約30年もの間、不況に苦しむ日本の中で自己責任論が強まっているように感じないでしょうか?
「稼げないのは努力が足りない」「本業で稼げないなら副業しろ」「年金の不足額は運用して備えろ」「年金で生活できないのであれば働き続けろ」など。
殺伐とした時代になったという印象を受けるのは私だけではないでしょう。
インフルエンサー達が声高に副業や投資をすすめています。
国に頼るなんてナンセンスと言わんばかり。国に対する諦めもあるのでしょう。
しかし、本当に自己責任論は正しい考え方なのでしょうか?
私は行き過ぎた自己責任論は危険だと考えます。
そこで今回は、下記ポイントについて解説します。
- 自己責任論は正しい考え方なのか?
- 自己責任論が日本の衰退を招く問題点とは?
- 日本を衰退から救う方法とは?
自己責任論は正しい考え方なのか?|行き過ぎた自己責任論は危険
私は行き過ぎた自己責任論は危険であり、害悪ですらあると考えます。
インフルエンサーの中には、国に頼るなんてナンセンスと言わんばかりに声高に副業や投資をすすめ、自己責任を強調している方もいます。
国に対する諦めもあるのでしょう。
確かに自己責任は基本。
自分の人生を自分の手でコントロールする為には、他人に頼るような人生にするべきではない。
そのような意味で、自己投資や資産運用が重要であることは間違いありません。
しかし、自己責任を他人にも強要するという風潮が政治への無関心を助長しているような気がします。
現状のような政治への無関心が続けば、日本は更に衰退していくでしょう。
政治家のいいように日本をコントロールされれば、ますます国民は貧しくなってしまいます。
現状の日本に必要な事は、自己責任ではなく国民全体の底上げ。
格差が拡大した社会は生きづらくなる
国(政府)が国民に自己責任を強要すると貧富の格差が開きます。
このままの政策が続けば、日本に一部の勝ち組と大多数の負け組という格差の構図ができてしまいます。
こういう話をすると、私はエリートで勝ち組だから問題ないと考える方もいるでしょう。
しかし、少数の勝ち組になったとしてもメリットを上回るデメリットが発生する可能性があります。
弱肉強食の世界では、一部の強者が多くの富を手にし、多数の弱者が残り少ない富を分け合うことに。
以下の勝間さんの動画にあるように、貧富の差が拡大し過ぎると日本は住みにくい国になってしまいます。
格差が拡大すれば、負け組となった大多数が自暴自棄となり、犯罪に走る可能性も高まります。
コロナ禍以後に診療所や電車内であった放火事件のような狂気的な犯罪が日本で増えることになるでしょう。
給与が上がらないのは日本人一人ひとりの責任?
日本人の給料が上がらず貧困化しているのは国民一人ひとりの責任なのでしょうか?
今の日本は普通に頑張った人が豊かに暮らせない国。
給料は上がらない中、税金や社会保険料は上がり、どんどん可処分所得が減っています。
しかし、昔の日本人に比べて今の日本人が手を抜いているわけではありません。
日本人は昔も今も勤勉。
正しい政治が行われれば、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代を取り戻すこともできるはず。
そのためにも国民一人ひとりが政治に興味を持つべき。
最近では子どもを育てている人は勝ち組だという論調もあるようです。
日本をそんな国にしていいのでしょうか?
子供は国の宝。
子供が欲しい人は自分の意思で自由に産み育てられる国に戻す必要があります。
あきらめてはいけません!正しい政治が行われれば、日本には復活する力がある!
日本国民が豊かになるような政策を政治家に求めていく必要があります。
日本全体を底上げした方が豊かになれる確率は上がる
自己責任は重要であり、自己投資や資産運用も必要なこと。
しかし、政治にも目を向ける必要があります。
自分さえ良ければいいという方もいるかもしれませんが、日本全体が貧困化すれば、成功した人にもマイナスの火の粉が降りかかる可能性があります。
日本全体が貧困化していけば、限られたパイを奪い合う事になり、成功を維持することも難しくなるでしょう。
日本全体を底上げする方が強者だけでなく、多くの方が幸せになれる可能性が上がります。
全体が底上げされる状況下の方が豊かになりやすい。
バブル時代に多くの方の給料が上がったのと同じ理屈。
情けは人の為ならずで、日本全体が豊かになることを目指した方が自分の分け前も増える可能性があがります。
自己投資や金融資産への投資は、普通に頑張った人よりも豊かになるための手段であるべきで、それが普通に暮らすための必須条件になるような国は異常。
日本の現状は失政の結果としかいいようがない状況。
普通に頑張った人が普通に豊かになる国にするべき。
そのために存在するのが政治家ではないでしょうか。
ということは、今、実権を握っている政治家は本来の仕事をしていないということになります。
日本を復活させるための方法|緊縮財政から積極財政への転換
では、日本人全体の所得を底上げするためには、どのような政策が必要なのでしょうか?
実は非常に簡単なことです。
これまで日本人を貧困化させてきた原因と逆のことをすれば、日本全体を底上げできる可能性があるでしょう。
日本経済をここまで疲弊させてしまった原因は何か?
その原因は、プライマリーバランス(行政が行うサービスにかかる経費を、税収で賄えているかどうかを示す指標)の黒字化を重要視して続けられてきた緊縮財政。
政府が積極的にお金を使うべき不況下で行われた政策が、馬鹿の一つ覚えのように続けられてきた緊縮財政。
景気が悪いのに消費税増税を繰り返して国民からお金を吸い上げ、更に景気は悪くなりました。
現状の日本は景気が停滞しているので個人は節約し、需要が盛り上がらない中で企業は設備投資を控えています。
現在の日本では下記のような負のスパイラルが回り続けています。
個人は将来に不安があり、消費を抑えるようになる
⇓
その結果、モノが売れなくなり企業の業績が下がる
⇓
企業の業績が下げれば、賃金も下がる
⇓
賃金が下がれば、個人は更に消費を抑える
⇓
その結果、更にモノが売れなくなり企業の業績が下がる
⇓
・・・以下、上記の繰り返し
景気が悪い時に個人や企業が節約するのは、非常に合理的なこと。その逆のことを期待するのは愚の骨頂でしょう。
経済が停滞している状況下で、お金を使えるのは国(政府)だけ。
国(政府)の大胆な財政出動を呼び水として、個人や企業が積極的にお金を使う状況を作り出す必要があります。
では、財政出動の財源は何か?それは国債です。
国債をこれ以上発行すれば、日本は財政破綻(デフォルト)すると反対する方がいます。
しかし、下記記事で解説した通り、自国通貨建ての国債を発行できる日本が財政破綻(デフォルト)することはありません。
よって、3~4%程度のインフレ率になるまでは国債を発行して財政出動することで不況を脱する必要があります。
自国通貨建ての国債を発行している国の財政破綻(デフォルト)はないので、インフレ率を目標に財政出動すべきです。
まとめ
自己責任は大切な考え方であり、一人ひとりが持っておくべき考え方だとは思います。
しかし、自己責任を他人に強要する社会は殺伐としたものとなり、結果的に国全体が衰退していくことになるでしょう。
社会全体を底上げすることを考えた方が多くの方が豊かになれます。
逆に自分さえ良ければいいという考え方は多くの方の不幸を招くことに。
正に「うばい合えば足らぬ、わかち合えばあまる(相田みつを)」。
現状の日本は「貧すれば鈍する」といった状態。
国防、教育、食糧自給率など問題は山積ですが、まずは経済を立て直す事が肝要。
我々国民が政治に興味を持ち、日本を豊かにするであろう政治家を選ぶ。また、そのような政治家がいなければ育てるという発想も必要でしょう。
野党が弱いから与党に票を入れる又は選挙権を放棄するということを繰り返している間は、日本が復活することはないでしょう。
我々国民が求める政策を訴え、それを政治家に実行させるくらいの考え方を持つべきです。
自分のためだけではなく、子供や孫世代のため、そして、この素晴らしい日本を作り上げてきた先人達のためにも豊かな日本を取り戻す必要があります。