現役投資家FPが語る

20年以上の投資経験がある現役投資家FPが「人生100年時代」の資産運用や公的年金など「お金」の知恵について語ります

【書評】インデックス投資の出口戦略はいつから考えるべき?


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「世界中に分散されたインデックスファンドを積み立てて長期保有する」インデックス投資は、手間いらずで簡単な投資手法です。

 

しかし、積み立てた資産の取り崩し方(出口戦略)、つまり資産(お金)の使い方には注意が必要。

 

「運用した資産をいつ現金化すべきか?」という質問を頂くこともありますが、取り崩し方に注意しないと資産寿命を縮めてしまいます

 

では、どのようなポイントに注意し、いつから出口戦略について考えるべきなのでしょうか?

 

既に資産の取り崩しを始めている以下の本の著者から出口戦略のポイントを教えてもらいましょう。

 

  

インデックス投資の出口戦略はいつ考えるべき?|出口が近づいたら考える

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インデックス投資の出口戦略とは、一言でいうと積み立てた資産(投資信託)の取り崩し方です。

 

インデックス投資の出口戦略はいつから考えておくべきなのでしょうか?

 

人生は未来がどうなるかわかりません。

 

公的年金などの受け取れる額、生活費などの必要な額もリタイアが近くならないと不確定な部分があります。

 

よって、出口戦略は出口(リタイア)が近くなったら考えればいいと著者は指摘。

 

資産運用を始めたばかりの方や運用真っ只中の方については、リタイアが近くなれば出口戦略を考える必要がある程度の認識で問題ないでしょう。

 

 

資産の使い方(出口戦略)3つの極意

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積み立てた資産を使う資産活用期の運用方法については事前に心配する必要はなく、その時から考えれば間に合います。

 

その理由は、資産運用期と基本的スタンスは同じだから。

 

違いは資金流入がプラスからマイナスになり、取れるリスクが低下する事と指摘されています。

 

出口が近づいたら資産配分を見直す

資産形成期で最も重要なのは、リスクコントロールなのと同様に、資産活用期もリスクコントロールが最も重要

 

異なるのはリスク許容度

 

リスク許容度とは簡単に説明すると、どれくらいまでなら投資元本がマイナスとなっても運用を続けられるか。

 

収入がなくなれば(あるいは少なくなれば)、自ずとリスク許容度は下がります。

 

したがって、出口が来る前までに資産配分(リスク資産の比率)を保守的に見直すのがセオリー。

 

債券型の投資信託や現金の比率を上げるなどして、大きな価格変動に耐えられる資産配分にする必要があります。

  

資産のリスク許容度を一定に保つ

資産活用期になってもリバランスは必須

 

資産形成期と同様にリスク資産の比率が変わらないようにすることが重要。

 

例えば、リスク資産50%、無リスク資産(現預金、個人向け国債など)50%などと決めたら、相場上昇などで資産の比率が大きく変わるようであれば、比率を50:50に戻すべくリバランスを行います。

 

特に、暴落時にリスク資産の比率を戻さないとリバウンド期のリターンが小さくなってしまい、資産寿命が縮むことにもなりかねません。

 

資産の取り崩しは定率が基本

積み立てた資産を取り崩す際に最も重要なことは、一気に取り崩さないこと

 

必要な分だけを取り崩し、残りの資産(投資信託)は運用を続けることが資産寿命を延ばすポイントです。

 

また、取り崩しの基本は定額ではなく定率

 

毎月10万円ずつという定額ではなく、資産の4%ずつを定率で取り崩すということ。

 

下記記事で解説した通り、資産を定率で取り崩せば、資産寿命を長く保つことができます。 

www.fpinv7.com

 

資産活用期に大切なことは、リスク資産の比率をリバランスして資産の期待リターンを保ったまま取りくず事。

 

リバランスをしないと、資産寿命の計算の前提がブレてしまいます。

 

因みに、著者はリスク資産をETF(上場投資信託)にして、分配金を使う戦略を取っているそうです。

 

その理由は、最終的にほったらかしにならざるを得ない状況になる可能性があるから。 

 

年齢を重ねて高齢になれば、リバランスや定率での取り崩しも難しくなるかもしれません。

 

そのような状況になった時にETFの分配金を活用するのは1つの考え方でしょう。 

www.fpinv7.com

 

実は、楽天証券やSBI証券などでは、自動で投資信託を定期的に取り崩すサービスを既に始めています。

 

証券会社が自動的に投資信託を売却してくれるのであれば、高齢になった際に資産の取り崩しについて考える必要がなくなります。

 

今後、資産を取り崩す方が増えれば、証券会社の取り崩しサービスの内容も充実する可能性があるでしょう。 www.rakuten-sec.co.jp

 

 

出口戦略の根幹は金融リテラシー

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資産活用期に最も怖いことは、株価が暴落がすることではなく、暴落期に投資を止めてしまうこと。

 

資産活用期も市場に居座り続けられるかが勝敗を決めると著者は指摘。

 

市場に居座り続けるには、一定程度の金融リテラシーが必要なのは間違いありません。

 

資産形成期の経験が、積み立て時よりも難しい資産の取り崩し時に活きます。

 

リタイア後は誰もが、どんな形にせよ資産運用を行うことになります。

 

資産形成期の経験により身に付いた金融リテラシーが、資産活用期を乗り切る力になるといってもいいでしょう。

 

インデックス投資は「ほったらかし投資」が可能といわれていますが、全くの「ほったらかし」はあり得ません

 

年齢を重ねるごとにリスク許容度も変わるでしょうから、数年に一度は資産配分を変えたり、リバランスも必要となります。

 

ロボアドに運用を全て任せるなどせずに、来るべき出口に向けて自分の判断で運用することが重要です。 

www.fpinv7.com

 

 

まとめ

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出口戦略は出口リタイアが近くなってから考えれば問題ありません。

 

資産の使い方の3つの極意は下記の通り。

  • 出口が近づいたら資産配分を見直す
  • 資産のリスク許容度を一定に保つ
  • 定額ではなく、定率での取り崩しが基本

 

出口戦略の根幹は資産形成期の経験を通して身に付けた「金融リテラシー」です。

 

インデックス投資も全くの「ほったらかし」にはできません。

 

自分の判断で資産運用を行うことにより、資産形成よりも難しい資産取り崩し期に向けて金融リテラシーを上げて頂ければと思います。