損害保険大手4社の火災保険料が2021年1月に平均6~8%程度引き上げられると報道されました。
損害保険大手4社の火災保険料は、2015年10月に2~4%、2019年10月に6~7%引き上げられてきました。
2021年1月の保険料引き上げ幅は、過去2回を上回ります。
なぜ、火災保険料の引き上げが続くのでしょうか?
今回は、火災保険料の値上げが続く理由と、値上げを回避して保険料を安くする方法について解説したいと思います。
2021年1月に火災保険料が値上げされる理由とは?
損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」は、2019年秋に全国平均4.9%の引き上げが決定されました。
2019年秋に決定された「参考純率」をもとに、損害保険大手4社が2021年1月から住宅向けの火災保険料を全国平均で6~8%程度引き上げると報道されました。
保険料の引き上げの理由は、自然災害が相次ぎ保険金の支払いが増えているためで、地域によっては1割以上も上がる見通しです。
東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社が8月中にも詳細を決めます。
なお、地域や住宅の構造などにより、保険料が上がるケースばかりではなく、下がるケースもあります。
2022年以降も火災保険料の引き上げが続く可能性あり
2021年1月の火災保険料の値上げは、2018年度の台風21号や西日本豪雨などによる自然災害への保険金支払1.5兆円(過去最高)を反映したものです。
2019年度も台風や豪雨による自然災害が多発していて、保険金支払も約1.2兆円という過去2番目の大きさですが、今回の値上げには反映されていません。
更に、今年度も九州などで自然災害の発生が続いているため、2022年以降も火災保険料の上昇が続く可能性大です。
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地震保険料も2021年1月に値上げへ
実は、火災保険だけでなく、地震保険料も2021年1月に全国平均で5.1%の値上げを予定しています。
地震保険料は、2017年1月に全国平均で5.1%の引き上げ、2019年1月に全国平均で3.8%の引き上げが行われ、2021年1月で3回目の値上げとなります。
地震保険料は大幅な保険料引き上げの影響を緩和するため、3段階に分けて値上げされる予定で、2021年1月は最終3回目の値上げとなります。
長期係数の見直し
また、地震保険料の引き上げだけでなく、長期係数の見直しもあり、地震保険を長期契約した際の割引率が下がります。
地震保険期間 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 |
---|---|---|---|---|
現行 | 1.90 | 2.80 | 3.70 | 4.60 |
改定後 | 1.90 | 2.85 | 3.75 | 4.65 |
地震保険料の値上げと火災保険料の値上げが重なる形となってしまい、契約者にとってはダブルパンチという状況です。
なお、地震保険料の値上げの背景については、下記の通りです。
-
- 地震保険の保険料は「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、損害保険料率算出機構が算出した「地震保険基準 料率(以下、料率)」を使用しています。
- 2014年に東北地方太平洋沖地震を踏まえた震源モデルの見直しが行われた結果、料率の大幅な引上げが必要な状況と なりました。
- そこで、財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム・フォローアップ会合」にて、1度の改定での引上げはお客さま のご負担が大きいなどの意見・指摘を踏まえ、3段階に分けた改定を行うこととしました。
- これまでに2017年1月、2019年1月に改定を行っており、今回は3段階改定のうちの3回目の改定となります。
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火災保険料の値上げを回避し、保険料を安くする方法とは?
さて、今後も火災保険の値上げが続く可能性がありますので、簡単に実践できる保険料の節約方法を知って頂ければと思います。
火災保険を長期契約にする
火災保険は長期契約にすることにより、保険料が安くなります。火災保険の契約できる保険期間は最長10年間となっています。
保険期間が長くなるほど、保険料は割安となり、保険期間10年の火災保険料が一番安くなります。
例えば、下記試算条件で、大手損保会社の火災保険料を1年、5年、10年で比較すると、下記の通りになります。
【試算条件】
所在地:東京都
物件種別:専用住宅
構造:T構造(鉄骨造)
保険金額:2,000万円
保険の対象:建物
補償内容
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹災、雪災
・盗難・水濡れ等
保険期間:1年間
保険料:18,620円
保険期間:5年間(長期一括払い)
保険料:81,930円
保険期間:10年間(長期一括払い)
保険料:154,790円
上記の通り、保険期間を5年間にすると、1年あたりの保険料は16,386円(81,930円÷5年)となり、保険期間1年の保険料と比較すると、2,000円以上安くなります。
また、保険期間を10年にすると、1年あたりの保険料は15,479円(154,790円÷10年)となり、保険期間1年の保険料と比較すると、3,000円以上も安くなります。
なお、地震保険も火災保険に合わせて長期契約にすると、保険料が割安になります。
火災保険料の支払方法を「長期年払い」にする
長期一括払いは保険料の額が大きくなるので、一度に支払うには負担が大きいという方もいらっしゃると思います。
そのような方には、「長期年払い」がおすすめです。
「長期年払い」とは、例えば、保険期間を5年にし、保険料は1年毎に支払うという方法です。
保険料を年に1回支払う点では、保険期間1年の火災保険契約と同じですが、保険料は1年契約の場合と比べて下記の通り安くなります。
保険期間:1年
支払方法:年払い
年間保険料:18,620円
保険期間:3年
支払方法:長期年払い
年間保険料:17,880円
保険期間:5年
支払方法:長期年払い
年間保険料:17,320円
全く同じ補償内容の火災保険でも保険期間を3年にするだけで、上記事例では、1年当たりの保険料が約4%(740円)も安くなります。
保険期間を5年にすれば、1年あたりの保険料が約7%(1,300円)も安くなります。
長期契約の火災保険料を一括で支払う余裕がないという方は、保険期間を長期にして「長期年払い」や「長期月払い」をご活用ください。
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長期契約により値上がりの影響を先送りすることができる
火災保険の長期契約は1年契約と比べて保険料が安くなるだけでなく、値上がり前に保険期間を長期にすることにより、値上げの影響を保険期間分だけ先送りすることができます。
例えば、火災保険料が値上げされる2021年1月の前月である2020年12月に火災保険を保険期間10年で契約すれば、値上がり前の料率で10年間加入できます。
よって、値上げの影響を受けるのは、保険期間が終了する10年後の2030年となります。
火災保険料の値上げの影響を10年後に先送りできることになります。
補償内容を見直し、保険料を節約する
以前の火災保険は、補償内容が定型の商品が主流で、補償内容を選ぶことはできませんでした。
しかし、最近では、補償内容を選ぶことができる火災保険も販売されています。不要と思う補償を外すことによって、保険料を節約するこも可能となります。
補償内容は絞れば絞るほど、保険料が割安になるのですが、補償内容の選択は慎重に行うようにしてください。
特に、水災の補償は、ハザードマップなどを確認し、外すかどうかの選択は慎重に行うことをおすすめします。
今まで水害がなかった地域でも今後も発生しないという保証はどこにもありません。
火災保険の「一括見積もり」で、複数社の保険料を比較
火災保険も自動車保険と同じように、保険会社によって保険料が異なります。
複数社の火災保険料を比較することにより、今より安い火災保険に乗り換えられる可能性があります。
今回は事例として、大手損保会社の火災保険と、ネットで契約できる火災保険を下記試算条件で比較してみたいと思います。
【試算条件】
所在地:東京都
物件種別:専用住宅
構造:T構造(鉄骨造)
保険金額:2,000万円
保険の対象:建物
補償内容
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹災、雪災
・盗難・水濡れ等
大手損保会社
年間保険料:18,620円
通販型損保会社
年間保険料:16,600円
上記の通り、同じ補償内容でも保険会社が異なるだけで、保険料に約2,000円の差が発生します。
1度の情報入力で火災保険の見積もりを複数社から取ることができるサービスがあります。
下記サービスでは、最短3分で最大10社から火災保険の見積もりを取ることができます。
火災保険の保険期間が最長5年に!?
現在、火災保険の保険期間は最長10年までの契約が可能ですが、保険会社は最長5年への短縮を検討していると報道されています。
保険会社としては、最長の契約期間を短くすることにより、値上げした保険料をより早く反映させることが可能となります。
長期契約を検討していて、資金的に余裕があるのであれば、最長の10年を検討するといいでしょう。
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まとめ
コロナ禍の中、収入が減っている方もいらっしゃると思いますが、火災保険料や地震保険料の支出が増えるという厳しい状況となっています。
現在のような自然災害が多発する状況が続くようであれば、今後、毎年のように火災保険料が上がっていくと考えた方がいいかもしれません。
地域にもよりますが、火災保険料が上がることはあっても下がる可能性は非常に低いと考えられます。
上記の通り、火災保険は同じ補償内容でも保険期間を長くするなどして保険料を安くすることもできるので、現在契約している火災保険の内容を確認されてみてはいかがでしょうか?
2021年1月以降の火災保険料・地震保険料が現契約より上がるようであれば、値上げ前に可能な限り、長期の契約をすることをおすすめします。