
物価の上昇が止まらない一方で私たち庶民の収入は増えず、暮らしはどんどん苦しくなっている状況。
参院選では「物価高対策」が大きな争点となり、減税を求める声も高まりました。
一方で「減税するとインフレが加速する」や「日銀(日本銀行)は利上げしてインフレを抑え込むべきだ」と主張する専門家もいます。
減税せず日銀が利上げをすれば、私たち庶民の生活は楽になるのでしょうか?
そこで今回の記事では、下記ポイントについて解説します。
- 減税するとインフレは加速するのか?
- 日銀(日本銀行)は利上げすべきなのか?
- 減税でインフレが進めば日銀は利上げできる!
「日本人の貧困化を止めろ!」と声高に叫びたい方は参考にしてください。
減税するとインフレは加速するのか?
結論から言うと、現在の状況下で消費税を減税したり暫定税率を廃止しても急激にインフレが加速することはありません。
その理由は大きく3つあります。
①減税規模が小さい
まず、減税される金額の規模を見てみましょう。
ガソリン税の暫定税率廃止で約1.5兆円、また消費税を5%減税すると仮定すると約12兆円。
これは、コロナ禍で全国民に配られた給付金(1人10万円)の総額である約13兆円とほぼ同程度。
一律10万円が配られた際、爆発的に消費が増えてインフレが加速することはありませんでした。
昨今の物価高の要因は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰や円安で輸入品が値上がりしたこと。
つまり「コストプッシュ型インフレ」であり、国内の消費増加とは関係がありません。
13兆円程度の減税規模ではコロナの際と同じように貯蓄に回りやすく、消費が一気に増えることは考えにくいでしょう。
②将来不安で消費は伸びにくい
マクロ経済スライドによる公的年金の実質的な減額や増税への不安があるため、日本人は余裕ができても貯蓄に回しやすい傾向があります。
コロナ禍で10万円が配られた際も多くの人は将来への不安から貯蓄に回したり、本当に必要なものだけを買ったりしました。
13兆円程度の減税規模では、消費が爆発的に増えることはなく貯蓄に回る方が多いでしょう。
③消費税を減税しても価格は下がりにくい
仮に消費税を5%に下げても、その分物価が丸々下がるわけではありません。
その理由は下記記事で解説した通り、事業者の多くが適正な利潤を取り、そこに消費税を上乗せできているわけではないから。
特に食料品は価格転嫁が難しく、減税しても実感しにくいでしょう。
以上の観点から減税しても一気に消費が爆発することはなく、インフレが加速する心配はほとんどありません。
日本銀行(日銀)は利上げすべき?
「物価高を抑えるために日銀は利上げすべきだ」という意見があります。
確かに利上げにより日米の金利差が縮まれば円安は落ち着き、輸入品の価格が多少は下がるかもしれません。
しかし、利上げの本来の目的は「加熱した景気を冷ますこと」。
では、今の日本経済は本当に加熱しているでしょうか?
現実はその逆で、実質賃金は3年以上マイナスが続いて家計は苦しい状況のまま。

(出典:NHK)
先述の通り、今の物価高は輸入品や燃料費の高騰による「コストプッシュ型インフレ」で、国内の需要が強いわけではありません。
この状況下で利上げしても物価を下げる効果は小さく、むしろ下記のような弊害で景気を冷やすリスクの方が大きくなります。
- 変動型の住宅ローン金利が上がり家計を圧迫
- 中小企業の金利負担が増える
- 中小企業の倒産増加により失業者が増える
結論として、現状では日銀が利上げを行える経済状況ではありません。
むしろ景気や家計への悪影響を考慮して利上げ姿勢を一旦取り下げてもいいくらいです。
減税でインフレが進めば日銀は利上げできる
先述の通り、日本では減税しても消費が爆発的に増えて一気にインフレが加速することはありません。
しかし、数年に渡り粘り強く減税すれば、消費や投資が増えてディマンドプル(需要けん引)型の良いインフレが起こるでしょう。
そのとき初めて、日銀の利上げが可能になります。
結果として過度な円安も抑えられ、物価高対策として有効に働きます。
2024年度の税収は75兆2320億円となり5年連続で過去最高を更新。
物価高に苦しみ消費を抑制している国民から5年も連続で過去最高の税収を巻き上げるなど正気の沙汰ではありません。
本来なら不況下では減税するのが当たり前の経済政策であり、まずは家計や企業を支えることが重要。
「コストプッシュ型インフレ」で景気が停滞する状況で利上げをすれば、賃金が伸びない中で物価だけが上がる「スタグフレーション」に陥る危険性があります。
スタグフレーションとは、経済停滞(stagnation)とインフレ(inflation)が同時に起こる厄介な経済状態。
つまり、真っ先に行うべきことは減税による景気回復なのです。
まとめ

物価の上昇が止まらない一方で私たち庶民の収入は増えず、暮らしはますます苦しくなっている状況。
参院選では「物価高対策」が大きな争点となり、減税を求める声も高まりました。
一方で「減税するとインフレが加速する」や「日銀(日本銀行)は利上げしてインフレを抑え込むべきだ」と主張する専門家もいます。
しかし、現在検討されている規模の減税を実施しても一気にインフレが加速することはありません。
また、「コストプッシュ型インフレ」で景気が停滞する状況下で日銀が利上げをすれば、「スタグフレーション」に陥る危険性があります。
2024年度の税収は75兆2320億円となり5年連続で過去最高を更新。
物価高に苦しみ消費を抑制している国民から5年も連続で過去最高の税収を巻き上げるなど正気の沙汰ではありません。
不況下では減税が当たり前の経済政策であり、まずは家計や企業を支えることが重要。
今、国(政府)が真っ先に行うべきことは減税による景気回復です。