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公的年金は不要なのか?|公的年金の大きな3つのメリット


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公的年金だけでは老後に2000万円が不足するとした金融庁の報告書で、「老後2000万円問題」が話題となりました。

 

「老後2000万円問題」で、公的年金(国民年金・厚生年金)だけでは老後生活が成り立たないのであれば、公的年金は役に立たない。

 

年金保険料を支払うのはムダではないかという論調もあります。

 

本当に公的年金は保険料を払うだけムダなのでしょうか?

 

実は、公的年金(国民年金・厚生年金)は非常にメリットが大きい制度で、老後生活の主体と考えるべきです。

 

今回は公的年金の主な3つのメリットについて解説します。

 

国民年金や厚生年金の保険料は払い損になるのではないかと不安に思っている方は、今回の記事を読んで、公的年金のメリットについて知って頂ければと思います。

1.公的年金のメリット1:終身年金

公的年金(老齢基礎年金老齢厚生年金)は終身年金

 

終身年金は年金を受け取る方が生きている限り、年金を受け取れます。

 

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は終身年金なので、老齢年金を受け取る方(年金受給者)が90歳になっても100歳になっても年金を受け取り続けられます

 

年金受給者が生きている限り、何歳になっても年金を打ち切られることはありません。

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老齢基礎年金はいつから、いくら受け取れる?

老齢基礎年金は20歳から40年間保険料を納めれば、65歳から795,000円(令和5年4月~)の年金が受け取れます。

 

月に約6.6万円です。

 

老齢基礎年金は保険料を40年納めなければ受け取れないのでしょうか?

 

老齢基礎年金は保険料を40年納めていなくても受け取ることができます

 

保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が10年以上あれば、老齢年金を受け取ることができます。

 

ただし、保険料納付済期間が40年に満たない場合には、下記のように年金額が減額されます。

 

例)保険料納付済期間が10年の場合
795,000円 × 120ヶ月/480ヶ月 = 198,750円

 

老齢基礎年金は、満額でも月に約6.6万円しか受け取れないと批判する方がいます。

 

しかし、仮に65歳から月6.6万円の年金を受け取り、100歳まで年金を受け取ったとしたら、総額で2,772万円(6.6万円×12ヶ月×35年)もの額を受け取れます。

 

人間は何歳まで生きるか分かりません

 

人生100年時代」と言われ長寿化が予想される日本で、死ぬまで年金を受け取れる公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は非常にありがい存在。

 

 令和元年度(平成5年4月~令和6年3月まで)の国民年金の月額保険料は16,520円です。

 

仮に月額保険料が一定で、20歳から60歳まで40年間払い続けたと仮定すると、総額で7,929,600円(16,520円×12ヶ月×40年)。

 

月額6.6万円の老齢基礎年金を受け取れるのであれば、約10年で元が取れる計算です。

 

公的年金は役に立たないから民間の個人年金に加入しようかという方がいますが、個人年金保険を終身年金で加入するには非常に保険料が高く、65歳から毎月6.5万円の年金を受け取るには、国民年金保険料程度では全く足りません。

 

なぜ、民間の個人年金保険に比べて国民年金保険料が安いのかというと、半分が税金で賄われているからです。

 

国民年金の半分に税金が投入されているため、民間の個人年金に比べて安い保険料で終身年金を受け取れるわけです。

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2.公的年金のメリット2:死亡・障害の保障がある

公的年金(国民年金厚生年金)には、死亡と障害の保障があります。

 

民間の個人年金保険にはない保障。

 

例えば、国民年金の被保険者が亡くなった場合、遺族は遺族基礎年金が受け取れます。

 

また、国民年金の被保険者が障害状態になった場合には、障害基礎年金が受け取れます。

 

死亡や障害の保障は、民間の個人年金保険にはありません。

 

例えば、個人年金保険の被保険者が亡くなった場合、それまで支払われた保険料相当額を受取人が受け取れますが、公的年金のような遺族年金はありません。

 

また、個人年金保険の被保険者が障害状態になったとしても、公的年金のような障害年金は受け取れません。

 

公的年金と聞くと、65歳から受け取る老齢年金をイメージされている方が多いのですが、上記の通り、公的年金には遺族年金と障害年金もあり保険的な要素もあります。

 

よって、若い方でも年金を受け取れる可能性があるメリットが大きい制度です。

 

 

3.公的年金のメリット3:物価スライド制度

物価が上昇し、モノの値段が上がった場合、年金受給者の年金額がそのままであれば、年金だけで生活している方の生活は非常に苦しくなります。

 

そこで、公的年金には物価にスライドして、年金額が上下する制度があります。

 

例えば、物価が上昇した場合には、物価上昇に合わせて年金額も上がるようになっています。

 

マクロ経済スライドが導入されて、物価の上昇ほど年金額が上がらないようになっていますが、一般的な個人年金保険には物価の上昇に合わせて年金額が上がる仕組みはありません。

 

例えば、毎年100万円の年金を受け取れる個人年金保険に加入したとしても、実際に年金を受け取る際に物価が2倍になっていれば、加入時に比べて年金の価値は実質的に半分の50万円に目減りしてしまいます。

 

公的年金には、物価上昇時にも上記のようなことがないような仕組みがあります。

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まとめ

今回は、公的年金の主なメリットをまとめてみました。上記の3つのメリットを考えただけでも公的年金の保険料を支払うメリットを感じてもらえたと思います。

 

「老後2000万円問題」で公的年金への不信感を膨らませた方がいるとは思いますが、間違っても年金保険料を滞納して「自分でお金を貯める」や「民間の個人年金保険などに加入する」などと誤った判断をしないようにお気を付けください。

 

そもそも公的年金の保険料支払いは任意ではなく強制ですので、滞納すると預金などを差し押さえられてしまいます。

 

公的年金のメリットを知り、公的年金は老後生活の柱であることをご理解頂ければと思います。

 

今回は、公的年金のメリットについて解説しましたが、公的年金(国民年金・厚生年金)の仕組みについて知りたい方は、マンガで解説しているサイトがありますので、ご参照ください。

www.mhlw.go.jp

 

「老後2000万円問題」については、下記のような記事も書いていますので、良かったらご覧ください。

www.fpinv7.com

 

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