自民党と公明党は所得税の非課税枠「年収103万円の壁」を2025年は20万円引き上げて123万円にする案を提示したと報道されました。
国民民主党は178万円への引き上げを公約に掲げて2024年10月の衆院選で躍進。
しかし、自公国3党の幹事長は「178万円をめざして、来年から引き上げる」という玉虫色の合意書を交わしていました。
そして、自公から出てきた数字が123万円。
国民民主は「話にならない」と拒否し、改めて協議する状況。
仮に「年収の壁」103万から123万円に引き上げられた場合、日本経済にどのような影響があるのでしょうか?
今回の記事では、「年収の壁」が123万円に引き上げられた場合の日本経済への影響と「年収の壁」引き上げが議論された意義について解説します。
物価高に苦しんでいる中、減税を期待している方は参考にしてください。
「年収の壁」を123万円に引き上げた場合の日本経済への影響は?
自民党の提示した年収の壁123万円の内訳は、下記の通り。
- 所得税の基礎控除を現在の48万円から10万円引き上げて58万円にする
- 給与所得控除の最低保障額を現在の55万円から10万円引き上げて65万円とする
上記の壁引き上げによる所得税の減税規模は5000億円程度。
「年収の壁」が103万円から123万円に引き上げられたとしても、日本経済への影響はほぼないといっていいでしょう。
自公国3党は所得税の議論を先行し、住民税は後回しの状態。
所得税の年収の壁のみが123万円に引き上がっても、日本人の平均年収レベルである400万円台の人にとっては減税効果を感じにくいでしょう。
所得税の最低税率は5%なので、20万円壁が引き上がっても年間1万円手取りが増えるだけ。
これでは消費を増やす気にはなりません。
「年収の壁」引き上げの議論自体に意義がある
国民民主党は自公の提案を拒否して178万円に向けて交渉を続けるでしょうから、更なる壁の引き上げの可能性はあります。
仮に「年収の壁」が123万円までしか上がらなかった場合、日本経済へのプラスの影響は皆無といっていいでしょう。
しかし、落胆することはありません。
「年収の壁」の引き上げが議論されたこと自体に意義があります。
今回の件で自民党と公明党がどれだけ国民の暮らしを見ていないかということが白日の下にさらされました。
私たち庶民は物価高に苦しみ、多くの日本国民が手取りを増やす政策を国民民主党に託しました。
しかし、議席数を減らした自民党と公明党は、庶民の要望を踏みにじるような案を提示。
自民党の宮沢洋一税制調査会長の「誠意を見せたつもりだ」との発言が炎上しましたが、呆れて物も言えません。
これが国民の方を向いた政治なのでしょうか?
今までの税制は、自民党内のインナーと呼ばれるごく一部の人間の中で決まっていました。
しかし、自公が過半数割れしたことで、これまでのように簡単に決められない状況になています。
国民民主党の玉木さんも下記のように発言しています。
「懐に直結する税金の話が、今までは自民党の中の、しかも数人の『インナー』という一部の人によって、すごく閉じた、限られた非公開のところで全部、決まっていた。それをオープンにして、我々が情報を出して、国民を巻き込んで議論している。これが本当の民主主義だ」
現在の日本は、国民を豊かにするために働くべき政治家が、国を豊かにするために働いている状態。
このような政治家達には、来年の参院選挙及び解散があれば衆院選挙で徹底的に鉄槌を食らわすべきでしょう。
他に入れる党がないから自民党に入れるや、選挙自体に行かない人もいます。
そのような人達は、直接的または間接的に今後も私たち庶民の生活を苦しめて欲しいと希望していることになります。
財源論は終わりにすべき
今回の「年収の壁」引き上げに際しても「減税の財源はどうするのか?」という無意味な議論が交わされています。
減税しても他の税金を上げて財源を確保するのであれば、国民の手取りは増えないため意味がありません。
財政均衡主義(国の収入(主に税収)と支出をバランスさせ、国債に頼らない財政運営を目指す考え方)は終わらせるべき。
通貨発行権を持つ国(政府)が財政均衡主義に陥るとどうなるかという結果が日本の「失われた30年」です。
国民が苦しんでいる時は、国(政府)が国債を発行して通貨を供給するのは当たり前の経済政策。
この当たり前の経済政策が行われない限り、日本人の貧困化は加速していくでしょう。
不況の時には国(政府)が国債を発行して大胆に支出し、個人消費や企業の設備投資の呼び水とする。
単発で「住民税非課税世帯に3万円」のようなチマチマした事をしてるから景気が浮上しないのです。
まとめ
自民党と公明党は所得税の非課税枠「年収103万円の壁」を2025年は20万円引き上げて123万円にする案を提示しました。
年収の壁が123万円までしか上がらなかった場合、日本経済へのプラスの影響は皆無といっていいでしょう。
しかし、年収の壁引き上げが議論されたこと自体に意義があります。
今回の議論で自民党と公明党がどれだけ国民の暮らしを見ていないかということが白日の下にさらされました。
私たち庶民が生活を豊かにしようと思えば、財政均衡主義という誤った洗脳から目を覚まし、国民を豊かにする政治家を選挙で選ぶ必要があります。
なお、年収の壁引き上げについては、下記で詳細に解説しているので、ご参照ください。