資源価格の高騰や円安の影響で日本でもインフレ傾向が続いていますが、日銀はデフレ脱却に向けてマイナス金利政策などの金融緩和を継続しています。
デフレはモノの値段が安くなり、消費者にとっては嬉しい現象。
一消費者からしてみると、モノが安く買えることにどんな問題があるのかと思ってしまわないでしょうか。
しかし、デフレが続くと日本経済全体にはマイナスの影響があります。
今回は、デフレ(デフレーション)について下記のポイントを解説します。
- デフレ(デフレーション)とは?意味は?
- デフレの原因は
- デフレが経済に与える影響とは?
- デフレに備える方法とは?
1.デフレ(デフレーション)とは?
デフレーション(デフレ)とは、モノの値段(物価)が継続的に下がっていく現象。
モノの値段(物価)が下がることによって、相対的に通貨(お金)の価値は上がっていきます。
例えば、200円で売っていた鉛筆が、デフレになるとその半分の100円で買えるようになります。
200円で買ったいたものが100円で買えるようになるので、モノの値段が下がることにより相対的にお金の価値が上がることに。
モノの値段(物価)が上がり、通貨(お金)の価値が下がるインフレ(インフレーション)とは逆の現象です。
2.デフレの原因
デフレは、需要より供給が多いことで発生します。
つまり、売っている商品が多くて、それを欲しい人が少ない状態。
不景気などで、給料が下がるなどして収入が減ると人が消費に回すお金を減らします。
そのため、モノが売れなくなり、需要が供給を下回ると在庫が発生。
売れない状態になるので、モノの値段を下げて売れるようにします。これがデフレの原因です。
スポンサーリンク
3.デフレスパイラルとは?
日本は長らくデフレが続いたため、デフレスパイラルという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
デフレが進むと、デフレスパイラルに陥る可能性があります。
デフレスパイラルとは、下記のような状態。
商品が売れないため、企業は値下げをします。すると、利益が減るため、企業は社員の給与を減らします。
給与が減ると、消費が落ち、更に商品が売れなくなる。
そして企業が更に値下げするという形で悪循環が続いていきます。
デフレスパイラルを図にすると下記の通り。
商品が売れない
⇓
値下げする
⇓
企業の利益が減る
⇓
従業員の給与が減る
⇓
更に商品が売れなくなる
⇓
更に値下げする
⇓
更に企業の利益が減る
⇓
更に従業員の給与が減る
⇓
・・・以下、上記の繰り返し。
実際、デフレに苦しんだ日本の実質賃金の国際比較を確認すると、下図の通り、諸外国に比べて日本の賃金がいかに低迷しているかが分かります。
(出典:全労連)
4.デフレは経済に悪影響!|合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)とは?
モノの値段が安くなることは消費者1人ひとりにとってはいいことです。
しかし、日本国民全員が安くなるまでモノを買わなくなったら上記のようなデフレスパイラルが発生し、結果的には日本経済全体が悪い状態に陥ってしまう。
これを合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)といいます。
合成の誤謬とは、「個人が合理的な行動をとっても多くの人が同じ行動をとることによって、全体としては悪い状態になること」です。
スポンサーリンク
5.個人ができるデフレ対策とは?
デフレ(デフレーション)とはモノの値段が下がり、相対的に通貨(お金)の価値が上がる現象なので、資産に占める現金の比率を高めることがデフレ対策になります。
現在、日本銀行(日銀)は年2%の物価上昇率を目指して金融緩和を継続しています。
その理由は、モノの値段が安くなるデフレは一見、いいことのように感じますが、日本経済全体で考えれば悪影響があるから。
経済全体が悪ければ、結果的に日本人一人ひとりにも影響が及びます。
日本経済全体で考えると、緩やかなインフレが目指すべき状態。
仮に日銀が目標とする年2%の物価上昇が実現されると、それ以上の利回りで資産を運用していなければ、資産が実質的に目減りすることになってしまいます。
よって、デフレ対策で資産に占める現金の比率を高めるよりも、インフレに備えて資産運用をする方が賢明でしょう。
なお、日本でも物価が上昇しているのに、頑なに日銀が金融緩和を継続することに疑問を感じている方もいるでしょう、
日銀が金融緩和を継続している理由は、日本の物価上昇が原材料などが上がるコストプッシュ型の悪性インフレで、給与があがるようなディマンドプル型のインフレではないから。
日銀が金融緩和政策を継続する理由の詳細については、下記記事をご参照ください。
まとめ
デフレ(デフレーション)についてまとめると下記の通り。
- デフレは個人には良くても一国の経済を考えるとマイナスの影響
- 経済的には緩やかなインフレ(年2~3%程度)が適正水準
- 日本銀行(日銀)は年2%の物価上昇率を目指して金融緩和を継続中
- 資産を守る意味でも年利2%程度を超える資産運用をすべき
デフレは個人には良くても一国の経済で考えるとマイナス。
よって、日銀だけでなく世界の多くの中央銀行も年2%程度のインフレ率を目標に政策を決定しています。
インフレによって物価が上がると、デフレとは逆で通貨(お金)の価値は下がってしまいますので、物価上昇率を上回る利回りで資産を運用できない場合、資産は実質的に目減りしてしまうことになります。
よって、資産を守る意味でも資産運用は必要。
インフレやデフレについて理解すれば、資産運用の必要性が認識できます。
インフレやデフレについての知識は、最低限身に付けておくべき金融リテラシーの1つです。