政府・自民党は年金制度改革関連法案を閣議決定し、5月16日に国会に提出。
今国会での成立を目指す方針です。
与党内で慎重論が強かった就職氷河期世代らの低年金対策である基礎年金の底上げ策に注目が集まっていますが、遺族年金について改正する案も盛り込まれています。
SNSなどで「遺族年金が廃止される」などといった情報も流れましたが、廃止される訳ではありません。
しかし、廃止と誇張されるレベルで大きく改悪されます。
基礎年金の底上げ案ばかりに注目が集まっていて遺族年金の改正については、どこの党も反対していないようなので、このまま改悪されることになるでしょう。
そこで今回の記事では遺族年金の改悪について解説します。
国民負担は増えるのに給付が削減される現状に憤っている方は参考にしてください。
遺族年金の見直し|一生涯給付から5年で打ち切りへ
「遺族年金が廃止される」という情報がSNS上で話題になりましたが、廃止は誤情報。
しかし、大きく改悪されることになります。
遺族年金の改悪について解説する前に遺族年金について簡単に解説します。
遺族年金とは?
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)とは、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合に遺族が受け取れる年金です。
(出典:厚生労働省)
遺族厚生年金とは?
遺族厚生年金は会社員(第2号被保険者)が亡くなった場合に下図の遺族が受け取れる年金です。
遺族年金の改正内容とは?|遺族厚生年金の男女間の格差をなくすため?
遺族年金の改正対象となるのは、上図の③「こどものいない妻」と「こどもいない夫」。
遺族厚生年金の受け取れる期間が下記の通り【改正前】から【改正後】で大きく改悪されます。
【改正前】
- 夫の死亡時に妻が30歳未満:5年の有期給付
- 夫の死亡時に妻が30歳以上:無期限の給付
【改正後】
- 妻・夫の死亡時に夫・妻が60歳未満:5年の有期給付
- 妻・夫の死亡時に夫・妻が60歳以上:無期限の給付
最も大きな改悪が、30歳以上60歳未満の妻が受け取る遺族厚生年金が一生涯の給付から5年の有期給付になる点です。
遺族厚生年金の改正内容をまとめると下記の通り。
- 5年間の有期給付(60歳未満)
- こどものいない(55歳未満の)男性にも支給
- 遺族年金を増額(有期給付加算による増額+死亡分割による増額)
- 年収(850万円以上)要件を撤廃し、収入に関係なく受け取れる
- 配慮が必要な場合は5年目以降も給付を継続
「男女間の格差をなくすため」であれば、男女とも30歳以上で無期限に給付する形に合わせてもいいはず。
しかし、格差是正という建前で男女とも60歳未満であれば5年間の有期給付にするという暴挙。
要するに遺族厚生年金の給付期間を大幅に短縮するという本来の目的が見え見えです。
第3号被保険者は実質的に廃止?
今回の改正が行われば、実質的に専業主婦は選択し辛くなるでしょう。
60歳未満の遺族年金の受給期間が5年間に短縮されれば、男女とも働く事が前提となります。
更に「106万円の壁」撤廃で実質的に第3号被保険者という存在を消しさり、社会保険料負担者を増やすというのが今回の改正の狙い。
第3号被保険者をいきなり廃止すると批判も出るので、実質的に3号になる選択肢を消すことが目的でしょう。
厚生労働省も財務省も日本の官僚は国を衰退させる方向に頭を使うばかり。
優秀な頭脳を日本国民が豊かになる方向に使って欲しいものです。
遺族年金改悪で少子化が加速する?
今回の改正で専業主婦が減れば、更に少子化が加速するでしょう。
2024年の国内の出生数は過去最少の72万988人で、日本人のみの出生数は70万人を割り込む見込み。
日本の少子化は待ったなしの超危険な水域に達しています。
しかし、異次元の少子化対策が必要と言いながら、国(政府)がやっていることは少子化促進策ばかり。
異次元と言うのであれば、第一子に月20万円、第二子以降に月10万円を児童手当として支給するレベルの思い切った政策が必要。
少子化を食い止めるためには、専業主婦として子育てする方に安心して子供を育てられる原資を提供するべきです。
子供は国の宝。子育てする専業主婦を国が雇うという考え方です。
時給換算で考えれば、専業主婦として子育てする方にはこれくらい渡しても少ないくらい。
子育てを時給1,000円と最低賃金レベルで見積もっても1,000円☓24時間(睡眠時間も常に待機状態)☓30日=72万円。
子供2人で月30万円渡しても、最低賃金レベルの半分未満しか渡せない計算。
このような話をすると「財源が~」という馬鹿の一つ覚えの議論をする方がいますが、まずは少子化対策で全く結果を出せていない「こども家庭庁」を廃止して約7兆円の予算を児童手当に回せばいいでしょう。
それで足りなければ国債を発行すればいいだけ。
自国通貨建ての国債を発行できる日本が「財政破綻」することはありませんし、「ハイパーインフレ」になる可能性もほぼありません。
これは財務省が自ら認めていること。
何よりの証拠がコロナの際に日本は100兆を超える国債を発行しましたが、財政破綻もハイパーインフレも起こっていません。
(出典:財務省)
よって、通貨を発行できる国(政府)が収支を考える必要はありません。
国(政府)にとって最も重要な政策の一つは人口減少を抑えることで、歳入と歳出を均衡させることではありません。
お金の収支を合わせるために人口減を許容する。つまり、国が滅んでもお金を守るという間抜けな思想に日本の三流政治家たちは陥っています。
日本円に価値があるのは日本に豊かな供給能力(生産能力)があるからであり、財政健全化に取り組んでいるからではありません。
豊かな供給能力(生産能力)とは例えば、生活必需品が簡単に手に入る、交通網が整備されている、電気・ガス・水道のインフラが広域で整備されていることなど。
人口が減って日本の豊かな供給能力(生産能力)が落ちれば、日本円の価値も下がります。
既にその兆候は円安という形で現れ始めています。
まとめ
政府・自民党は年金制度改革関連法案を閣議決定し、5月16日に国会に提出。
今国会での成立を目指す方針です。
与党内で慎重論が強かった就職氷河期世代らの低年金対策である基礎年金の底上げ策に注目が集まっていますが、遺族年金について改正する案も盛り込まれています。
遺族年金の改正で日本の専業主婦は激減するでしょう。
少子化を食い止めるためには、専業主婦として子育てを頑張ってくれる方を国がバックアップする必要があります。
そのためには、第一子に月20万円、第二子以降に月10万円を児童手当として支給するレベルの思い切った政策が必要。
財源は国債一択。
三流政治家たちが「日本の財政はギリシャより悪い」などと頓珍漢なことを言っている間に日本は衰退の一途を辿っています。
このまま政治に無関心な方が多いと日本人は貧困化していく一方。
次の選挙以降で三流政治家を国政から排除しない限り、私たち一般庶民は税金や社会保険料などを搾取され続けることになります。