iDeCo(イデコ)は掛け金が全額所得控除になり節税になるなど、非常にお得な制度で一日も早く始めるべきですが、実は、どこの金融機関で口座を開設するかが非常に重要。
iDeCo(イデコ)を始める際には、口座を開設する金融機関の手数料や運用商品を比較する必要があります。
iDeCo(イデコ)をすすめられたからなど、安易な理由で金融機関を選ぶと運用成績に数百万の差が発生し、将来の受取額が大きく目減りする可能性があります。
以下の本では、実際の試算例を出して金融機関選びの重要さを解説してくれています。
iDeCo(イデコ)は一度始めると金融機関の変更は面倒なので、そのままという方がほとんどでしょう。
これからiDeCo(イデコ)を始める方は運用成績に大きな差が出でないよう、今回の記事を参考にして頂ければと思います。
また、すでにiDeCo(イデコ)を始めている方も金融機関を変更するきっかけにして頂ければと思います。
- iDeCo(イデコ)加入申込時の手数料や運用商品の比較は重要!金融機関選びで効果は大きく変わる
- 口座管理費用(手数料)は、安い金融機関と高い金融機関では約3倍の差
- 信託報酬の差も運用成績に大きく影響する
- おすすめのiDeCo(イデコ)の運用管理機関は?
- iDeCo(イデコ)の運用管理機関は変更可能
- まとめ
iDeCo(イデコ)加入申込時の手数料や運用商品の比較は重要!金融機関選びで効果は大きく変わる
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を始めるには、運営管理機関である銀行、証券会社、保険会社を選んで申し込むことになります。
実は、加入申込時に選ぶ運営管理機関で将来の受取額に想像以上に大きな差が発生する可能性があります。
下記記事でも解説した通り、金融機関を選ぶポイントは「口座管理費用(手数料)の安さ」と「投資信託の品揃え」。
金融機関によって、上記2点に差があります。
今回読んだ田村さんの「はじめての確定拠出年金」は2016年発売で、発売当時に比べればiDeCo(イデコ)に力を入れる金融機関も増えています。
田村さんは、iDeCo(イデコ)を取り扱う金融機関は二極化していて、iDeCo(イデコ)に対してやる気のない金融機関もあるので注意が必要と指摘。
iDeCo(イデコ)に対してやる気のない金融機関を選ぶと、「口座管理費用(手数料)が高い」、「投資信託の品揃えが悪い」という不利益を加入者が被ることになります。
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口座管理費用(手数料)は、安い金融機関と高い金融機関では約3倍の差
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、掛け金拠出時や給付金受取時などに下記の手数料がかかります。
・加入時手数料
・口座管理手数料
・移換時手数料
・給付事務手数料
上記手数料の中で、重要となってくるのが、口座管理手数料。
口座管理手数料は掛け金の拠出時や運用時に毎月差し引かれるので、1回あたりの手数料額が小さくても長い加入期間で考えると大きな額となります。
掛け金拠出時の口座管理手数料には、下記3つの内訳があります。
・国民年金基金連合会に支払う事務取扱手数料
・資産管理サービス信託銀行に支払う事務委託先手数料
・金融機関に支払う運営管理手数料
上記3つの内訳のうち、事務取扱手数料(毎月105円)と事務委託先手数料(毎月66円)の合計毎月171円は、どの金融機関を選んでも必ず差し引かれることになります。
3つの内訳のうち、運営管理手数料だけは金融機関によって異なります。
SBI証券や楽天証券などは金融機関の運営管理手数料が無料つまりゼロですが、金融機関によっては毎月の運営管理手数料が418円の場合もあります。
口座管理手数料は掛け金拠出時だけでなく、掛け金の拠出を止めて運用のみを行う場合にも差し引かれるので注意が必要。
口座管理手数料の一番高い金融機関と一番安い金融機関の比較は下記の通りです。
掛け金拠出時(月額):171円 ⇔ 589円(差額:418円)
運用のみの場合(月額):66円 ⇔ 484円(差額:418円)
金融機関ごとの手数料は下記サイトで比較できます。
イデコを始める前には、下記サイトを確認し、手数料の安い金融機関はどこかを確認することが重要です。
運用期間が長いと、手数料の違いもバカになりません。
1ヶ月では418円の差も、1年では5,016円、10年では50,160円、30年では150,480円もの差になってしまします。
iDeCo(イデコ)は長期間、加入することになるので、小さな手数料差も見逃せません。
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元本保証型の預貯金や保険で運用する場合には口座管理費用(手数料)が大きく影響
特に元本保証型の預貯金や保険で運用する場合、口座管理手数料が高いと掛け金が全額所得控除になるという節税メリットが大幅に縮小してしまいます。
特に、下記事例のように所得税の税率が高くなく、掛け金が少ないケースで節税メリットが大幅に減ってしまいます。
【iDeCo(イデコ)加入例】
・掛け金月額:5,000円
・所得税率:5%
上記事例の方のiDeCo(イデコ)加入による節税額は年間で9,000円、月額だと750円。
運営管理費用が589円の金融機関で定期預金を選んだ場合、ほぼ金利が付かない現状では、毎月の節税額が161円(750円-589円)まで目減りしてしまいます。
特に専業主婦(夫)で課税所得がなく税金が全くかからない方の場合には節税メリットがないので、口座管理手数料が高い金融機関で元本保証型の運用商品を選んでいると、資産を減らしているだけになってしまいます。
著者の田村さんが指摘していますが、口座管理費用が高い金融機関のサービスが手厚いかというと、ほぼ関係ありません。
基本的にiDeCo(イデコ)は、申し込みや運用商品選択などは加入者がネット経由で行い、分からない時は専用コールセンターで聞く形式です。
信託報酬の差も運用成績に大きく影響する
実は、iDeCo(イデコ)を投資信託で運用する場合は、口座管理費用よりも信託報酬の差が運用成績に大きく影響します。
投資信託のコストは主に販売時手数料と信託報酬ですが、iDeCo(イデコ)では販売時手数料は基本、無料となっています。
投資信託の保有期間中、毎日差し引かれる信託報酬は商品によってまちまち。
本の中では投資信託を長期間保有した場合、信託報酬がどのくらいの額になるのかについて、下表のような試算例が出ています。
信託報酬(年) | 10年 | 20年 | 30年 |
---|---|---|---|
0.23% | 4万 | 17万 | 43万 |
1.026% | 16万 | 70万 | 174万 |
1.944% | 29万 | 123万 | 298万 |
※毎月2.3万円を拠出し、外国株投信で年4%で運用した場合の簡易計算
信託報酬が約1.7%違うだけで、30年間では手数料額が250万円以上の差。
つまり、信託報酬の高い投資信託を選ぶと、受け取れる額が250万円も目減りしてしまいます。
ちなみに、毎月2.3万円を年4%で運用した場合のシミュレーション結果は下表の通りです。
10年 | 20年 | 30年 | |
---|---|---|---|
投資元本 | 2,760,000円 | 5,520,000円 | 8,280,000円 |
積立額 | 3,386,746円 | 8,435,816円 | 15,963,136円 |
積立額は複利の力で30年後には約1,600万円にもなりますので、数%の信託報酬の違いも大きな差となります。
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インデックス型かアクティブ型か
投資信託には、大きく分けてアクティブファンドとインデックスファンドがあります。
iDeCo(イデコ)で運用する場合には、インデックス型とアクティブ型のどちらのファンド(投資信託)を選ぶべきなのでしょうか?
インデックス型とは?
日経平均株価のような株価指数などのインデックス(指標)と同じ値動きをするような運用を目指す投資信託をインデックス型といいます。
インデックス型は目標とする指数に連動するように機械的に銘柄を組み入れるので、ファンドマネージャーが銘柄を選択するアクティブ型に比べて各種の手数料が安くなるというメリットがあります。
アクティブ型とは?
アクティブ型の投資信託は、運用のプロであるファンドマネージャーが調査・分析などを行い、ファンド(投資信託)に組み入れる銘柄を選択し、市場平均を上回る運用成果を目指します。
運用のプロであるファンドマネージャーが調査・分析などを行い、ファンドに組み入れる銘柄を選択して売買するので、インデックス型に比べて各種手数料が高くなるとういう点がデメリット。
しかし、本書の中では長期で見るとアクティブ型の投信の6~7割がインデックス型に勝てないと書かれています。
であれば、なるべく手数料(信託報酬)が安いインデックス型の投資信託で運用すべきという結論に至ります。
例えば、ある銀行でラインナップされている外国株式で運用するインデックス型の投資信託の信託報酬は約1%。
一方、ある証券会社でラインナップされている外国株式で運用するインデックス型の投資信託の信託報酬は約0.1%。
信託報酬に年0.9%の差があります。
年0.9%と聞くと、大したことがないように感じるかもしれませんが、長期間となれば、大きな差となります。
また、運用額が大きくなれば、年0.9%の差でも額は大きくなります。
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おすすめのiDeCo(イデコ)の運用管理機関は?
「口座管理費用(手数料)の安さ」と「投資信託の品揃え」の観点で運営管理機関を選ぶのであれば、どこがおすすめでしょうか?
私が今からiDeCo(イデコ)を始めるのあれば、SBI証券(セレクトプラン)に申し込みます。
ちなみに私もSBI証券(セレクトプラン)でiDeCo(イデコ)を行っています。
下記記事で私がSBI証券をおすすめする理由と、私のiDeCo(イデコ)のポートフォリオ(運用商品の組み合わせ)をご紹介しています。
iDeCo(イデコ)の運用管理機関は変更可能
現在、iDeCo(イデコ)口座を開設している金融機関が、「口座管理費用(手数料)」が高く「投資信託の品揃え」が悪い場合、変更することも可能です。
特に、「口座管理費用(手数料)」が高い金融機関で、元本保証型の定期預金や保険を選択しているのであれば、即、変更した方がいいでしょう。
ただし、4,000円程度の移換時手数料がかかる金融機関がありますし、手続きには国民年金基金連合会の審査等が必要なため、1ヶ月~2ヶ月程度かかるというデメリットがあります。
また、運用している投資信託などを一度現金化する必要がある点も金融機関変更時のデメリットの1つ。
投資信託で運用するのであれば、iDeCo(イデコ)を始める前にどの金融機関を選ぶかをしっかりと吟味することが重要です
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まとめ
口座管理費用が高く、投信の品ぞろえが悪いところでイデコを続けると、将来の受取額に大きな差が発生する可能性があります。
iDeCo(イデコ)口座を開設する金融機関を選ぶポイントは、「口座管理費用(手数料)の安さ」と「投資信託の品揃え」。
既にiDeCo(イデコ)を始めている方でも定期預金などで運用している場合は、変更を検討してもいいでしょう。
以下の本には、金融機関の選び方だけでなく、iDeCo(イデコ)を含め確定拠出年金についての基本的な考え方が分かりやすくまとめられていて、おすすめです。