老後2000万円問題が話題となり、老後資金が不安になった方も多いでしょう。
老後資金の不安を解消する上で重要な事の1つが、自分の公的年金の見込額について知ること。
公的年金の受給額を知る方法としては、ねんきん定期便とねんきんネットがありますが、詳細な情報を知るにはねんきんネットの利用がおすすめ。
今回は、ねんきんネットでの公的年金のシミュレーション方法について解説します。
将来受け取れる公的年金額を詳細にシミュレーションしてみたいという方は参考にしてください。
ねんきんネットとは?
「ねんきんネット」とは、インターネットを通じて自身の年金の情報を手軽に確認できる日本年金機構のサービス。
24時間いつでもどこでも、パソコンやスマートフォンから自身の年金情報を確認することができます。
なお、ねんきんネットはスマホでも年金記録が確認できるとされていますが、スマホ用に最適化されておらず、小さい画面では少し使いづらいところが難点です。
ねんきんネットの登録により出来ることとは?
ねんきんネットに登録してできる主な事項は、下記の通り。
- 年金記録の確認
- 将来の年金見込額の試算
- 電子版「ねんきん定期便」の閲覧
- 日本年金機構から郵送された各種通知書の確認
ねんきん定期便でも分かる情報が含まれていますが、ねんきんネットに登録した方が、より詳細な情報をいつでもスマホやパソコン確認する事が可能です。
ねんきんネットの登録方法については、下記記事をご参照ください。
ねんきんネットの年金見込額シミュレーション
ねんきんネットの目玉機能の1つが年金見込額のシミュレーション。
毎年ハガキや封書で届く「ねんきん定期便」でも50代以上の方であれば、現在の年金制度に60歳まで継続加入したと仮定した年金見込額が表示されます。
しかし、40代以下の方に届く「ねんきん定期便」では現状の加入実績に応じた年金額しか分からず、将来、受け取れる年金見込額は「ねんきんネット」に登録しないとシミュレーションできません。
ねんきんネットの年金見込額試算は、下記2パターンでシミュレーションできます。
- かんたん試算
- 詳細な条件で試算
かんたん試算
「かんたん試算」を利用すると、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して見込額が自動的に計算されます。
未来がどうなるか予想はできませんが、とりあえず、現状の条件で加入し続けたら公的年金の受給額がどうなるかをパッと知る事が可能。
若い方ほど現在の加入条件が続く可能性は低いと思いますが、サッと年金見込額を試算できる点がメリットです。
試算してみると、意外と年金額が少ない事を実感するでしょう。
詳細な条件で試算
詳細な条件で試算では、今後の働き方や老齢年金を受け取る年齢、未納分を今後納付した場合など、詳細な試算条件を設定して年金見込額をシミュレーションできます。
例えば、転職して給与が上下する、サラリーマンからフリーランスなどの個人事業主に変わるなど、条件を変えての試算が可能。
年収が下がる転職やサラリーマン(第2号被保険者)からフリーランス(第1号被保険者)に変わる場合には、年金見込額がどの程度下がるかを試算しすることによりiDeCo(イデコ)や国民年金基金などで老後資金を準備する方法を考えるきっかけにも使えるでしょう。
繰上げや繰下げのシミュレーションも可能
ねんきんネットでは公的年金の繰上げや繰下げの試算もできます。
60歳から年金を繰り上げて受け取った場合や、70歳に繰り下げて受け取る場合などについてもシミュレーションできます。
例えば、サラリーマンからフリーランスになると年金額が減るので長く働いて年金を繰下げ受給するとどのくらい年金額を増やせるのか、などの試算も可能。
シミュレーションした結果は5パターンまで保存され、比較してグラフで可視化することも可能なので転職などの際に参考にできるでしょう。
なお、「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」の利用方法の詳細については、日本年金機構のHPをご参照ください。
また、ID・パスワードが不要で「ねんきん定期便」に印字されているQRコード(令和4年4月発行分以降)を読み取れば、現時点までの年金記録を使って試算ができる公的年金シミュレーターもあります。
シミュレーション結果は確定ではない!?
なお、ねんきんネットで試算した公的年金の見込額は直近年度の年金額水準をもとにしたシミュレーション。
よって、実際の年金額は将来の賃金・物価の水準やマクロ経済スライドによる調整等により異なる場合がある点には注意が必要です。
年金記録の確認が可能
ねんきんネットで活用して頂きたいもう1つの機能が年金記録の確認。
これまでの年金記録が確認できるので、記録に漏れがないかも確認して下さい。
「詳細な年金記録を確認する」では下図のように、月別の年金記録を確認することができます。
各月ごとにクリックできるようになっていて、勤務先や標準報酬月額などの詳細情報を確認することも可能。
自分の年金記録が誤っていないかを確認してください。
公的年金に「消えた年金問題」があったことをご存じでしょうか?
年金記録がずさんに管理されていたため、平成19年に持ち主不明の年金記録が5,095万件もある事が判明しました。
しっかりと年金保険料を納めていても年金記録が正確でなければ、受け取れる年金額が減る可能性もあります。
表示されている年金記録を鵜呑みにせず、自分の年金記録が正しいか確認することが重要です。
まとめ
老後資金に不安がある場合、まずは公的年金をどの程度受け取れるのかを知る事が重要。
年金見込額を知る事により、対策を考えることもできます。
ねんきんネットを利用すれば、40代以下の方でも将来受け取れる年金見込額をシミュレーション可能。
また、自分が納めてきた年金保険料の記録も確認することができます。
老後の柱である公的年金に興味を持つことは重要なこと。
ねんきんネットは最初は使い方がよく分からないかもしれませんが、無料で利用できるので取りあえず登録して色々といじってみてください。