安全で高利回りな商品はないか。誰もが考えることでしょう。
現状、外貨建てMMFがその要望を満たす可能性があります。
例えば、外貨建てMMFのうち米ドル建ての利回りは年4%を超えています。
外貨建てMMFにはトルコリラ建てや南アフリカランド建てなどがありますが、今回は基軸通貨である米ドル建てのMMFに絞って、下記ポイントを解説したいと思います。
- 外貨建てMMFのメリットデメリット
- 外貨建てMMFの使い方
- 実際の運用事例
外貨建てMMFとは?
外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、外貨建て(米ドル、南アフリカランド、トルコリラなど)の短期証券に投資する投資信託です。
格付が高い短期の国債や地方債、社債などで運用されるため、比較的安全性が高く元本割れの危険性はほぼないと言っていいでしょう。
先述の通り、米ドル建てのMMFの利回りも高くなっています。
例えば、SBI証券で販売されている「ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド」などの利回りは下図の通り、4%(4月13日現在)を超えています。
次項以降で外貨建てMMF(Money Market Fund)のメリット・デメリットについて解説したいと思います。
外貨建てMMFのメリット
米ドル建てMMFのメリットは下記の通りです。
①売買手数料無料
米ドルMMFは、購入・換金ともに手数料なし。
ペナルティー無しですぐに解約できるので、流動性が高い商品です。
なお、売買手数料はありませんが、円による買付・売却の場合は為替スプレッド(手数料)が必要となります。
②少額から投資可能
米ドルMMFは、少額から投資が可能です。
SBI証券の場合、外貨決済であれば、当初申込みは10米ドル以上0.01米ドル単位。また、追加申込みは0.01米ドル以上0.01米ドル単位で購入可能。
円貨決済であれば、当初申込みは5,000円以上1円単位。追加申込み1円以上1円単位で購入可能。
外貨決済であれば、為替手数料込でも1,500円以内から購入が可能となっています。
③安全性が高い
前記の通り、米ドル建てMMFは格付が高い短期の国債や地方債、社債などで運用されるため、比較的安全性が高く元本割れの危険性はほぼありません。
現状は、VYMやHDVなどの高配当ETFよりも安全で利回りが高い状態です。
なお、分配金は月末再投資の際に、20.315%(国税15.315%、地方税5%)源泉徴収された後の金額で再投資されますので、複利効果も期待できます。
外貨建てMMFのデメリット
米ドル建てMMFのデメリットは下記の通りです。
①為替リスクがある
格付が高い短期の国債や地方債、社債などで運用される米ドルMMFですが、ドル建てなので日本人の我々からすると為替リスクは避けられません。
現在のように利回りが高い状態の時に投資しても、売却時に超円高になってしまうと損失を被る危険性があります。
②元本保証ではない
安全性が高い米ドル建てMMFですが、元本保証というわけではありません。
安全性が高くても絶対に元本割れしないという保証はありません。
③信託報酬がかかる
購入や換金に手数料は不要でも信託報酬は必要です。
信託報酬は運用会社によって異なりますが、年0.7~0.9%程度。
なお、外貨建てMMFは信託報酬を差し引いた後の利回りが表示されています。
外貨建てMMFの使い方
ここまでMMFのメリットデメリットを確認してきましたが、米ドル建てMMFはどのように使うべきでしょうか?
利回りが高い間はメリットが大きい商品ですが、私は長期投資には向かないと考えています。
その理由は、金利が固定されていないから。
利回りは米国の短期金利に連動します。
現在は米国の利上げ局面で注目を浴びていますが、コロナ後に利下げされた局面では利回りが低く全く注目されていませんでした。
現状は利回りが高いですが、今後アメリカの利下げ局面がくれば、MMFの利回りも下がっていくことに。
では、米ドル建てMMFは使えないのでしょうか?
一時的なドルの待機場所として使えます。
証券会社に米ドルを置いておいても利息はもらえません。
米国ETFなどの分配金を受け取ってすぐに再投資しない場合や円高時にドルを購入してすぐに投資しない場合などに米ドル建てMMFを購入して資金の待機場所として活用するといいでしょう。
実際の運用事例
私も証券会社に高配当ETFの分配金が400ドルほど放置されている状態だったので、米ドル建てMMFを購入してみました。
SBI証券で3月上旬に400ドル分「ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド」を購入。
3月末に0.79ドル(税引き後)が分配金として再投資されました。
1ドル=133円で計算すると、53,200円投資して1ヶ月弱で105円も分配金を受け取れるので、日本の銀行に預金するのがバカバカしくなるレベルです。
なお、米ドルの外貨定期預金で4%程度の銀行もありますが、解約のしやすさ(流動性)を考慮するとMMFを購入する方が賢明でしょう。
まとめ
米ドル建てMMFはメリットも多い商品ですが、長期投資に向くような商品ではありません。
証券会社ですぐに使う予定がなく眠っている米ドルの一時待機場所として活用するのがいいでしょう。
MMFの利回りは短期金利に連動するので、米ドル建てMMFを購入して、いつの間にか利回りが低下していたという事がないように注意が必要です。