現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金など「お金」について語ります

老後2000万円不足の真意とは?|公的年金は積立貯蓄?それとも保険?


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以前から気になっていたオリエンタルラジオ中田さんのYouTube動画『【年金問題】老後2000万円不足の真意とは?〜前編〜年金の本質を理解すれば老後の不安が解消!』を観てみました。

今回の動画もよくまとまっていて、面白いというのが正直な感想です。

 

老後2000万円問題」で公的年金について不安や不信を感じている方が多いでしょう。

老後2000万円不足の真意とはいったい何だったのか?公的年金は積立貯蓄なのか?保険なのか?など、今回の動画も非常にタメになる内容になっています。

 

 

 

 

1.公的年金は、なんとなく破たんしそうで不安?

今回の動画の冒頭でも語られていますが、「なんとなくよく分からない」という状態は、最も不安を大きくします。

なんとなくよく分からないから不安という状態は、判断を誤らせますので、「しっかりと公的年金制度を理解し、適切に恐れる」ことが重要だと中田さんは解説しています。

 

公的年金に対して「なんとなく年金は貰えなさそう」などと誤った認識を持ったままだと、公的年金の保険料を支払わずに民間の個人年金保険に加入するなどというとんでもない選択をしてしまう可能性もあります。

 

公的年金は、民間の個人年金保険と比べて非常にお得な制度です。どのような点がお得なのかを今回の記事で解説したいと思います。 

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2.老後2000万円問題の根拠は雑!?

金融庁の報告書が原因で「老後2000万円問題」が非常に大きな話題になりました。動画では、老後に2000万円が不足するとした根拠が雑と、指摘しています。

確かに老後に2000万円が不足するのは、厚生年金に40年加入した夫と専業主婦のモデルケースの場合であり、実際に老後に不足する額は、それぞれの方で異なる点が理解されていませんでした。

 

では、なぜ、雑な根拠で報告書が書かれたのか、その理由は金融庁の報告書の目的が年金だけでは2000万円が不足するということを強調したかったのではなく、証券投資(銀行・証券業)を活性化したかったからだと中田さんは解説しています。

金融庁は、1つの事例としてモデルケースの夫婦で老後に足りない額を示し、足りない分は資産運用で補いましょうと訴えたかったわけです。

 

しかし、目的だった資産運用への盛り上がりが外れ、年金に不信感のある若者を刺激してしまったことにより、大炎上してしまったというのが「老後2000万円問題」の真相と中田さんは解説しています。

 

金融庁の報告書の内容は、間違っているわけではなく、もっと資産運用に興味を持って欲しいという考え方も悪いわけではありません。

今回の件では、具体的な数字を不用意に出すと、マスコミが喜んで話題にし、国民に真意が伝わらない可能性があることを金融庁は注意すべきだったのでしょう。

 

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3.マクロ経済スライドで、少子高齢化問題はクリアしている?

動画の中で中田さんは、公的年金が破たんしない根拠としてマクロ経済スライドの導入を挙げています。マクロ経済スライドの導入により、少子高齢化による年金財政の悪化はクリアされているとしていますが、この指摘には少し注意が必要です。

 

マクロ経済スライドとは、2004年から導入された制度で、現役世代の減少や平均寿命の延びに合わせて年金の給付水準を調整する仕組みです。

具体的には、物価や現役世代の賃金が上がっても、年金から「スライド調整率」を差し引き、物価や賃金が上昇するほど年金額を増やさないようにするという制度です。

 

少子高齢化に応じて年金水準を抑えるように調整し、公的年金制度を安定的に運営していく仕組みがマクロ経済スライドです。

 

上記の説明だけでは、よく分からないという方は、マクロ経済スライドについて非常に分かりやすく解説されている動画がありますので、一度ご覧ください。

 

2004年からマクロ経済スライドが導入されていますが、実は、スライドが実施されたのは今まで2015年度と2019年度の2回のみです。現状では、調整(抑制)不足であることは間違いありません。

年金額の調整(抑制)が足りなければ、受け取る年金が減るという形で、将来世代にしわ寄せがいきます。

 

 

4.公的年金は、積立貯蓄?それとも保険?

動画の中で、公的年金は「積立貯蓄・貯金」「生活保護」「保険」のうちで、どれに最も似ているかという質問が出てきます。

これは非常にいい質問です。多くの方が、公的年金は積立貯蓄のようなものだと考えていると思いますが、公的年金は「保険」に最も近いと動画では解説されています。

 

公的年金は、長生きリスクに備えるための保険であり、長生きした人を皆で支える共助(助け合い)の制度なのです。 

民間の保険会社が販売している個人年金保険も「長生きリスクに備える」が宣伝文句です。

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老後だけでなく、若い方でも公的年金は受け取れる?

更に、公的年金には、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)があり、老後の年金だけでなく、若い方が受け取れる可能性がある点でも保険としての機能を持っています。

民間保険会社が販売している個人年金保険には、障害保障はないですし、死亡保障はほぼ積立額を受け取れるだけです。

 

公的年金は老後だけでなく、若い時にも受け取れる可能性のある保険という側面があることを理解する必要があります。 

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5.公的年金は「人生100年時代」の長生きリスクに備える保険

国民年金は、月に約6.5万円しか受け取ることができず、それだけでは生活できない無意味な制度だと考えている方がいますが、月に約6.5万円受け取れるだけでもありがたい制度です。

実際に国民年金の老齢基礎年金で受け取れる額を個人で用意できるかを考えてみてください。

 

例えば、国民年金の月額保険料、約1.6万円を20歳から60歳までの40年間支払ったとしたら、総支払保険料は768万円(1.6万円×12ヶ月×40年)です。

768万円支払えば、65歳から月に約6.5万円の老齢基礎年金を受け取ることが可能です。 

 

65歳の平均余命(平成29年簡易生命表)は、男性19.57年、女性24.43年です。

男性が65歳から平均余命まで生きたら1,560万円(6.5万円×12ヶ月×20年)女性が65歳から平均余命まで生きたら1,827万円(6.5万円×12ヶ月×24年)もの老齢基礎年金を受け取れます。

更に100歳まで長生きすれば、2,730万円(6.5万円×12ヶ月×35年)もの額を受け取ることができます。

 

公的年金は終身年金 

老後までに個人でにコツコツと1,500万円~2,000万円近いお金を貯めていける自信のある方はどれくらいいるでしょうか?

また、仮に2,000万円貯めたとしても、予想以上に長生きすると、個人ごとに積み立てた年金の原資を使い切ってしまう可能性があります。

 

その点、公的年金は終身年金なので、保険料を支払っていれば、年金受給者が死ぬまで年金を受け取ることができます。

 

公的年金はインフレにも対応

仮にインフレが起きた時に個人で対応できるのかという点も重要です。

個人でコツコツ2,000万円貯めたら、老後にはインフレで物価が2倍になっていて、積み立てた年金原資の実質的価値が2分の1になってしまったということになったら大変です。 

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その点、公的年金にはインフレに合わせて給付額が上がる仕組みがあるので安心です。マクロ経済スライドが導入されているので、物価上昇ほど年金額は上がりませんが、個人年金保険ではインフレには対応できません。

 

強制加入の制度で、インフレにも対応した年金が死ぬまで受け取れる公的年金は、老後の柱であることは間違いないわけです。 

今後、日本人は更に長生きする「人生100年時代」に突入するわけですから、しっかりと公的年金の内容を理解し、活用すべきであることは間違いありません。

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まとめ

この動画をきっかけとして、多くの方が公的年金に興味を持ち、更に公的年金について知って頂きたいと思います。

公的年金に対して正しい知識を持った上で、個人ごとに公的年金だけでは足りない額を計算し、私的年金で準備するということが重要です。

 

なお、下記記事で紹介している中田さんの動画も面白いので、興味がある方は観てみてください。

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