マネーマシンの作り方という刺激的なタイトルにつられて以下の動画を観てみました。
今回の動画も中田さんの話術が冴えわたり、引き込まれる内容となっています。
ただ、この2本の動画を観ると、インデックス投資には投資信託よりもETFを活用して分配金を再投資することにより複利効果を活用すべき、という印象を受けてしまいます。
本当にインデックス投資には投資信託よりもETFの方が向いているといえるのでしょうか?
インデックス投資を「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すること」と定義するのであれば、ETFよりも投資信託の活用がおすすめ。
動画で参照されていた以下の本にも積立投資であれば、投資信託の活用をすすめています。
「ETFはこの7本を買いなさい」朝倉智也
今回は、上記の本の中から以下のポイントについて解説します。
- 投資信託とETFの違い
- ETFのメリット・デメリット
- インデックス投資に投資信託がおすすめな理由とは?
- ETFの活用法
- 投資信託とETFの違いとは?
- ETFのメリットとは?
- ETFのデメリットとは?
- 一定額を定期的に積み立てる「インデックス投資」には投資信託がおすすめ
- ETFの活用で分配金を受け取りながらインデックス投資が可能
- まとめ
投資信託とETFの違いとは?
投資信託とETFにはどのような違いがあるのでしょうか。
大きな違いは株式市場に上場されているか非上場かという点。
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略称で、上場投資信託とも呼ばれる投資信託の一種。
非上場の投資信託は、基準価額(値段)が1日1回、15時以降に決まる仕組みです。
一方、ETFは株式市場に上場されているので、取引時間中は株式のようにリアルタイムで売買できるのが特徴。
なお、「つみたてNISA」の投資対象は金融庁が厳選したものですが、そのほとんどが非上場の投資信託。
ETFは投資対象商品193本の中に7本しかありません。
おすすめは海外ETF
本の中では日本のETFではなく、海外ETFがおすすめとされています。
その理由は、日本国内のETFには買ってもいいと言えるもが多くないから。
日本で海外ETFの認知度が低い理由は、金融機関の手数料が低く儲からないため宣伝されてこなかったからと、著者の朝倉さんは指摘。
銀行や証券会社などの金融機関からすると、海外ETFよりも販売手数料や信託報酬の高い投資信託を回転売買した方が儲かります。
中田さんの動画でも指摘されていますが、金融機関には手数料ハンターがいるので、投資家のためになる商品をすすめられることは少ないでしょう。
ETFのメリットとは?
ETFにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
・運用コストが低い
投資信託の信託報酬は、運用会社・受託会社・販売会社(証券会社、銀行など)で分け合うため、ETFに比べ高くなる傾向があります。
一方、ETFは株式市場で売買されていて販売会社が存在しないため、投資信託に比べて運用コストが低くなるというメリットがあります。
例えば、全世界の約8000銘柄に分散投資しているVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)の経費率はなんと0.08%。
ただし、最近では投資信託の信託報酬も下がってきているので、運用コストに以前ほどの差はありません。
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・タコ足配当(特別分配金)がない
ETFには毎月分配型の投資信託で問題となった元本を取り崩す元本払戻金(特別分配金)がありません。
毎月分配型の投資信託は、お金を毎月受け取れるということで人気が出ましたが、実際は、元本を取り崩すタコ足配当となっていると批判が集まりました。
ETFの場合は、運用で収益が出た部分からのみ分配金が払い出される仕組みとなっています。
ETFのデメリットとは?
ETFにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
・売買時に手数料がかかる
投資信託はノーロード(販売時手数料無料)が増えてきましたが、ETFの購入時には手数料がかかります。
SBI証券やマネックス証券などでは、海外ETFの最低手数料は撤廃されて少額でも購入しやすくなりましたが、ノーロードの投資信託と比べるとデメリットと言えるでしょう。
なお、SBI証券などの「一般NISA」を活用すれば、購入時の手数料は無料となっています。
・口数単位の購入となり、定額購入はできない
ETFは口数単位の購入となり、定額購入はできません。
毎月1万円ずつといった定額購入ができず、定量購入となるのでドルコスト平均法を活用できません。
一定額を定期的に積み立てる「インデックス投資」には投資信託がおすすめ
一定額を定期的に積み立てるインデックス投資にはETFよりも投資信託の方が向いています。
著者の朝倉さんも積立投資には投資信託がおすすめで、ETFはまとまった額を投資する際におすすめとしています。
特に、分配金を再投資しながら複利効果を活用するインデックス投資を考えているのであれば、投資信託の活用がおすすめ。
投資信託を活用した方がETFを使うよりも手間がかかりません。
ETFがインデックス投資に向かない訳ではありませんが、ETFのインデックス投資には下記のような手間がかかります。
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・分配金再投資の手間がかかる
ETFの場合は受け取った分配金を手動で再投資する必要があります。
一方、分配金再投資型の投資信託であれば、自動的に分配金が再投資されて手間がかかりません。
自動で複利効果を最大限に活用することが可能。
・外貨への両替の手間がかかる
日本国内に優良なETFがあればいいのですが、現状ではほとんど存在しません。
本書でおすすめされている海外ETFを活用するのであれば、為替の煩わしさがあります。
例えば、米国ETFはドル建ての商品。
SBI証券などでは米国ETFを円で決済することもできますが、為替コスト(手数料)を抑えるのであれば円からドルに両替してからドルで購入すべき。
円からドルに両替する煩わしさがあります。
海外株式型の投資信託も為替のリスクはありますが、円で購入できる点で海外ETFのような煩わしさはありません。
また、米国ETFの分配金も米ドルで入金されますので、ここでもドルから円への両替が必要となります。
ETFの活用で分配金を受け取りながらインデックス投資が可能
上記の通り、複利効果を最大限に活用するには投資信託でのインデックス投資がおすすめ。
しかし、ETFがおすすめできない投資商品というわけではありません。
ETFは「20世紀最大の発明」と言われているほど素晴らしい商品です。
一定額を定期的に積み立てつつ、分配金を再投資するインデックス投資には投資信託の方が向くというだけ。
ETFを活用すれば、分配金を受け取りながら将来だけでなく、現在も豊かにする資産運用が可能。
分配金を再投資に回すつもりであれば、投資信託を活用する方がいいでしょう。
しかし、分配金を再投資に使わず、生活資金などに活用することを目的にするのであれば、ETFを使ったインデックス投資もありです。
ETFを活用したインデックス投資で分配金だけで生活費が賄えるようになれば、投資信託を積み立てた場合の出口戦略が不要になります。
コア・サテライト戦略
本書では、ETFを活用した「コア・サテライト戦略」が紹介されています。
「コア・サテライト戦略」とは、ポートフォリオをコア(中核部分)とサテライト(その他部分)に分け、コアを安定的に運用しながらサテライトで積極的にリターンを狙うというもの。
例えば、私は下記のようにコアでは投資信託を活用してインデックス投資を行い、余剰資金を使ったサテライト部分でETFを活用することを考えています。
【コア】
非上場のインデックスファンド(投資信託)を活用したインデック投資を行う。
【サテライト】
高配当株ETFを活用し、分配金を再投資するのではなく、現在の生活を豊かにするために使う。
まとめ
一定額を定期的に積み立てつつ、分配金を再投資するインデックス投資であれば、投資信託を活用する方が手間もかからずに複利効果を最大限活かせます。
しかし、ETFも「20世紀最大の発明」と言われているほど優れた投資商品。
分配金を受け取りながらのインデックス投資を考えているのであれば、ETFの活用もアリでしょう。
ETFを活用したインデックス投資であれば、分配金を受け取りながら資産も増やせる、まさに「マネーマシン」となってくれます。
なお、本書では題名の通り、7本のETFを組み合わせたポートフォリオをすすめていますが、初心者向けとはいえません。
ETFを7本も組み合わせると、リバランスの手間がかかるなど管理が大変。
投資が趣味という方以外はシンプルなポートフォリオにした方が無難。
仮に私がETFでインデックス投資をするのであれば、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)一本だけで十分だと考えています。
株式だけでは不安という場合は、VTにAGGなどの債券型のETFを組み合わせるといいでしょう。