
責任ある積極財政を掲げる高市政権。
その経済対策の中身が明らかになってきました。
高市さんなら日本経済を好転させてくれると期待している方も少なくないでしょう。
その証拠にある世論調査によると内閣支持率は脅威の82%。
20兆円を超える規模とされる経済対策で日本経済は復活するのでしょうか?また、物価高に苦しむ私たち庶民の生活は楽になるのでしょうか?
今回の記事では、高市政権の経済対策について解説します。
高市政権に期待している方は参考にしてください。
高市政権の経済対策の中身とは?
責任ある積極財政を掲げる高市政権。
報道によると経済対策の規模は20兆円超と言われています。
では、その中身はいかがなものでしょうか?期待できるものなのでしょうか?
結論から申し上げると、この内容では私たちの生活は楽にはなりません。
経済対策として掲げられている主な内容について解説します。
ガソリン税の暫定税率廃止
ガソリンの暫定税率(リッター25.1円)が、2025年12月31日で廃止されることが決定。
これに伴い、急激な価格変動を防ぐため11月13日からガソリンの補助金が段階的に引き上げられています。
実際にガソリン代が安くなったことを実感している人も少なくないでしょう。
暫定税率の廃止まで話が進んだことは評価できます。
しかし、代替財源の議論が出ていることには注意が必要。
走行距離に応じて課税する「走行距離税」というマヌケな税金の導入は見送ると片山財務相は発言。
しかし、金融所得課税を強化するという話が出ています。
来年以降のどこかで、代替財源として増税される可能性もゼロではありません。
「年収の壁」引き上げ
所得税がかかり始める「年収の壁」については、今年から160万円まで引き上げられましたが、160万円まで引き上げられるのは年収200万円まで。
年収によって「壁」が異なり、制度が複雑すぎて簡素という税の原則に反します。
今後の「年収の壁」引き上げついて、自民党の小野寺五典税制調査会長は「消費者物価指数(CPI)に連動するのが自然な発想だ」と述べました。
一方、国民民主党は最低賃金に連動させることにより178万円までの引き上げを主張。
小野寺氏の発言は178万円までは引き上げないと暗に示したことになります。
消費税減税
消費税減税は見送られる方針です。
「消費税は社会保障の重要な財源」という詭弁に続き、「レジの設定に時間がかかる」という理由で減税を回避。
国会で高市首相は「恒久財源5兆円を自由に使えるとしたら何に使いたいか」という質問に対して「自民党に怒られるかもしれないが、今だったら食料品の消費税をずっとゼロにする」と回答。
この発言は自民党内の論理を最優先せざるを得ないということを公言したことになります。
少数与党になっても国民の生活よりも党内を優先して政治を進める状況には呆れるばかりです。
電気・ガス料金補助
電気・ガス料金に対する補助金が、来年2026年1月から3月分を対象に実施される予定。
これにより、一般家庭では3ヶ月間で7,000円程度の負担減を図るとしています。
3ヶ月間で7,000円程度では、物価高による家計へのダメージを考えればセコ過ぎると言わざるを得ません。
このような一時的な補助を連発するくらいなら、電気代に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)を廃止すべき。
全くエコでもなく環境を破壊する太陽光や風力発電の導入を推進し、その費用を国民が負担させられている現状こそ見直しが必要です。
「子育て応援手当」2万円
公明党の要望で「子育て応援手当」として子供1人当たり2万円の給付を実施する予定。
給付の対象は0~18歳の子どもを持つ児童手当の受給者で所得制限はなし。
2か月に1度給付される児童手当と同じ口座に振り込むことを想定しているとのこと。
単発で子供1人につき2万円を配ったところで、物価高対策としても経済対策としても効果は限定的です。
やらないよりはやった方がいいといったレベルです。
財政健全化に必要なこととは?
高市首相は、「責任ある積極財政」で債務残高の対GDP比率(債務残高÷GDP)を引き下げるとしています。
これまで財務省は分子の債務残高を減らすことに注力してきました。
プライマリーバランス(PB)の黒字化(歳出を税収で賄うこと)を目指して歳出を削減した結果、日本は「失われた30年」を経験。
歳出削減や増税(社会保険料増を含む)を繰り返した結果、国(政府)がお金を吸い上げる形になり景気が停滞。
景気が停滞すると個人や企業は節約し、GDP(分母)が増えません。結果として、債務残高の対GDP比率はかえって悪化します。
つまり、財政を健全化させるために債務残高を減らす(分子を減らす)アプローチは間違っていたということ。
逆に分母であるGDPを増大させるアプローチこそが必要なのです。
GDPが増えれば、企業の利益や個人の所得が増え、結果として国の税収も上がります。
まさに「経済あっての財政」なのです。
GDPを大きくするには、日本経済の中でお金が回るようにすることが必要不可欠。
最も効果的なのは、GDPの5割超を占める個人消費を刺激すること。
子供1人に2万円を配るような単発の経済対策では、多くの人が貯蓄に回してしまう可能性が高い。
結果的にGDPは伸びず、国債発行分だけ債務比率が悪化してしまいます。
20兆円超を使うなら、消費税を2年間限定で一律5%に下げる方がはるかに効果的。
消費税が時限的に5%に下がれば、高額品の消費などが活性化してGDPが増加します。
結果として、税収が増えることが期待できる。
つまり、 財政健全化の鍵は「国の債務を減らすこと」ではなく、GDPを成長させることなのです。
まとめ:自民党政権の限界

高市首相や片山財務相が日本経済復活のため努力しているのは確かです。
しかし、自民党政権ではこのレベルの経済対策が限界ではないでしょうか。
自民党が中心の政権である限り、現状のような茶番が続くことに。
自民党は多くの企業や団体から献金を受け取っているため、国民ではなく献金元の意向を優先せざるを得ません。
衆院の解散総選挙が近いという情報も出ています。
高市さんの支持率の高さから自民党が過半数を取り戻す可能性もゼロではないでしょう。
そうなれば、菅・岸田・石破と続いたような極左リベラルな政策が再び繰り返される恐れがあります。
高市さんへの期待感だけで自民党に投票しないことが肝要です。
政治家は実績で評価すべきであり、今回の経済対策は及第点には届いていません。
重要なポイントは自民党を少数与党に追い込んだことにより、「年収の壁」引き上げやガソリン暫定税率の廃止といった成果が生まれた事実。
これは国民の声が政治を動かした好例です。
今後もこの成功体験を忘れず、国民が政治への関心を持ち続け、具体的な要望を出していくことが大切です。
そうすれば、将来的には消費税廃止のような大きな改革も現実味を帯びてくるでしょう。