現役投資家FPが語る

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フロントガラスを叩き割られたら、修理代は車両保険(自動車保険)で補償される?


 

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2019年10月16日の午後、愛知県豊明市で名古屋市の女性(51)の運転する車のフロントガラスが、無職の男(28)に叩き割られる事件が発生しました。

男が突然、女性の車に駆け寄ってボンネットにのり、フロントガラスを叩き割る衝撃的な映像がニュースで流れました。

 

今回の男がフロントガラスを叩き割る事件については、犯人である無職の男(28)が逮捕されているので、当然、フロントガラスの修理代は、「体調不良でイライラした」と話す28歳無職の男が賠償することになります。

 

しかし、仮に今回の事件で「フロントガラス叩き割り男」である犯人に賠償する能力がない場合などには、加入している車両保険(自動車保険)で修理代を補償してもらうことはできるのでしょうか?

 

1.フロントガラスを叩き割れた場合、車両保険で修理代は補償されるか?

今回の事件で被害にあった車の画像を確認すると、フロントガラスは全面取り換えが必要となるような状態です。更にボンネットにも乗られていて、損傷があるようなので、板金等の修理が必要になります。 

「フロントガラス 修理代」でググってみると、フロントガラスを取り換えると、修理代は10万円以上するようです。

 

当然、犯人が修理代を賠償すべきところですが、仮に犯人に賠償能力がなければ、被害者自身が修理代を負担することになる可能性があります。個人で負担するには大きな額の修理代になります。

犯人に賠償能力がない場合、車両保険(自動車保険)が使えるのでしょうか?

 

実は、今回のようにフロントガラスを叩き割られた場合の修理代は、車両保険で補償されます。ある保険会社に確認したところ、「いたずら」に該当するとのことで、車両保険の補償対象となります。

 

車両保険には、補償範囲が広い「一般型」の車両保険と、補償範囲を絞った「エコノミー型」の車両保険がありますが、下記の通り、どちらのタイプの車両保険でも補償されます。

 

「一般型」車両保険の補償内容

  • 他の自動車との衝突
  • 盗難
  • 火災・爆発
  • 台風・洪水・高潮
  • 落書・いたずら
  • 物の飛来・落下
  • 単独事故(電柱等に衝突)
  • 自転車との衝突
  • 墜落・転覆
  • 当て逃げ

 

「エコノミー型(車対車+A)」車両保険の補償内容

  • 他の自動車との衝突
  • 盗難 火災・爆発
  • 台風・洪水・高潮
  • 落書・いたずら
  • 物の飛来・落下

 

【追記】

なお、逮捕された28歳の男について、名古屋地検は11月7日付けで不起訴処分としています。不起訴の理由は明らかにされていません。

twitterでの反応を確認すると、不起訴処分とその理由が明かされないことに憤りを感じる方が多いようです。

 

 

2.車両保険を使って修理すると1等級ダウン

車両保険を使って修理することはできるのですが、「いたずら」は1等級ダウン事故に該当し、次契約のノンフリート等級は1等級下がることになってしまいます。

更に、次契約が7等級以上の場合には、無事故の場合よりも割引率が低い事故有の割増引率が適用されます。

 

例えば、今回被害に遭われた女性の契約している自動車保険が10等級だったとします。

犯人に賠償能力がなく、女性の契約している自動車保険の車両保険を使い、フロントガラスなどを修理したと仮定すると、次契約の自動車保険は9等級で事故有係数適用期間が1年となります。

 

下記の通り、自動車保険の割引率は、10等級の45%割引から、9等級(事故有)の22%割引まで下がってしまいます。つまり、次契約の自動車保険料は大きく上がることになります。

 

【事件時の自動車保険契約】

ノンフリート等級:10等級
事故有係数適用期間:0年
割増引率:45%割引

 

【翌年の自動車保険契約】
ノンフリート等級:9等級
事故有係数適用期間:1年
割増引率22%割引

 

 

3.車両無過失事故に関する特約で「ノーカウント事故」にできる?

車両保険の特約に、今回のように被害者側に過失(責任)がない事故で車両保険を使った場合、ノーカウント事故として取り扱う「車両無過失事故に関する特約」があります。

 

例えば、後ろから追突されて、車を修理する際に、追突した加害者側に賠償能力がなく、全く過失(責任)のない追突された被害者側の車両保険を使って修理した際に「車両無過失事故に関する特約」が適用でき、ノーカウント事故となります。

 

ノーカウント事故となれば、次契約のノンフリート等級に影響は出ず、他の事故などで自動車保険を使うことがなければ、次契約の等級は1つ上がります。

つまり、自動車保険を使ったという事実が無くなることになります。

 

しかし、ある保険会社に確認したところ、「車両無過失事故に関する特約」の適用には他の車と衝突した場合などといった条件があり、今回の事件のようなケースでは、当該特約が適用される条件には該当せず、ノーカウント事故にはできないとのことでした。

 

保険会社ごとに特約を適用できる条件が異なる可能性もあるため、保険会社によっては、「車両無過失事故に関する特約」が適用される可能性もゼロではありません。

 

 

4.弁護士費用特約で加害者に賠償請求する

今回のような事件で被害者になり、被害者自身の車両保険(自動車保険)を使い、更にノンフリート等級まで下がるという点には、到底納得できないという方が多いと思います。

 

被害者が加入している保険会社が加害者側と示談交渉して修理代を請求すればいいのではないかと考えた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、保険会社は今回のように契約者(被保険者)に過失(責任)がないケースでは、相手と示談交渉することができません

 

実は、報酬を得るために示談交渉ができるのは、弁護士資格がある人間だけと弁護士法で定められています。本来は保険会社の担当者が事故相手と示談交渉することは許されません。

 

しかし、契約者(被保険者)側に過失(責任)がある場合に限って、保険会社が示談交渉することを許されているという事情があります。

よって、今回のように被害者側に過失(責任)がない場合、被害者側の保険会社は示談交渉することができません。

 

今回のようなケースで使えるのが、「弁護士費用特約」です。加害者側に法律上の損害賠償請求をするための弁護士費用や法律相談費用が補償されます。

 

法律の知識等がない一般人が加害者側に損害賠償請求をすることは、非常に難しいことでしょう。やはり、法律の専門家である弁護士などにお願いする方が 安心です。

 

被害者側の自動車保険に「弁護士費用特約」がセットされていれば、弁護士に委任する費用などが補償されます。

 

 

まとめ

Twitterの動画を確認すると、犯人の男は突然、現れてボンネットに飛び乗り、フロントガラスを叩き割っていることが分かります。

あおり運転であれば、あおられる被害者側も加害者を刺激しないように気を付けることが可能ですが、今回のようなケースでは、被害者側が事件を避けることはできません。

 

車両保険に加入していれば、今回の事件のようなケースや、車が水没した場合など、運転中以外の車の損害も補償されますので、車を所有している方は、車両保険の補償内容について、再確認していただければと思います。

 

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