2022年の日本の出生数は、前年より4万3169人少ない79万9728人と80万人を切る状態。
一方、2022年の国内の死亡数は158万2033人で、前年より12万9744人(8.9%)増えました。
差し引き78万人もの人口が減っていて、一年間で山梨県や佐賀県が消えるくらいの数字。
人口減少のペースを考えれば、現在までとは違ったアプローチの少子化対策が急務なことは間違いありません。
しかし、財源論が問題になっています。
現在議論されているような財源論に終始すれば、逆に少子化を加速させることになるでしょう。
そこで今回は、少子化対策の財源論について下記ポイントについて解説します。
- 消費増税や社会保険料の引き上げは少子化を加速させる
- 少子化対策の財源は国債
消費税を増税すると少子化は加速する
消費税を増税すると少子化が加速するとともに日本の衰退も加速することになるでしょう。
消費税を増税すれば、増税後に確実に消費は減退。
これまでの消費税増税の局面を振り返れば、間違いのないこと。
消費税の引き上げにより、日本経済は下記のような形で不況に苦しむことになります。
消費税を上げる
⇓
GDPの6割を占める消費が落ちる
⇓
企業の収益が落ちる
⇓
収益が落ちた企業は人件費や設備投資を抑制する
⇓
従業員の給与が減る
⇓
更に商品が売れなくなる
⇓
更に企業の利益が減る
⇓
更に従業員の給与が減る
⇓
・・・以下、上記の繰り返し
実際、これまでの消費増税による不況に苦しんだ日本の実質賃金は、下図のように諸外国に比べて極端に低迷していることが分かります。
(出典:全労連)
消費増税をすれば、更に実質賃金が減ることになりので、結婚しない(できない)人や子供を作らない人が増えるでしょう。
つまり、消費税の増税によって少子化は加速する。そして少子化は日本の衰退に直結。
消費税は消費に対する罰金です。
消費する度に10%(食料品などは8%)の罰金を取られる状態。
仮に消費税を引き上げるなら日本の消費が旺盛過ぎてインフレが止まらないとき。
現在はインフレですが、資源高や円安によるコストプッシュ型のインフレで、消費税を引き上げられるような経済状況ではありません。
インフレで苦しむ状況下で更に消費税を増税すれば、消費が減退するのは火を見るよりも明らか。
コストプッシュ型のインフレが落ち着いた後にデフレに逆戻りする可能性すらあります。
社会保険料の引き上げは国民の可処分所得を減らす
消費税の増税は国民に不人気なため、社会保険料の引き上げの方がいいという雰囲気が岸田政権にはありますが、これも大きな間違い。
消費増税も社会保険料の引き上げも国民の可処分所得を減らすという意味では同じこと。
社会保険料を引き上げれば、労働者だけでなく企業の負担も大きくなり、雇用が不安定化するでしょう。
その理由は、企業が社会保険料が不要な非正規社員を増やす要因となるから。
社会保険料の引き上げは、国民の可処分所得を減らすとともに雇用の不安定化というマイナス要素を日本にもたらすことになります。
また、現役世代の負担を減らすために後期高齢者などの社会保険料や医療費負担を引き上げるべきという意見もありますが、それも愚策。
高齢者の消費を減退させることになり、最終的には現役世代の収入減にもつながることになります。
現役世代と高齢者の分断を煽っても少子化は解決しません。
少子化対策の財源は「国債」
消費税の増税や社会保険料の引き上げは日本経済の減退を招き、少子化の加速に拍車を掛けます。
では、「異次元の少子化対策」の財源は何か?それは国債。
国債をこれ以上発行すれば、日本は財政破綻(デフォルト)すると反対する方がいます。
しかし、下記記事で解説した通り、自国通貨建ての国債を発行できる日本が財政破綻(デフォルト)することはありません。
自国通貨建ての国債を発行している国の財政破綻(デフォルト)はないので、インフレ率を目標に財政出動すべきです。
よって、3~4%程度のインフレ率になるまでは国債を発行して財政出動することが可能。
国債を財源として下記のような少子化対策を行うといいでしょう。
- 消費税の廃止
- 児童手当の増額
- 大学までの教育の無償化
消費税を廃止することにより、経済を活性化して日本人の賃金を上げていく。
賃金が上がるようになれば、若い人たちが結婚しようという気持ちになれるでしょう。
そして、教育の無償化や児童手当を増額(月10万円程度)することにより、子供が欲しいと思う人を増やすことができます。
消費税を廃止または減税して景気が浮上すれば、税収は上がります。
また、給与が上がれば社会保険料も上がる。
国(政府)が財政出動して景気が浮上すれば、少子化対策になるとともに財政問題も一気に解決します。
少子化の問題点は非婚化
少子化の問題点の本質は何か?
ボーリングでストライクを取るのにセンターピンを狙う必要があるように現実の世界でも問題の本質(センターピン)を理解して解決する必要があります。
少子化問題の本質は結婚する人達が減っている非婚化でしょう。
日本の未婚男女の結婚希望者は、下図の通り減少していますが8割程度。
出典:国立社会保障・人口問題研究所
一方、日本人(50歳時)の未婚率は、下図の通り男女ともに上昇傾向にあります。
出典:内閣府
上記から導き出される結論は、結婚したい人達が結婚できていないという現実。
未婚者が結婚できない理由として、結婚後の生活資金が足りないという現実があります。
下図の通り、20代~40代未婚男性で「結婚後の生活資金が足りないから」という理由が上位3位以内に入っています。
出典:内閣府
経済が不安定だと現役世代の収入も不安定化。
収入の不安定化は、現役世代の非婚化につながります。
非婚化を解消する意味でも消費税の廃止などによる日本経済の復活は重要課題です。
日本の少子化対策を本気で考えるのであれば、分厚い中間層を復活させることが急務でしょう。
まとめ
これまでの政府の少子化対策は、少子化を加速させる対策でした。
これまでと同じような政策を続ければ、更に少子化が加速するのは自明です。
異次元の少子化対策に増税や社会保険料の引き上げは不要。
消費増税や社会保険料の引き上げを行えば、更に少子化に拍車がかかり、日本の衰退も進むでしょう。
現状の日本の経済状況を考慮すると、少子化対策の財源は国債以外に考えられません。
国債を発行して少子化対策を行えば、経済を冷え込ませることはありません。
日本政治家は何回同じ轍を踏めば考え方を改めるのでしょうか。
約30年間も日本の国力を削り続けてきた政治家には大きな責任があります。
これまで進めてきた緊縮財政で経済が好転しないのであれば、他国の事例などを参考に政治家が政策を転換すべき。
約30年間、国民を不幸にし続けてきたわけですから日本の政治家は万死に値するといっても過言ではないでしょう。
しかし、その頼りない政治家を選んでいるのは我々国民。
実は、我々国民が自らを苦しめる緊縮脳を持った政治家を選んでしまっているということ。
つまり、真の「異次元の少子化対策」を行うためには、我々日本人が国のお金の正しい使い方を知り、正しい使い方をする人(政治家)を選ぶ事がポイントとなります。
私たちは政治に無関心でいられても無関係ではいられません。
しかし、先日行われた市議選の平均投票率は44.26%。
5割以上の人が票を捨てている状態では我々の生活は良くなりません。
少子化対策だけでなく、我々の生活全般を向上させるためにも政治に関心を持つ必要があります。