2024年7月3日に「一万円札」「五千円札」「千円札」が新たなデザインに生まれ変わる予定です。
この新紙幣の発行に合わせ、「預金封鎖」が起きるという噂があることをご存知でしょうか。
預金封鎖が行われれば、日本経済は大混乱に陥る事が予想されます。
そこで今回の記事では、預金封鎖について下記ポイントを解説します。
- 預金封鎖とは?その目的は?
- 過去に日本で行われた預金封鎖の事例
- 2024年7月の新紙幣発行時に預金封鎖が行われる?
- 預金封鎖から資産を守る対策方法とは?
新紙幣発行時に預金封鎖が行われるのではないかと心配している方は参考にしてください。
なお、今回の記事の概要を聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
預金封鎖とは?
預金封鎖(よきんふうさ)とは、銀行預金などの金融資産の引き出しを制限または禁止することを指します。
これまで、いくつかの国で預金封鎖が実施された事例があり、日本もその一つです。
預金封鎖の目的とは?
預金封鎖が行われ、お金が引き出さなくなれば大変な騒ぎになる事が想定されますが、その目的はどこにあるのでしょうか。
取り付け騒ぎの防止
銀行や信金、信組、労金、農協などの金融機関に経営危機説が流れた場合、多くの預金者が預金等を引き出そうとして取り付け騒ぎになることがあります。
その混乱を防ぐため、預金封鎖により一時的に預金等の引き出しを制限することがあります。
インフレの抑制
ハイパーインフレが起きた際に通貨供給量を制限することでインフレを抑制するために預金封鎖が行われることがあります。
預金封鎖により、市場に流通する通貨量が減少すれば、物価上昇率を低下させる効果があります。
過去に日本で行われた預金封鎖の事例
先述の通り、過去に日本でも預金封鎖が行われたことがあります。
1946年(昭和21年)2月に日本で行われた預金封鎖は、終戦後の極度の物不足と通貨増発による悪性のインフレーション進行を阻止することが目的でした。
政府は、金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布し、5円以上の日本銀行券を預金、あるいは貯金、金銭信託として強制的に金融機関に預入させて新円を発行。
生活費や事業費などに限って新銀行券による払出しを認める「新円切り替え」が行われました。
2024年7月の新紙幣発行時に預金封鎖が行われる?
2024年7月に新紙幣が発行される予定です。
紙幣はおよそ20年ごとにデザインが変更されており、偽造防止のために改刷されています。
新紙幣の発行時に預金封鎖が行われるという噂がありますが、その可能性はゼロでしょう。
その理由は以下の通り、預金封鎖の必要性がないから。
インフレ率は低い
最近、日本でもインフレが進行しているので、このままインフレ率が上がりハイパーインフレになるのではないかと心配している方がいます。
しかし、現状の日本でハイパーインフレが起こる可能性はほぼありません。
日本で過去にハイパーインフレが起きた理由は、戦争により供給能力が大きく毀損されたから。
翻って現状の日本には十分な供給能力があり、戦争や大災害が発生しない限りハイパーインフレが起こる可能性はゼロといえます。
例えば、日本銀行(日銀)が公表している消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年度比上昇率の見通しは2024年度に2%を切るような状態。
このような経済情勢でハイパーインフレを心配する必要は全くありません。
国(政府)の赤字を解消する必要はない
日本(政府)の国債残高は1000兆円を超えており、このままでは財政破綻する。
そのため、預金封鎖により国民から財産税を徴収して赤字国債を解消する必要があると主張する方がいます。
この主張は全くの的外れ。
その理由は、自国通貨建ての国債はデフォルト(財政破綻)することはないから。
財務省も外国格付け会社宛意見書要旨で「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」としています。
仮に現状の日本で預金封鎖により国債残高を減らせば、経済は大混乱して更に不況が深まることになります。
かえって経済の混迷を深めてしまう事になるのは明らか。
プライマリーバランス(PB)の黒字化というバカげた目標を掲げている財務省がカルト集団だとしても経済を大混乱に陥れてまで預金封鎖はしないでしょう。
正しい知識を身に付けて、誤った情報に煽られないようにする事が重要です。
先述の通り、1946年に日本で行われた預金封鎖は、当時のハイパーインフレを抑制するための措置でした。
預金封鎖時に新円切り替えが行われたので、過去の事例から噂が広まっているようです。
預金封鎖から資産を守る対策とは?
現状の日本では預金封鎖が起こる可能性はゼロですが、今後、絶対に起こらないという保証はありません。
例えば、地震などの大災害により供給能力が大きく毀損された場合、ハイパーインフレが起こる可能性もあるでしょう。
ハイパーインフレが起きれば、インフレ抑制のために預金封鎖が行われる可能性もあります。
預金封鎖から資産を守るためにはどのようなことをすべきでしょうか?
「金などの貴金属の保有」や「外貨の保有」などが考えられます。
しかし、個人でできる対策などたかがしれています。
重要なのは国レベルでの備え。
国家レベルでハイパーインフレが起きないように備える事の方が重要です。
例えば、東京一極集中の是正やインフラの更新、耐震化など。
有事の際に日本の供給能力や物流網が大きく毀損されないような対策を平時から行なっておくことが最も有効なハイパーインフレ対策になります。
個人で対策を行うよりも、政治家に国家レベルでハイパーインフレを防ぐ政策を求めていくべきでしょう。
なお、新紙幣の発行に向けて最も注意すべきなのは詐欺。
新紙幣発行に伴って、「旧紙幣が使えなくなるので回収する」や「預金封鎖が行われるので現金の保有は危険」などとうたう詐欺が横行する可能性があります。
詐欺から身を守るため、正確な情報を入手することが肝要です。
まとめ
2024年に新紙幣が発行される予定です。
新紙幣の発行時に預金封鎖が行われるという噂がありますが、その可能性はゼロでしょう。
その理由は以下の通り、預金封鎖の必要性がないから。
- インフレ率は低い
- 国(政府)の赤字を解消する必要はない
なお、新紙幣の発行に向けて最も注意すべきは詐欺。
新紙幣発行に伴って、「旧紙幣が使えなくなるので回収する」や「預金封鎖が行われるので現金の保有は危険」などとうたう詐欺が横行する可能性があるので、注意が必要です。