2024年の米国大統領選挙は、ドナルド・トランプ元大統領とカマラ・ハリス副大統領の間で行われ、トランプ氏が圧勝しました。
日本のマスコミは、接戦と報道。
しかし、実際はトランプ氏がスイングステートと呼ばれる激戦7州(ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナ、ネバダ)で全勝しました。
大統領選の結果を受けて、日本の個人投資家にとって気になる点はトランプが大統領に就任した場合、為替や株価(米国株や日本株など)がどう動くかでしょう。
そこで今回の記事では、下記ポイントについて解説します。
- トランプの政策は?日本への影響は?
- 為替(ドル円)の行方は?
- 2025年の新NISA戦略は?
2025年の新NISA戦略が気になる方は参考にしてください。
トランプ次期大統領の政策は?日本への影響は?
トランプは2025年1月に第47代のアメリカ大統領に就任することになります。
また、大統領選挙に合わせて行われた連邦議会の選挙で、共和党が上院・下院とも多数派となることが確実になりました。
大統領職と上下両院の多数派を共和が占める「トリプルレッド」となり、トランプ次期大統領が掲げる政策を進めやすくなる体制になります。
トランプが経済政策として掲げているものは下記の通り。
- トランプ減税の恒久化
- 法人税率の引き下げ
- ドル安誘導(利下げ)
- 石油・ガス掘削の推進
- 移民抑制
- 関税強化
上記の政策のうち石油・ガス掘削推進以外は全てインフレ要因。
原油については中国経済の不振で需要も減る見通しなので、価格が下落すればインフレを抑制する効果があります。
一方、減税策は消費需要を刺激するほか、関税は輸入物価の上昇、移民抑制は労働力不足による賃金加速を招きます。
インフレによりアメリカの長期金利が上がれば円安要因となり、輸出拡大を通じて日本経済にもプラスの波及効果があるでしょう。
しかし、トランプ次期大統領は大統領選で、中国からの輸入品に60%、日英などほかの国々からの輸入品には10~20%の関税を課す方針を示しました。
トランプ氏が保護貿易政策を先鋭化させる場合、日本の輸出産業への影響が懸念されます。
日本の政治家がどう対応するかも重要で、トランプと対等にディール(交渉)できるかが日本企業の業績に影響するでしょう。
ドル円の行方は?円安・円高どちらに振れる?
トランプの政策はほとんどがインフレ再燃と財政収支の悪化を想起させるので、米国の長期金利が上昇することになるでしょう。
これは日米金利差の拡大を通じてドル高円安を招くことになります。
現状、既にそれを織り込んで円安・ドル高に振れている状況。
また、日本銀行(日銀)が利上げしないことになれば、円安が加速することも考えられます。
トランプもバカではないのでインフレが過度に進むような政策は強行しない可能性もあります。
また、ドル高・円安を「大惨事だ」と発言したこともあるので、短期的には円安が思ったほど進まないケースも考えられます。
一方、過度にインフレが進んだ場合、FRBによる政策金利の引き上げによって米国経済がハードランディング(景気の急激な悪化)するという最悪のシナリオもゼロではないでしょう。
米国経済がハードランディングしてFRBが利下げすることになった場合、円高・米国株安というダブルパンチを喰らうケースも考えられます。
その場合は、円高と米国株安でS&P500やオルカンなどの価額が大きく下がることになります。
そうなれば、日本株も大暴落する可能性が高いでしょう。
いろいろなケースが考えられますが、確実に言えることは為替の動きを正確に予想することは難しいということ。
あらゆるケースを想定しておくことで、最悪のケースが発生してもパニックに陥らないように心構えをしておくことが肝要。
トランプの経済政策が明確になるまでは、為替の変動幅が大きい状態が続くことを認識しておく必要があります。
2025年の新NISA戦略とは?
トランプが大統領選で再選されたことにより株高などを期待したトランプ・ラリーが既に始まっています。
例えば、ビットコインなども爆上げ状態。
この上昇相場に乗り遅れてはいけないと焦っている人も少なくないでしょう。
既にトランプ・ラリーが始まっているにしても焦る必要はありません。
また、これから円安が進むのであれば円高のリスクに備えて資産運用を一旦止めるなどもやらない方が無難。
多くの方は新NISAの「つみたて投資枠」を利用してS&P500やオルカンを積立投資するインデックス投資を行っているはず。
資産運用、特にインデックス投資をするのであれば、長期的な視点を持つことが重要。
誰がアメリカの大統領になろうとも、淡々とインデックスファンドの積み立てを継続すべき。
インデックス投資は長期で年利5%程度の利回りを狙う投資法なので、短期的な相場の変動を考慮する必要はありません。
インデックス投資は長期的な世界経済の成長にお金を投じる投資法。
短期的な為替変動や株価変動に惑わされてはいけません。
為替相場も株式市場も短期の動きではなく、長期的な動きを重視する必要があります。
今後、世界的に株式市場はトランプの言動でジェットコースターのような振れ幅の大きい状態になることが考えられます。
トランプの一挙手一投足に振り回される相場になるので、振り落とされて相場から退場することにならないように資産配分を調整することが重要。
特に、リスクの取りすぎには注意が必要です。
まとめ
トランプが2024年の大統領選を制し、2025年1月に第47代のアメリカ大統領に就任することになります。
大統領職と上下両院の多数派を共和が占める「トリプルレッド」状態になるため、トランプ次期大統領が掲げている政策がどんどん進んでいくでしょう。
その場合、為替相場や株式市場の変動幅が大きくなる可能性があります。
私たち個人投資家にとって重要な事は、今後の為替相場や日米の株式市場が大きく変動する可能性があることを認識すること。
そして、新NISAでインデックス投資をしているのであれば、短期的な相場の変動に動揺することなく冷静な判断をする必要があります。
なお、正確に未来の相場変動を予測することは誰にもできません。
円安は〇〇円までで進むという予想も増えていますが、あくまでも予想。
専門家といわれる人達の予想もあてになりません。
また、相場が不安定になるとSNS等で「絶対円高になる」や「株安確実」などの煽った情報発信が増えるでしょう。
偏った情報発信にも振り回されないように気をつけてください。