元ZOZO社長の前澤友作さんの100万円を当選者1000人に配るお年玉企画で「ベーシックインカム」という言葉が話題になりました。
Twitterでもトレンド入りしていました。
皆さん、想像してみてください!
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) January 2, 2020
『仮に、毎月8万3千円(年間約100万円)があなたに無条件で政府から支給されたら、あなたの暮らしや仕事はどうなりそうですか?』
ずばり #前澤お年玉 で僕が実験したいことは「ベーシックインカム、前澤個人でやってみた」です。(つづく)
「ベーシックインカム」という仕組みをご存知ない方や、働かなくても国からお金をもらえる制度と理解されている方も多いと思いますが、具体的にどのような制度なのでしょうか?
日本でも導入される可能性があるのでしょうか?
今回は、「ベーシックインカム」の財源や実際に導入されている国があるかなどについて解説します。
- 1.ベーシックインカムとは?
- 2.ベーシックインカムが議論される背景とは?
- 3.ベーシックインカムの財源は?
- 4.ベーシックインカムが日本に導入される可能性は?
- 5.フィンランドやアメリカではベーシックインカムが導入されている?
- まとめ
1.ベーシックインカムとは?
ベーシックインカムBI(Basic Income)とは、正確にはユニバーサル・ベーシックインカムUBI(Universal Basic Income)と呼び、国が全国民に対して生活するのに必要な最低限の金額を毎月支給する仕組みのことです。
生活保護や年金は、給付を受けられる対象者が絞られますが、ベーシックインカムは、年齢や性別などに関係なく、無条件で全国民が給付を受けられる点がポイントです。
ベーシックインカムのメリット
現在の社会保障制度は、失業手当や生活保護、年金など、給付対象者ごとにいくつもの制度があり、複雑なシステムの維持に莫大なコストがかかっています。
複雑な制度を単純なベーシックインカムに置き換えることにより、社会保障にかかるコストを削減することが可能となるとして注目されています。
また、生活するのに必要最低限の金額をベーシックインカムで受け取ることにより生活のために働くことから解放され、人々は生きがいなどのために生活するようになるともいわれています。
ベーシックインカムのデメリット
ベーシックインカムを受け取ることにより、人々が働かなくなるのではないかという懸念がります。
しかし、ベーシックインカムは、働かなくても余裕のある生活ができる夢の制度ではありません。 生活するのに最低限の金額を給付する仕組みなので、ベーシックインカムだけで裕福な生活ができるわけではありません。
公的年金の老齢基礎年金を年齢に関係なく、無条件で全国民に支給するようなイメージです。現状、老齢基礎年金は満額で月約6.5万円なので、これだけで生活できるというレベルではありません。
余裕のある生活をしようと考えるのであれば、働く必要があります。また、老後についても、ベーシックインカムだけでは最低限の生活費しかまかなえないので、運用などで蓄えた資産を取り崩して生活する必要があります。
スポンサーリンク
2.ベーシックインカムが議論される背景とは?
ベーシックインカムについては1970年代から議論されていますが、最近、また注目されています。 その理由は、AIや機械の発達により人間の仕事が奪われる時代が来るといわれているからです。
AIの発達により、更に貧富の差が広がる懸念があり、人々の不満が爆発する可能性があります。
そのような状況の中、AIや機械の発達によって働かなくてもいい時代の社会保障制度として注目されているのがベーシックインカムというわけです。
3.ベーシックインカムの財源は?
ベーシックインカムとして、全国民に対して一定額のお金を配るとしたら、その財源はどこから出るのでしょうか?
ベーシックインカムの導入により、行政サービスをスリム化して、現在必要とされている財源が浮くので、その分をベーシックインカムに振り向けるという議論もあります。
しかし、現状では削った財源だけでは足りないので、増税が必要となります。
仮にAIがほとんど全ての仕事を代替できるようになれば、理論的には人間が働かなくてもいい時代が来ることになります。
そうなれば、財源の問題はなくなる可能性があります。
4.ベーシックインカムが日本に導入される可能性は?
ベーシックインカムが日本で導入される可能性は非常に低いでしょう。財源の問題もあり、ヨーロッパほど日本での議論は活発ではありません。
日本では消費税10%への引き上げにもこれだけの時間がかかったので、財源の問題が一番のネックとなるでしょう。
上記の通り、AIや機械が更に発達すれば、財源の問題がなくなる可能性がありますが、現状のAIや機械ではそのようなレベルにはなく、日本でのベーシックインカムの導入は難しいでしょう。
スポンサーリンク
5.フィンランドやアメリカではベーシックインカムが導入されている?
ベーシックインカムが実際に導入されている国は現在のところありません。しかし、フィンランドやアメリカなどではベーシックインカム導入の実験が行われています。
フィンランドでは、2017年1月1日から2018年末にかけて無作為に選ばれた失業者2,000人に月額560ユーロ(約7万円)を2年間支給するベーシックインカム導入の実験が行われました。
実験の結果、労働率に目立った変化はなかったようですが、受給者のストレスが軽減されたという報告もあります。
また、アメリカのカリフォルニアでも使い方を制限せずに毎月500ドル(約5.4万円)を生活困窮者に支給するStockton Economic Empowerment Demonstration(SEED)と呼ばれる実験が行われています。
まとめ
ベーシックインカムは、一見、働かなくても国からお金がもらえる夢のような制度のように思えますが、実際にはそうではありません。
ベーシックインカムで受け取れる金額は、生活できる最低限の金額という点に注意する必要があります。ベーシックインカムが導入されても「老後2000万円問題」が解決するわけではありません。
よって、ベーシックインカムが導入されることがあっても、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)などの税制上優遇された私的年金制度を活用して資産運用を行うことの大切さは変わりません。
また、まだまだ財源の問題もあり、実際にベーシックインカムが導入されるレベルにはありません。
現状、ベーシックインカムは貧富の差が拡大している中で、前澤さん達のような超富裕層に向けられている人々の不満をそらすために使われているおとぎ話だと考える方がいいでしょう。