「老後2000万円問題」をきっかけに老後資金の準備のために資産運用を始めようと思われた方も多いと思います。
しかし、どのような商品で資産運用を始めたらいいか迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、資産運用にはどのような種類の商品があるのかや商品ごとのリスクついて解説します。
1.資産運用時のリスクとは?
資産運用商品の種類を解説する前にリスクについて簡単に解説します。
資産運用においてリスクとは「危険」という意味ではなく、価格変動の振れ幅(不確実性)を意味します。
株式や投資信託の価格は日々変動していますが、その変動幅が大きいことをリスクが大きいといいます。
価格変動幅が大きいと、大きな収益(リターン)を得られる反面、大きな損失(マイナスのリターン)を被る可能性も。
つまり、「ハイリスク・ハイリターン」ということ。
原則、ノーリスクハイリターンやローリスクハイリターンな商品はない事を認識する事が重要。
上記の原則を理解していないと、元本保証で年利数十%といった投資詐欺に騙されてしまいます。
2.資産運用商品の種類
それでは、ここから主な運用商品をリスクが低い順にご紹介します。
・預貯金
預貯金は預金保険制度により元本1000万円とその利息までは保証され、元本割れの可能性はありません。
一方、現在のような低金利時代には大きなリターンを得ることはできません。
よって、「ローリスク・ローリターン」ということになります。
元本割れを起こすことなく、いつでも資金を引き出せるというメリットがある反面、リターンが低いので長期的にはインフレに負けてしまう可能性があります。
現金や預貯金は無リスク資産といわれますが、インフレを考慮するとノーリスクというわけではありません。
よって、所有する全ての資産をリスクの高い投資先に入れることは危険ですが、逆に全ての資産を現金(円)だけで保有する事もまた危険です。
・債券
国や企業などが投資家から資金を借り入れるために発行するものを債券といいます。
一番有名な債券は、国が資金を借りるために発行する国債。
債券は一定期間ごとに利息が得られるとともに、満期まで保有すれば元本が戻ってきます。
ただし、途中で債券を売却する場合には、購入価格を割り込む元本割れが起こる可能性があります。
また、満期前に発行企業の破たんなどにより利払いや償還が約束通りに行われない債務不履行(デフォルト)となる可能性も。
なお、債券には国内債券だけでなく、外国債券があります。
外国債券は金利が高く人気がありますが、購入する場合には為替リスクやカントリーリスクなどを負うことになり、外貨ベースでは元本割れがなくても為替の関係で円ベースでは元本割れを起こす可能性があります。
なお、個人向け国債は資産運用初心者の方にはリスクがほぼないという点ではおすすめですが、現在のような金利情勢では、ほとんどリターンは期待できません。
・投資信託
投資信託(ファンド)は投資家からお金を集めて、運用の専門家(ファンドマネージャー)が債券や株式などの金融商品に分散投資をします。
投資信託には、株式で運用する商品以外にも債券やRIET(不動産投資信託)で運用する投資信託もあります。
また、株式や債券など複数の投資対象を組み合わせたバランス型の商品もあります。
投資信託は投資対象が債券から株式まで多様なので、同じ投資信託というカテゴリーの中でも投資対象によって、リスクの大きさが異なる点には注意が必要。
例えば、国内債券のみで運用する投資信託はリスクは低いですが、外国株式で運用する投資信託は価格変動リスクだけでなく、為替リスクなども負うことになりリスクが高くなります。
・株式
個別企業の株式に投資する方法は、債券や投資信託に比べてリスクが高くなります。
株式型の投資信託は多くの銘柄に分散投資されている分、リスクが低くなりますが、個別銘柄の株式に投資する場合には個別企業の動向に大きく左右されることになり、投資信託よりもリスクが大きくなります。
最悪の場合、投資対象企業の倒産などにより、保有資産の価値はゼロになる可能性も。
その反面、大きく成長する企業を発見できれば、短期間で資産を大きく増やすこともできます。
しかし、個別株で大きく稼ぐのはプロでも難しいこと。
個別株投資に比べてリターンは小さくなる可能性がありますが、投資初心者の方には投資信託の方がおすすめです。
3.資産運用の始め方|何から購入すべきか?
資産運用に絶対の正解はありませんので、それぞれのリスク許容度や目的に合わせて運用商品を選ぶといいでしょう。
資産運用を始める際に最初から完璧を求める必要はありません。
肩の力を抜いて軽い気持ちで始めるくらいがちょうどいいと思います。
資産運用を始める際に気合を入れて貯蓄を一括で株式投資に回そうとする方もいますが、明らかにリスク許容度を超えています。
いつ起こるかは分かりませんが、暴落は必ず発生します。
リスクを取り過ぎると暴落が発生した際に損失に耐え切れず、資産運用を続ける気持ちも失せてしまうでしょう。
資産運用に慣れるという意味では、ほぼノーリスクの個人向け国債から始めるということでもいいと思います。
もう少しリスクが取れるならば、つみたてNISAを活用して少額の積立投資から始めるのもいいでしょう。
少しずつ価格変動のある運用商品に慣れ、じっくり腰を据えた長期の運用ができるようになることが重要です。
まとめ
(出典:日本証券業協会)
今回解説した運用商品のリスクの大きさを比較すると、下記のようになります。
『預貯金 < 債券 < 投資信託 < 株式』
資産運用は資産の配分も重要になります。
例えば、全ての資産をリスクの高い株式などに投入するという方法はおすすめできません。
リスクの高さに応じて、資産を配分して運用する必要があります。
特にリスクの高い(価格の振れ幅が大きい)投資先に資金を投入する場合には、短期的にはマイナス(含み損)の状態が続く可能性もあります。
よって、教育資金などの短期的に必要となる資金をリスクの高い株式などに入れることは絶対に避けるべき。
短期的に必要となる資金については、預貯金などのリスクの低い商品で運用し、長期間置いておける資金をリスクの高い商品に配分するのが基本です。
なお、今回は一般の方でも理解しやすい運用商品に絞って解説しました。
FX投資や仮想通貨投資などという言葉がありますが、FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨は投資というよりも投機です。
投資初心者の方にはおすすめできません。