資すれば、リターン(収益)は大きくなる可能性が高くなります。
ただし、思惑と逆方向に株価が動けば、大きな損失を被る可能性もある。
一方、債券などの価格変動幅の小さい(リスクの低い)商品に投資した場合、大きな損失を被る可能性は低くなりますが、逆にリターン(収益)も小さくなるわけです。
つまり、「ローリスク・ローリターン」ということになります。
3.金融商品によって異なるリスクとリターン
金融商品によってリスクの大きさは異なります。
下記のように預貯金はリスクが低い分、リターン(収益)も小さくなります。
一方、株式はリスクが高い分、リターン も大きくなる。
ただし、株式はリターン(収益)が大きくなる反面、損失も大きくなる可能性があります。
預貯金、債券、投資信託、株式のリスクを比較すると、下記の通り。
預貯金 < 債券 < 投資信託 < 株式
(出典:日本証券業協会)
投資を検討している投資商品のリスク(価格の振れ幅)を確認しておかないと想定外に大きな損失を被る可能性もあります。www.fpinv7.com
例えば、新NISAで大人気の指数(インデックス)であるS&P500ですが、下図の通り短期間では最大50%程度の下落があり得ることを認識しておく必要があります。
(出典:WealthNavi)
投資詐欺に騙されないために知っておくべきポイントとは?
投資詐欺に騙されて大きな損失を被った方が話題になることがありますが、騙されないためにはリスクとリターンの関係を理解することが重要です。
よく、元本保証で月利10%以上の投資話に騙される方がいますが、そのようなリスクは低くリターンだけ高いという話はないということを認識しておべき。
原則、ローリスク・ハイリターンやノーリスク・ハイリターン の商品はありません。
つまり、プラス側に大きく価格が上がる運用商品であれば、マイナス側にも価格が振れる可能性があるということを理解することが重要。
例えば、ビットコインで億り人になった人達が話題になりましたが、仮想通貨は価格の振れ幅が大きいので大きな利益(リターン)を得る人がいる一方で、大きな損失(マイナスのリターン)を抱えた方もいました。
下図のビットコインチャートから分かる通り、1年間で約160万円から約660万円と500万円もの値幅があります。
かなりリスク(価格の振れ幅)が大きいことが分かります。
安値でビットコインを買った方は大きな利益を上げることができたでしょうが、逆に高値で買った方は大きな損失を被ることになったでしょう。
大きなリターンを得られる可能性があるということは、大きな損失を被る可能性があるということの裏返しであることを認識しておくことが重要です。
(出典:ビットフライヤー)
まとめ
資産運用を始める際は、商品ごとにリスク(価格変動の振れ幅)がどの程度あるのかを確認し、ご自身で許容できる範囲内のリスクから始める必要があります。
また、投資詐欺に騙されないためにもリスクとリターンの関係を知り、原則、ローリスク・ハイリターンやノーリスク・ハイリターン の商品はないと認識する必要があります。