
国民が物価高に苦しむ中、政府・自民党は年金制度改革関連法案のような国民の負担が増える法案はさっさと国会に提出。
しかし、国民の負担が減るような減税については頑なに拒否する状況。
国会では石破首相と加藤財務大臣が下記のような発言をしています。
石破茂首相は19日の参院予算委員会で、国民民主党などが求める消費税減税に「税収は増えているが社会保障の費用も増えている」と説明して慎重な姿勢を崩さなかった。理由の一つとして「金利のある世界の恐ろしさを認識する必要がある」とも語った。「我が国の財政状況は極めてよくない。ギリシャよりよくない」と強調した。
加藤勝信財務相は「日本で国債の債務不履行が起きていない背景には財政健全化に向けた意思を示すことで市場の信認を維持してきたことがある」と引き続き財政再建に取り組むことが重要だとの認識を示した。
(出典:日本経済新聞)
首相や財務大臣が発言したように消費税を減税すると金利が上昇し、日本はギリシャのように財政破綻してしまうのでしょうか?
また、日本が財政破綻していないのは財政健全化の意思を示しているからなのでしょうか?
今回の記事では、首相と財務大臣の発言の誤りについて解説します。
「御託はいいからさっさと減税しろ!」と思っている方は参考にしてください。
日本は財政破綻したギリシャより財政状況が悪い?
石破首相は国会で「我が国の財政状況は極めてよくない。ギリシャよりよくない」と発言しましたが、本当でしょうか?
日本の財政状況の悪さを語る際に比較される国の一つがギリシャです。
財政破綻危機で騒がれたギリシャの公的債務残高はGDP比200%。一方、日本の公的債務残高はGDP比256%超。

(出典:財務省)
公的債務残高のGDP比だけで考えれば日本はギリシャを超えていて、破綻寸前と考えてしまう方が多いでしょう。
しかし、ギリシャと日本を比較するのは間違いです。
ギリシャと日本の違いは、自国通貨建てで国債を発行できるかどうか。
日本は日本円(自国通貨)で国債を発行しているので、財政破綻(デフォルト)することはありません。
これは財務省のHPにも下記のように掲載されています。
『日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない』
つまり、国債を返済する必要があれば、日本銀行(日銀)が日本円を刷ればいいのです。
日銀が国債を引き受けるのは問題があると指摘する人がいますが、異次元の金融緩和を行った結果、2024年12月末現在で日銀の国債保有残高は約560兆円。
日銀の金融緩和は2013年から10年以上も行われましたが、財政破綻もしませんし、ハイパーインフレも起きていません。
一方、ギリシャはEUの共通通貨であるユーロを採用しているので、ユーロ建ての国債を発行することになります。
ギリシャは自国通貨を発行することで債務を返済することができないので、債務が増えれば債務不履行(デフォルト)の可能性があります。
金利が急騰する危険性はないのか?
石破首相は「金利のある世界の恐ろしさを認識する必要がある」とも発言しています。
日本の金融機関や海外勢が国債の購入額を減らすと、国債価格が下がり、金利が上昇するリスクがあるとマスコミも報じています。
また、日銀が国債の買い入れ額を減らすと金利が急騰するという指摘もありますが、わざわざ日銀が日本の金利を急騰させる必要があるのでしょうか?
仮に金利が急騰する場面があれば、日銀が国債を購入すればいいのです。
日本銀行は「最後の貸し手」という機能が法律で定められていて、どんな事態になっても最後は日銀が国債を買って政府にお金を貸すことになっています。
日銀は金融緩和の一環で国債の無制限買い入れを実施して長期金利を抑え込んでいましたが、以前できていたことが今後はできなくなるという理由はありません。
先述の通り、日銀の国債保有額は約560兆円。それを増やすだけの話です。
日本で国債の債務不履行が起きていない理由とは?
加藤勝信財務相は「日本で国債の債務不履行が起きていない背景には財政健全化に向けた意思を示すことで市場の信認を維持してきたことがある」と発言。
日本で国債のデフォルト(債務不履行)起きていない理由は、自国通貨建ての国債だから。
財政健全化の意思を示したからではありません。
これは先述の通り、財務省がサイトに掲載している通りです。
財務大臣が国会の場で財務省の公式見解と異なる発言をしてもいいのでしょうか?
日本は自国通貨建ての国債を発行しているので、日本の金融機関が保有している国債だけでなく海外勢が保有している国債に対してでも日本円を刷って返済すればいいのです。
2013年に麻生太郎財務相(当時)が下記のように発言していますが、まさにその通りです。
「日本は自国通貨で国債を発行している。(お札=日銀券を)刷って返せばいい。簡単だろ」
「日本の借金は970兆円に膨らんだが、金利は上がっていない。日本は財政破綻の危機ということはない」
まとめ

政府・自民党は国民の負担は絶対に下げないという強い意思表示をし始めました。
日本の政治家は自分やお友達企業の利権を守るために一般庶民を苦しめる政治を行うという悲惨な状況。
首相や財務大臣がこれまで散々論破されてきた詭弁を弄してでも、日本の財政状況は厳しく減税などできないと発言する始末。
もはや自民党は解党しないと出直せないレベルまで落ちています。
このような状況下、一人でも多くの国民が政治の大切さを理解し、政治について興味を持たなければ、日本の弱体化は止まりません。
次回の選挙以降、日本を弱体化させるような三流政治屋たちを国政の場から排除する必要があります。