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【専業主婦(夫)】「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA」どちらがおすすめ?


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2017年の制度改正で第3号被保険者である専業主婦(夫)も個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)に加入できるようになりました。

 

専業主婦(夫)の方でも老後の備えとしてiDeCo(イデコ)への加入を検討する場合があると思います。

 

しかし、本当にiDeCo(イデコ)に加入するメリットがあるかを確認することが重要。

 

専業主婦(夫)の方であれば、iDeCo(イデコ)よりも一般NISAやつみたてNISAの方がメリットが大きい場合があります。

 

今回は、専業主婦(夫)にとってiDeCo(イデコ)は本当にメリットがある制度なのかをiDeCo(イデコ)のメリット・デメリットから確認したいと思います。

 

 

1.専業主婦(夫)にとってのiDeCo(イデコ)のメリットとは?

iDeCo(イデコ)の下記メリットについて、専業主婦(夫)の方にもメリットがあるのかを確認していきたいと思います。 

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用益が非課税
  • 老齢給付の受取時にも税制優遇あり

 

掛金が全額所得控除となる

iDeCo(イデコ)には掛け金が全額が所得控除となり、所得税・住民税の負担が軽減され、節税となるメリットがあります。

 

下図の通り、専業主婦(夫)である第3号被保険者も毎月23,000円(年間27.6万円)までの掛け金拠出が可能。 f:id:fp-investor-info:20190912185957p:plain

(出典:iDeCo公式サイト

 

しかし、課税される所得がなく税金が全くかからない専業主婦(夫)にとっては、掛金が全額所得控除になる点にメリットはありません

 

配偶者分の掛け金は所得控除の対象にならない?

国民年金の保険料などは社会保険料控除の対象で、配偶者分の保険料を支払った場合でも所得控除の対象になります。

 

例えば、個人事業主である夫が専業主婦である妻の分の国民年金保険料を支払った場合、夫の所得から妻の国民年金保険料を控除することが可能。

 

国民年金基金の掛け金も社会保険料控除の対象なので、個人事業主の夫が専業主婦である配偶者分の掛け金を支払えば、社会保険料控除の対象とでき、夫の所得税・住民税の負担が軽減されます。 

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しかし、iDeCo(イデコ)の掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となり、配偶者分の掛け金を支払っても本人の控除対象とすることはできません。

 

よって、税金が全くかからない専業主婦(夫)にとって、iDeCo(イデコ)の掛金が全額所得控除になるという点は全くメリットにはなりません

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運用益が非課税

iDeCo(イデコ)の掛け金を投資信託などで運用し運用益が出た場合、非課税となるメリットがあります。

 

この点は、専業主婦にもメリットがあります。

 

しかし、運用益が非課税になるのはiDeCo(イデコ)だけではありません。「一般NISA」や「つみたてNISA」についても運用益は非課税

 

よって、運用益が非課税になるメリットを狙うのであれば、わざわざiDeCo(イデコ)に加入する必要はないことになります。

 

老齢給付の受取時も一定額まで非課税

iDeCo(イデコ)の給付金を受け取る際には、一時金で受け取る場合には退職所得控除、年金で受け取る場合には公的年金等控除が使えるというメリットがあります。

 

この点に関しては、専業主婦(夫)にとってもメリットにはなります。

 

しかし、一時金で受け取る際に老齢給付金額が退職所得控除を超えれば税金が掛かりますし、年金で受け取る場合にも公的年金等控除を超えれば税金が掛かります。

 

一方、NISAの場合には、どれだけ運用益が出ていても完全に非課税で現金化が可能

 

例えば、30歳から60歳まで掛け金を拠出し、一時金でiDeCo(イデコ)の給付金を受け取る場合、使える退職所得控除は1,500万円。

 

一時金として受け取る老齢給付金が1,500万円を超えている場合、その超えている額の2分の1が課税対象となります。

 

専業主婦(夫)が掛け金の上限額を30年間拠出した場合、元本は828万円(2.3万円×12ヶ月×30年)となります(口座管理手数料を考慮せず)。

 

仮に、積立利率3.7%で運用できれば、元本と運用益の合計は15,136,593円となり、1,500万円を超えます。

 

また、下記シミュレーションのように積立利率5%で運用できた場合、19,141,949円となり、1,500万円を400万円以上オーバー。

 

5%での運用は決してムリな数字ではありません。

イデコ運用シミュレーション(30年)

上記の運用資産を一時金で受け取る場合には、退職所得控除(1,500万円)を超えた約400万円の2分の1が課税対象となってしまいます。

 

これが「つみたてNISA」や「一般NISA」であれば、どんなに運用益が出ていても全て非課税で受け取ることができます

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2.専業主婦(夫)にとってのiDeCo(イデコ)のデメリット

続いて、iDeCo(イデコ)の下記デメリットについて、専業主婦(夫)の方にもデメリットとなるのかを確認していきたいと思います。 

  • 掛金から毎月手数料が差し引かれる
  • 60歳まで拠出した掛金を引き出せない

 

掛け金から毎月手数料が差し引かれる

iDeCo(イデコ)に加入すると、毎月口座管理手数料が差し引かれます。

 

税金を納めている方であれば、手数料が差し引かれても掛け金全額が所得控除となり、所得税・住民税が安くなっているので、手数料を差し引かれるデメリットを上回るメリットがあります。

 

しかし、税金を全く納めていない専業主婦(夫)の場合には、手数料分は完全にマイナスとなってしまい、投資信託の運用益で補う必要があります。

 

一方、「一般NISA」や「つみたてNISA」については、口座管理手数料は不要です。

 

途中解約できず、掛け金は60歳まで引き出せない

iDeCo(イデコ)は途中解約ができず、払い込んだ掛金も原則、60歳まで引き出せないというデメリットがあります。

 

税金を納めていない専業主婦(夫)にとって、iDeCo(イデコ)はメリットがほとんどないにも関わらず、60歳まで掛け金を引き出せないという大きなデメリットを背負うことになります。

 

「一般NISA」や「つみたてNISA」であれば、いつでも換金が可能です。

 

 

3.専業主婦(夫)におすすめなのは、iDeCo(イデコ)よりもNISAの活用

上記の通り、課税所得のない(税金の掛からない)専業主婦(夫)にとって、iDeCo(イデコ)はあまりメリットのある制度とはいえません。

 

老後の備えをしたいのであれば、NISAの方が向いています。

 

NISAであれば、運用益は全て非課税ですし、いつでも換金することが可能。

 

運用初心者の方であれば、特に「つみたてNISA」でコツコツと老後資金を積み立てることをおすすめします。 

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パート収入が103万円を超える場合はiDeCo(イデコ)への加入もあり

ただし、パート収入が103万円を超える場合にはiDeCo(イデコ)に加入し、節税するという考え方は可能。

 

専業主婦でも年収が、給与所得控除:55万円と基礎控除:48万円を足した103万円を超えると所得税が掛かります

 

しかし、iDeCo(イデコ)に加入すれば、更に27.6万円分(2.3万円×12ヶ月)が所得控除になり、課税対象となる所得から差し引けます。

 

最低賃金が上がり、人手不足で労働時間の調整も難しくなっています。

 

iDeCo(イデコ)に加入すれることにより、130.6万円(給与所得控除55万円+基礎控除48万円+iDeCo(イデコ)27.6万円)までの給与収入であれば、所得税は課税されません。

 

ただし、年収が一定額(106万円または130万円)を超えると、社会保険料(厚生年金・健康保険)を負担する必要性が出る点には注意が必要です。

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パート主婦が注意すべき「収入の壁」の詳細については、下記記事をご参照ください。

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4.専業主婦(夫)が最もやってはいけない運用方法とは?

専業主婦(夫)が最もやってはいけない運用方法は、iDeCo(イデコ)に加入し、元本保証型商品を選ぶこと。

 

特に課税所得がない場合には、掛け金が全額所得控除になるメリットがないにも関わらず、毎月の口座管理手数料が差し引かれます。

 

よって、現在のような低金利の時代には手数料分がほぼ全てマイナスとなり、資産を減らすことになってしまいます。

 

 

まとめ

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課税所得がない専業主婦(夫)の場合、iDeCo(イデコ)に加入するよりもNISAの方がおすすめ。

 

iDeCo(イデコ)の場合、国民年金の保険料などと違い配偶者分の掛け金が所得控除の対象にならない点にも注意が必要。

 

専業主婦(夫)が資産運用を考える場合、まずはNISAからの活用がおすすめです。

 

更に余裕があれば運用益の非課税を狙ってiDeCo(イデコ)への加入もありでしょう。

 

ただし、運用商品は投資信託を選ぶことが前提。

 

定期預金や保険などの元本確保型では、口座管理手数料分だけ資産を減らしてしまうことになります。

 

iDeCo(イデコ)については、下記のような記事も書いていますので、良かったらご覧ください。

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