2019年10月12日よるから13日未明にかけて台風19号が東日本を縦断した影響により、日本各地で甚大な被害が出ました。
千曲川の堤防決壊や多摩川の氾濫などによる浸水被害を目の当たりにし、不安になった方も多いでしょう。
世界的な地球温暖化の影響により、今後も日本のどこで同じような浸水被害が発生してもおかしくありません。
今回は被害に遭わなかった方についても、今後の自然災害のことを考慮して、火災保険の補償内容を確認して頂きたいと思います。
水害を補償する契約となっている火災保険は持ち家世帯で7割弱という内閣府のデータもあります。ライフプランを考える上で資産運用も大切ですが、万一の際のリスクを保険でカバーしておくことも非常に重要です。
そこで今回は、火災保険の水害(水災)に対する補償内容を確認する際のポイントについて解説します。今回の記事を参考に加入している火災保険の補償内容を再度確認して頂ければと思います。
1.水害(水災)の損害は火災保険で補償される?
まず、火災保険の補償内容について解説します。
一般的な火災保険は下記のような補償があり、堤防の決壊や川の氾濫による水災(水害)についても補償対象となります。
①火災、落雷、破裂・爆発
②風災、雪災、雹(ひょう)災
③水災
④水濡れ・外部からの物体の衝突など
⑤盗難
⑥破損・汚損
床下浸水は火災保険では補償されない!?
火災保険の水災補償については、 床上もしくは地盤面より45cmを超える浸水など、支払対象となる損害には条件があります。
床下浸水は補償対外となる場合があるので、注意が必要です。
火災保険で補償対象となる水災(水害)の例は、下記の通りです。
- 大雨により自宅の裏山で土砂崩れが発生し、自宅建物内に土砂が侵入した
- 台風による大雨で堤防が決壊し、床上浸水して自宅建物や家財に損害が出た
- ゲリラ豪雨により、河川が氾濫し、床上浸水して自宅建物や家財に損害が出た
2.火災保険の確認ポイント|水災の補償があるか?
ここからは、火災保険の補償内容を確認する際のポイントについて解説します。
水災の補償が外れていないか?
最近の火災保険は補償内容が選べる商品が主流になっています。
水災の補償を外して保険料を安くすることもできます。水災の補償を外せば、当然、水災(水害)は補償されません。
マンションの高層階に住んでいる方や、高台に自宅があり水害の可能性がないという方以外については、火災保険の水災補償を外すことはおすすめできません。
加入されている火災保険に水災の補償がセットされているか、ご確認頂ければと思います。
水災の補償のない火災保険に加入していないか?
住宅ローンを組んでいる方は、ローン期間に合わせて長期の火災保険に加入しているケースが多いと思います。
住宅ローンの期間に合わせて火災保険に加入している方は、水災補償の無い火災保険に加入している可能性があります。
現在の火災保険は保険会社ごとにオリジナルの商品が販売されていますが、以前までは「住宅火災保険」と「住宅総合保険」が主力商品として販売されていました。
実は、上記の「住宅火災保険」には水災の補償がありません。
例えば、15年前に住宅ローンを組んで、長期の火災保険に加入している場合、その火災保険が「住宅火災保険」である可能性があります。「住宅火災保険」の補償内容は下記のようになっていて、水災の補償がありません。
【住宅火災保険の補償内容】
①火災、落雷、破裂・爆発
②風災、雪災、雹(ひょう)災
ゲリラ豪雨などにより床上浸水し、火災保険の保険金を請求しようとしたら、加入していた火災保険は住宅火災保険で、水災が補償対象外だったということが起こる可能性があります。
家財が補償対象となっているか?
火災保険の補償対象は、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」という3パターンから選択できます。
住宅ローンを組んだ時に加入した火災保険の場合、建物のみが補償対象となっていて、家財(テレビ、冷蔵庫などの家電や家具、衣類など)が火災保険の補償対象となっていない場合があります。
床上浸水するような場合、当然、テレビや家具などの家財にも損害が出でる可能性があります。家財の損害は、家財が火災保険の対象となっていなければ、火災保険では補償されません。
千曲川の氾濫
— ごんこ (@gonko1234) October 13, 2019
水は住宅の2階の中に!
上田電鉄の橋脚が落ち
道路は寸断や崩落・・・!!
各地の凄まじい災害状況…救助を待つ方も救助に当たられている人の疲労も計り知れない。
甚大な被害、災害列島日本…。
国の総力をあげた手立てが必要だ!! pic.twitter.com/NCPHbltgde
長野市の千曲川の堤防決壊 広範囲で住宅に濁流https://t.co/5pcBsJNLxk#長野市 穂保地区では #千曲川 の堤防が決壊。広範囲で住宅に濁流が流れ込んでいます。1階が浸水している家も多く、救助活動が続いています。(玲)#台風19号 #千曲川氾濫 #長野 pic.twitter.com/6EQ1wh9d0u
— 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) October 13, 2019
千曲川の堤防が決壊したような事例の場合、浸水被害で建物だけでなく、家財にも大きな損害が発生します。恐らく、1階にあるテレビや冷蔵庫などの家電製品や家具などは全滅でしょう。
家財の損害については、建物のみを補償対象とする火災保険では補償されません。
今回の台風19号のような災害が起きた際の生活再建には、冷蔵庫や洗濯機などの家財の再購入も必要となります。
家財の損害をカバーするためにも、火災保険の補償対象は「建物」だけでなく、「家財」も加えておくことをおすすめします。
3.地震が原因の火災や津波は火災保険では補償されない
台風などの自然災害に加えて、地震が多い日本では、地震保険に加入しているかの確認も必要です。地震保険は火災保険とセットで加入する必要があります。
地震が原因で火災が発生した場合、その火災で自宅が燃えても火災保険では補償されません。地震保険の加入が必要です。
また、地震が原因の津波による建物や家財への損害も地震保険に加入していなければ、補償されませんので、注意が必要です。
まとめ
自然災害の多い日本では、今後、河川の氾濫や堤防の決壊などの自然災害が増える可能性があります。
住宅ローンが残っている状態で自然災害が発生し、火災保険の補償が受けられないと、新たにローンを組んで住宅を再建することになります。
つまり2重でローンを抱えてしまう事態が発生してしまいます。ダブルローンを抱えることにならないように持ち家の方は、火災保険の補償内容や地震保険の加入有無には気を配る必要があります。
大きな災害で自宅などに発生した損害を保険でカバーできなければ、資産運用どころではなくなってしまいます。
今回の災害を契機に再度、ご自宅の火災保険がどうのような補償内容になっているかを確認して頂ければと思います。