現在、契約している生命保険の保障内容を理解しているでしょうか?
また、現在の生命保険の保障内容は自分の要望に合っていると自信を持って言えるでしょうか?
すすめられるままに加入して、そのままという方も多いと思いはず。
生命保険は保険期間が長期になるので、気付いた時には大きな額を支払っていて取り返しが付かない状態になっているというケースも発生し得ます。
どうすれば生命保険契約での失敗を避けることができるのでしょうか?
生命保険契約で失敗しないための方法の1つが、他人の失敗例から学ぶこと。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ドイツの政治家ビスマルクの言葉ですが、どんなことでも成功談よりも失敗談の方が学ぶところがある場合があります。
今回は、生命保険の失敗事例が凝縮された本をご紹介します。生命保険の問題点の多くが指摘されている本です。
今回の記事を読んで少しでもご自身の生命保険契約の内容に興味を持ち、必要であれば、保障内容の見直しを行ってください。
生命保険の失敗契約例とは?
今回ご紹介する本は「生命保険はヒドい。騙しだ」というタイトルで、筆者の副島さんは、生命保険会社は詐欺集団だと非常にご立腹。
25年間も契約を継続しておいて、保険会社を詐欺だと訴える部分に関しては、少し違和感を感じますが、この本に書かれていることは、これから生命保険を契約する方だけでなく、生命保険をすでに契約している方にも参考になる内容です。
何が著者の副島さんを怒らせたのでしょうか?
これから著者が立腹しているポイントと、問題が発生した理由を考えたいと思います。
掛け捨て部分が大きく、積立部分が少ない
著者が契約しているのはニッセイ(日本生命)の商品で、主契約が終身保険100万円、定期保険特約が4,900万円(保険期間10年)で合わせて死亡保障5,000万円という保障内容。
定期保険特約は10年ごとの更新で80歳で満期となり、それ以降は更新できません。
定期特約部分は掛け捨てなので、80歳で満期になっても養老保険のように満期保険金は受け取れません。
上記契約は定期保険特約が80歳で満期になると、満期保険金は全く受け取れず、80歳以降は終身保険の100万円しか保障が残らない状態になってしまいます。
著者は25年間、毎月56,000円もの保険料を支払ってきて、最終的に残るのは主契約の終身保険100万円という事実に非常に憤慨。
更に68歳の更新時には保険料が月額5.6万円から月額16万円に上がると案内されたそうで、どうやってそんな高額な保険料を支払い続けるのか、と怒り心頭の状態です。
生命保険の転換はデメリットしかない?
更に、著者の生命保険契約は25年間で3回、見直しという名目で転換されています。
生命保険の転換制度とは、現在の契約を活用して、新たな保険を契約する方法です。
現在の契約の積立部分や積立配当金を「転換(下取り)価格」として新しい契約の一部にあてる方法で、元の契約は消滅。
新しい契約の保険料に現在の契約の積立部分や積立配当金を充当するため、新規で契約するより保険料負担は軽減されます。
転換により新しい契約は現在の契約よりも保険料が安く、保障が大きくなっているように思えても、実は転換方法にカラクリがある可能性があります。
転換時には契約者にとって、下記のようなデメリットが発生する場合がありますので、注意が必要。
予定利率が下がる
予定利率が高い時代に加入した保険を転換すると、新契約は予定利率が低くなり、契約者にとってはデメリットが発生します。
予定利率が高い時代の契約は「お宝保険」と呼ばれていて貯蓄性の高い保険。
転換することにより、予定利率の高い契約を解約することになるので、貯蓄性の高い契約を失ってしまうことになります。
著者の契約は平成6年の契約当初は、主契約が終身保険200万であり、主契約部分は「お宝保険」でした。
しかし、3回の転換によりお宝保険は予定利率の低い終身保険になってしまっています。
保障内容が変更される
転換時に終身部分を小さくして、定期特約部分を大きくしている場合があります。
保険料の高い終身部分を減らし、保険料の安い定期特約部分を増やすので、保障が大きくなって保険料は安くなる。
しかし、転換前に比べて貯蓄部分が減り、掛け捨ての部分が多くなっていることになります。
著者の契約は当初、200万円の終身保険がありましたが、転換により最終的に終身保険は100万円になってしまっています。
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更新型の契約は見直しが前提
著者の契約に関しては、58歳の見直し時に5,000万円もの保障が必要だったのかという点も疑問。
58歳といえば子供が成人し独立している可能性があります。そのような状態で5000万円もの保障が必要だったのでしょうか。
大きな保障が必要なければ、更新時点で保障額を減らせば、転換せずに保険料を抑えることができます。
そもそも、10年満期の定期保険は保障額の見直しを前提に契約しているはず。
ある保険会社ではライフサイクルの変化に合わせて見直しができるようにと更新型をすすめています。
つまり、契約者や被保険者の状況に変化があれば、柔軟に保障額を見直せるのが更新型のメリット。
契約時の保障額で更新するのであれば、更新型は保険料が上がっていくので、デメリットとなります。
一般的には子供が大きくなれば、必要な保障額も小さくなるので、少なくとも特約部分が満期となる10年に一度は必要保障額を計算し、保障額を下げて更新すべき。
仮に契約時から80歳の満期まで5000万円の保障が必要であれば、初めから80歳満期の全期型の定期保険特約に加入すべきです。
その方が更新型と比べて総払込保険料は安くなります。
自分の契約は自分の人生設計に合っているかを少し考えれば、保障額を維持するために転換をすすめてくる提案に疑問を感じ、保障額を下げて更新すればいいと気付ける可能性もあるでしょう。
なぜ、生命保険契約で失敗したのか?
なぜ、著者は怒りを爆発させるほどの生命保険契約をしてしまったのでしょうか?
著者の失敗のポイントはどこにあったのでしょうか?
実は、著者は生命保険契約の管理を奥さんに任せていたようです。
奥さんがニッセイ(日本生命)のセールスレディーから説明を受け、著者は奥さんから渡された契約書に署名・捺印していたのでしょう。
契約について奥さんに任せっきりだった点については、著者自身も反省しています。
極端な言い方とすると、生命保険の契約内容に興味を持たなければ、売り手側に都合の良い、つまり、売り手側が儲かる契約内容にされてしまいます。
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生命保険契約で失敗しないためにどうすべきか?
著者はどうすれば生命保険会社に騙されることなく、契約をすることができたのでしょうか?
生命保険契約に興味を持つ
総額では約1,460万円もの支払いをする生命保険契約を全く気にせず全て奥さんにまかせっきりだった著者にも大きな問題があります。
著者自身が申込書に署名・捺印しているわけですから契約内容が気に入らないからといって、後で覆すことはできません。
一度に支払う額が数十万になるモノの購入であれば、多くの方が購入までに何度も吟味するはず。
生命保険契約も支払総額から考えれば、加入時に「掛捨て型なのか貯蓄型なのか」また、「いくら支払って、いくら受け取れるのか」などをしっかりと確認すべきです。
しかし、保険料の支払方法が月払いの方が多いので、契約内容をしっかりと確認していないケースも多いように思います。
著者のように生命保険契約の問題点に気付くのは何かあってからということが多いのが実情です。
気付いた時には取り返しがつかない状態になっていた、とならないように機会があるごとに、どんな契約をしているかをチェックすることが重要です。
FP(ファイナンシャル・プランナー)などの専門家に相談してみる
今回の記事を読み、ご自身の生命保険契約に不安を感じた方は、どのような保障内容だったかを再確認してみてください。
ご自身で保障内容を確認できないようであれば、プロに相談するのも1つの方法。
見直し前提であれば下記のようなFP(ファイナンシャル・プランナー)による無料相談を利用するのもいいでしょう。
見直しをするつもりがないのであれば、FP(ファイナンシャル・プランナー)の有料相談を受けるのもあり。
仮に1時間5千円程度で相談を受けても、相談によって数十万単位の節約につながることもあります。
目先の数千円を惜しむと、最終的に損をしてしまう可能性もあります。
信頼できるFPなどの専門家を見付けることも重要
生命保険はどの商品に入るかも重要ですが、同時に誰から入るかも重要です。
頼りになる専門家を見付けることも重要です。
頼りになる専門家を見付けることも生命保険で失敗しない方法の1つであることは間違いありません。
日本の景気が低迷する中で、生命保険料の負担は小さくないのは間違いないでしょう。
ムダな固定費を削減する意味でも信頼できるアドバイザーを見付け、生命保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか?
なお、生命保険の相談相手(アドバイザー)を探す際には、1つの生命保険会社だけしか取り扱いがないという一社専属の方よりも複数社を取り扱える方をおすすめします。
医療保険に力を入れている会社、外貨建て保険に力を入れている会社、変額保険に力を入れている会社など、それぞれの生命保険会社ごとに特色があります。
複数社の取り扱いがあれば、いいとこどりで契約することが可能です。
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まとめ
現在の生命保険契約で保険料の払込総額がいくらになるか計算したことがあるでしょうか?
例えば、月3,000円の医療保険でも、30歳から80歳までの50年間、保険料を支払ったと仮定すると、180万円にもなります。
生命保険文化センターの「令和3年度 生命保険に関する全国実態調査」(二人以上の世帯調査)によると、一世帯当たり月に約3万円の生命保険料を支払っています。
30歳から65歳までの35年間に月3万円の保険料を支払ったと仮定すると、保険料支払総額は1,260万円。
これだけ多額の保険料を支払うことになると認識し、契約内容にもっと興味を持つことが重要。
ご自身で契約内容を確認できない場合には、プロに相談しみてください。
信頼できるアドバイザーを見付けるこも生命保険契約で失敗しないための方法の1つです。